「天空の調べ」プログラムに参考文献として載っていたこちら
文天祥の生涯 殉国節義の人―中国歴史人物伝/雑喉 潤



先ほど読み終わりました。

今までに「海嘯」(感想はこちら)と「中原を翔る狼」(感想はこちら)を読んで来ました。
それは何となく心惹かれた順に…という曖昧な理由でしたが、この順番で読んだのは結果的に正解だったなぁ~と思います。

今回の本は文天祥を中心に書きすぎていて、歴史の流れを知らないと付いて行くのが難しい部分があるように感じました。
私は中国史は苦手ですので、もしこの本を一番最初に手に取っていたら途中で投げ出していたかもしれません。

だいたい中国史って漢字三文字の名前が多すぎません?(笑)
しかも張とか劉とか同じような漢字が多いから誰が誰だか判らなくなるんですよね(^^;

文天祥が生きた時代も張さんがいっぱい出てきます(^^;
それが敵だったり味方だったり、味方だったのが敵に寝返ったり…
「宰相」の地位に立つ人も、目まぐるしく変わったり…
激動の時代だから仕方ないとは思うんですが、単なる漢字三文字の記号、としか頭に入っていなかったら混乱したと思います。

でも「海嘯」でストーリーとして読んでいたおかげで、登場人物が漢字三文字の記号ではない、キャラクターとしてしっかり肉付けされたイメージになっていました。
「中原を翔る狼」でモンゴル(元)側から見た南宋の動きも理解できていました。

そういった歴史の流れを知った上で今回の本に入れたので、漢字三文字の登場人物も混乱せず(笑)読むことが出来ました。
もしこれから舞台「客家」の関連本を読みたいなぁと思っている方がいらっしゃったら、読む順番も参考にしていただければと思います。


この本はいわば文天祥の伝記です。
生まれ育ち、家族構成などなど、今まで読んだ本には書かれておらず補完できた部分がたくさんありました。
その中で、私がもっとも興味深かったのは「生気の歌」の詳しい解説。

これを読むまでは、文天祥っていうのは頭がよくて理想の高いエリート…って薄っぺらいイメージだったのですが。
やっぱり人間らしく、揺れたり迷ったり怒ったり…っていう部分があったんですね。
その中で、親の教育(朱子学)の強い影響や、過去の歴史の知識があって、彼は彼の“理想の生き方(死に方)”を見つけたわけです。

私自身は彼の生き方を理想とは思えないし、正しいとも思わないのだけれど、深く深く自分の“生きる道”を考えるっていうのは必要なのだと思います。

社会や周囲の人たちのせいにして反省もせず文句ばかり言っている人が多い今だから…
たとえ逆境でも、時代に裏切られても“自分はこれが正しいと信じて生きる”という姿勢を持つことは大切なのじゃないかな、と珍しくまじめに考えてみたりしたのでした。