注意:作品と演出に対して辛口オンパレードです。この作品が大好きで大絶賛!という方とは気が合わないと思いますので読まないでください。もし読んでも、クレームのコメントはご遠慮ください。


ネタバレあります。

 

 

 

生駒怜子さんの2作目。

1作目「夢現の先に」は配信で観ましたが、なかなか面白かったので期待していました。


が!


宝塚の座付演出家として、研11の2番手になろうという男役の、しかも初東上公演に何故これ?下級生のバウ初主演じゃないんですよ…というのが第一の感想。


ほのかちゃん(聖乃あすか)が好きな者として、まずそれが悲しかった。

美しく優しい好青年…そんなのほのかちゃんに似合うに決まってるじゃないですか。研10を超えて経験値も増えて、男役として色んな挑戦ができるはずだし、トップになったら出来ないような役を観たかったんです。なのにさ…

 

まぁ、それはファンの欲として置いておくにしても。


中身の薄さがあまりに残念…というのが第二の感想。

 


物語の発端となった交通事故から15年、当時11歳なら現在26歳。

いい大人たちの話のはずなのに、登場人物がローティーンみたいな精神年齢ばっかりなんですけど。

「なかよし」か「りぼん」か…いや、小学生向けの少女漫画でももっと人間ドラマが描かれてますよね😢

 

主人公のダーンは新聞社に勤める立派な社会人のはずです。

なのにいったい何をしたいのでしょう?そして結局は何をしたのでしょう?

街ネタの取材とか諸々それらしいこと言って悩んでるけど、終始好きな女性のことしか考えてませんよね、それでいいのか???そんな男は魅力的か???

 

で、ダーンが心を寄せるミラ。同じくいい大人のはずなのに、この人も良くわからない。

ダーンが「彼女を笑顔にしたい」って言ってるから笑えないのかと思ったら、普通に楽しそうに笑ってるし…変顔してる時もあるけど苦しんでるようには見えない。

 

見えないが、設定としてはどうやら彼女は苦しんでるらしい(よね?)

ので、その苦しみは何かと考えてみる…

事故に巻き込まれた時のトラウマなのか、両親がいない寂しさなのか、親なしっ子といじめられたことなのか。

子供時代の回想シーンによると、どうやらいじめが原因のようで、そこで「私ってそんなに可哀想なの?」とショックを受けている。


つまり、親がいない自分を特別扱いされることに傷ついてる(んだよね?)

 

それなのにダーンもアンナも、なにかっちゃ「大丈夫?」とか「いつまでも可愛いミラちゃん」「私が守る」とか、まるで腫れ物に触るように扱って…

何度も書くけどミラは26歳だよ?そうやって過保護に子供扱いしてるあなたたちの態度の方が、一番ミラを傷つけてません?

とーっても矛盾。

 

ミラが「ダーンには幸せになって欲しい。私は彼に似合わない」というようなことを言うので、彼女には交通事故の後遺症で記憶障害があるとか、身体的になんらかの問題があるのかと思ったのだけど、そうでもなさそうだし。

つまり親がいないことを「普通じゃない」「相手を不幸にする材料」だと思っているのがミラ自身なんかい?


それもどうなの…

あなたには優しいおじいちゃんがいるじゃーん!


ぶっちゃけダーンの親兄弟とか(その気配すら)まったく出てこなくて、彼の方が天涯孤独っぽいんですけど。

 

そして突然やさぐれて現れるレオくんな。

道端で急にイチャモンつけて乱闘になる、アブナイ人じゃん😅

てっきり、ミラの両親が亡くなった事故の加害者の息子とかで、同じ親を失った子供なのに、片や被害者の娘(ミラ)で片や加害者の息子(レオ)として不遇をかこっていたのか…と思ったらそうでもないし。


だいやくん(侑輝大弥)唯一の黒い役を背負って…人物背景の描き込みペラペラなのにほぼ歌だけで世界を作って…本当にお疲れ様です!拍手です!好きです(告白w)



他にも理解できない登場人物がいーっぱい!


上司殴ったり乱闘する人ばっかりで構成された職場もわからないし(上司と揉めた理由は説明無し)

その暴力的な人たちのモットーが「ほのぼの」って違和感すぎるし


街の人間関係が煩わしいからと幼い息子を連れて夫を置いて都会に行ってしまいながら、帰ってきたら街を絶賛する女性の心理もわからないし


いくら事故を風化させないためとはいえ、遺族に取材するのが当然みたいな新聞記者もどうかと思うし


事故の記事が出たら急に、遺族の経営するカフェが繁盛するのもなんだかなーだし


社長が、組織のルールを無視して独断で権利を行使して、それを正当だとする展開もまったく理解できないし

タカラヅカの体質が問題視されている今、このセリフにOKが出てしまうことが怖いです。上層部、本当に大丈夫?





