ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ

『サイドウェイ』などのアレクサンダー・ペイン監督と

ポール・ジアマッティが組んだヒューマンドラマです。

 

1970年のアメリカ・ボストン近郊の寄宿学校を舞台に、

ほとんどの生徒や教師たちがクリスマス休暇を家族と過ごす中、

それぞれの事情で学校に留まる3人の男女を描く。


第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、

助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、

ダヴァイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した。
 


面白かったです。

恐らく、アメリカ人と日本人では、受け止め方が多少は違うかもしれません。

 

日本人にとって、ユーモアの部分は何となく分かって笑えますが、

皮肉なところとかはネイティブ・アメリカンでないと笑いないかもしれませんね。
 

すごいのは、台詞回しとリアクションの表情で笑わせてくれるところです。

俳優さんの腕の見せどころです。

 

そこが評価され、食堂の料理長を務めたダヴァイン・ジョイ・ランドルフが、

オスカーを獲得したわけです。

助演女優賞に十分に値する素晴らしい演技でした。
 

ところで、最初の映画配給会社のロゴの出し方から始まり、

本編の隅々に至るまで、俺は、昔の映画の4Kリマスター版かなぁーと

思いながら見ていました。

 

衣装やヘアメイク、車や街並みなど、1970年当時の再現が見事でした。

映像の画質もわざと若干落としていましたね。

 

そのこだわりが、本当に当時にタイムスリップしたかのような

感じさえ覚えました。

 

その中で、映画館でパイプをふかしたり、飲酒運転をしたり、

学校の先生が暴言を吐きまくったり、今の社会からすると、

不適切な言動のオンパレードでした。

 

50年前はあんな感じだったなーと懐かしく思いました。

と同時に、あの緩さがいいなぁーとも思いました。

 

現代社会は、コンプライアンス、コンプライアンスって言い過ぎです。

もちろん、人を傷つけるようなことはダメですが、

その境界線の引き方に問題があると思います。

 

あと、グレーゾーンがなくて、すぐにレッドカードが出されるのも

どうかと思います。

 

行き過ぎたコンプライアンスを、多少は是正するというか、

寛容な世の中になって欲しい。

これ、マジで思っています。。



物語の舞台は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。

生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、

クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。

 

そんなポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることに

なった学生アンガス、寄宿舎の食堂の料理長として学生たちの面倒を

見る一方で、自分の息子をベトナム戦争で亡くしたメアリーという、

それぞれ立場も異なり、一見すると共通点のない3人が、

2週間のクリスマス休暇を疑似家族のように過ごすことになる・・・。
こんなお話です。


出演は、ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、

ドミニク・セッサ、キャリー・プレストン、ブレイディ・ヘプナー、

イアン・ドリー、ジム・カプラン、ジリアン・ヴィグマン、

テイト・ドノヴァン等。


まず、嫌われ者の教師役を演じたのは、ポール・ジアマッティです。

彼が真ん中で、本編を支配していました。

言うことも、見た目も、いかにも嫌われ者ですが、

だんだんと人間味か出てきて良かったです。

 

複雑な家庭環境で育った生徒を、ドミニク・セッサが演じています。

彼も癖の強い役を見事に演じていたと思います。

嫌われ者同士のやり合いが面白かったです。

 

そして、オスカーを獲った料理長役は、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフです。

いろんな意味でとっても人間らしい多面なところを絶妙な演技で見せてくれました。

巨漢というだけでなく、存在感が半端なかったですね。


MY評価: ☆4 (☆5で満点)