オールド・フォックス 11歳の選択

1989年のバブル期の台湾を舞台に、

父親と二人で暮らす少年の成長を描くヒューマンドラマです。

 

貧しい暮らしの中で、自分たちの家と店を持つ夢をかなえようとする

親子が厳しい現実に直面し、少年はある決断を迫られる。

 


株や不動産のバブルというのは、どこの国でも起こります。

しかも、一回だけなんてことはなく、

数十年の間隔で、繰り返し起こります。

 

欲深い人間は、バブルが起きるとすぐに食いつき、

バブルがはじけると涙する生き物です。

 

バブルがはじけた直後は反省しますが、

またバブルが起きると同じ轍を踏みます。

人間なんて、そんなもんです。

 

ちなみに、アメリカも日本も、いまバブルです。

世の中的には、実態があるのでバブルではないと言っていますが、

株価や不動産価格を歴史的に振り返れば、

バブル以外の何物でもありません。

俺はそう確信しています。
 

そんな俺の見解はさておき、本作は、1989年の台湾が舞台で、

バブル景気の前後の、父子と周囲の人たちの悲喜交々が描かれています。

 

バブルは、必ず勝者と敗者が出ます。

つまり、金儲けできた人と、散財した人に分かれます。

 

勝った人は笑いが止まらない。

負けた人は首をくくるしかない。

そんな残酷なゲームみたいなものです。
 

そんなバブルですが、本作は、

勝者と敗者は偶然ではないことを示しています。

 

もの凄く噛み砕いて言うなら、いい人、正直な人は勝てない。

一方で、勝つ人は、時に冷酷で、時に自己中心的で、決断力がある人。

そんな人物像が浮かび上がってきます。


確かに、一理ある気がしました。

結局、全員が勝てるゲームではない。

 

だから、人を出し抜くズル賢さや、人を踏み台にすることに

抵抗感の無い図太さが勝者の必要条件なのかもしれません。

 

正直、そんなゲーム、あんまり受け入れたくありません。

どちらかと言うと、いい人、正直な人が報われる社会であって欲しいと

切に願う私エロマン星人でした。。



1989年、台北郊外。レストランで働く父のタイライと

慎ましく暮らす11歳のリャオジエは、いつか父とともに家を買い、

亡き母の夢だった理髪店を開くことを願っていた。

 

しかしバブルによって不動産価格が高騰し、

父子の夢は断たれてしまう。

 

ある日、リャオジエは「腹黒いキツネ(オールド・フォックス)」と

呼ばれる地主のシャと出会う。

 

シャは優しく誠実なタイライとは違い、

生き抜くためには他人を見捨てろとリャオジエに言い放つ。

 

現実の厳しさと世の不条理を知ったリャオジエは、

父とシャの間で揺らぎ始める・・・。
こんなお話です。


出演は、バイ・ルンイン、リウ・グァンティン、アキオ・チェン、

ユージェニー・リウ、門脇麦、ホアン・ジエンウェイ等。


本作の主人公は少年です。

どうしても家が欲しいという純粋な思いが強く、いい人の父親に対して

苛立ちを隠さない少年をバイ・ルンインが好演しています。

彼の表情や感情が、バブルの残酷さを全て表していましたね。
 

父親役をリウ・グァンティンが演じています。

イケメンです。

そして本編では、いい人が滲み出ていました。

お金は儲からなくても、俺は彼のような生き方に共感します。
 

ところで、この台湾映画に、日本代表として、

門脇麦さんが出演しています。

見事な台湾語を披露してくれました。

日本の俳優さんが世界で活躍する姿には、誇りを感じました!


MY評価: ☆4 (☆5で満点)