あと、身内受けのセリフで笑いを取るのは私すっごい嫌なんですよね。

宝塚の生徒さんの技量ならちゃんと芝居で笑いを取れるはずなのに…手抜き脚本


「親がいないのなんてよくあること」っていう歌詞もなぁ

観客の中にはいろんな人がいて、ご家族を事故や病気で亡くしている人だっている可能性は充分あるだろうに、まったく配慮が感じられない。





 

 

ほのかちゃんやだいやくん、出演者は皆さん頑張っていたと思います。

ヒロインの方はドレスさばきをもう少し頑張って欲しいですけど(昔から娘役のドレスさばきにうるさい私です)

曲も良かったし、セットも工夫されてて面白かったです

 

だからこそ、脚本が残念過ぎました。

 


ほのかちゃんの東上作品に「舞姫」を持ってこなかったのは何故なんだーーー!

ああいうクソ男を「でも…惹かれちゃうのもわかるぅ😍」ってさせるのがタカラヅカの男役の技量の見せ場だし、ほのかちゃんすごく良かったのに。あの時のだいやくんもすごく良かったし。

 

ああ、悔しい。


珍しく現在進行形で書きます😁


れいこちゃん(月城かなと)の退団を明日に控えて、ラスト2daysとなりました


警報レベルの異常な暑さですが、なんとか体調を保たせて←整えるのは無理😅

(本音:入り待ち出待ちの無い時代で良かったよ)


最後の男役姿を見届けたいと思います!



シャンテにて






星組さんの別箱2本、ご縁あって観劇できたので簡単であっても感想を書いとかねば。

 

まこっちゃん(礼真琴)主演の「BIG FISH」は海外ミュージカルということで会場はシアターオーブ。

席によっては観づらい劇場ですが、段上がり2列目のセンターという最高の場所で観ることが出来ました。

(こういう席で月組デスホリ観たかったよ…それを言うな)

 

れいこちゃん(月城かなと)ファンとして羨ましいのは、まこっちゃんが「赤と黒」に続いてトップ娘役以外を相手に公演出来ること。

うみちゃん(海乃美月)がどうこうということではなく、色んな娘役を相手にするれいこちゃんを観たかったなぁと未練がましく思ったりしてね(それを言うなって)

 

と話が逸れましたが、公演の感想。

BIG FISHというのはスラングで「大ぼら吹き」のことらしい。

タイトル通り、主人公はなかなかにチャランポランな性格。さらに、そろそろ孫が生まれようかという年齢のおじさん。決してタカラヅカトップらしくない男性像。

最初の方は「こんな男と絶対に結婚したくないー!」「こんな父親いやだー!」って思いながら観ていました😅

 

で、結局ラストまでそういう根本的なところは変わらないんだけど(え)

とにかく妻や子供はもちろん、関わりあった人たちのことを大事にしている男だってことはわかってきて、最後の方はなんだか温かい気持ちになって、涙腺よわよわになっていつの間にか泣いているという不思議な作品でした。

 

曲も楽しかったし、ファンタジーながらリアルな感情を揺さぶられる、素敵な作品だと思う。

ただし再演するなり外部で上演するなら、キャストに歌の実力があることが前提だとも思いました。ファンタジーゆえ、下手な役者だと感動が霧散する😅

その点で今回の主演は安心安全、絶対保障な礼真琴さん。他のキャストもほとんどが上手くて、特に妻役のほのかちゃん(小桜ほのか)は本当に歌も芝居も上手くてねぇ。

私自身は子供がいないので、ほのかちゃんの夫を思って歌うのが一番ぐっと来ました。

 

 

ありちゃん(暁千星)主演の「夜明けの光芒」は、ディケンズの「大いなる遺産」を基にした宝塚オリジナル新作。

ところで「光芒」って一般的な言葉ですか?ポスターで字面を見ていたからわかったけど、歌詞に「こうぼう」って出てきてポスター観ていなかったら意味判らないよーって思いました…私はね。

 

「大いなる遺産」を基にした舞台は、過去の月組公演を観ています。調べたら30年以上前でした(やだ怖いw)

同行した友人もその月組公演を観ていたんですが、終演後はふたりして「こんな話だったっけ?」となりました😅

まりさん(邦なつき)のハヴィシャムさんがめっちゃ怖かった印象しかなくて…スカステさん放送お願いします。

 

ありちゃんは歌が良くなったなぁと思いました。RRRでは歌詞が聞き取りずらかったんですが、今回は音域に合っていたのかすごくクリアで良かったです。

ショーはともかく、芝居で歌詞が聞き取れないのは苦痛なので、これからも滑舌良く頑張って欲しいです。

稀惺かずとくんはカノンくん(天飛華音)より儲け役だったかも。芝居も上手いし華があるなぁと思いました。

あと、私の星組を観るお目当て筆頭、あいりくん(碧音斗和)

彼女のダンスは本当に格好良くて、ストーリーそっちのけで観てしまうこともしばしばでした。

もっと活躍の場を与えてあげて欲しい人です。