湖の女たち

『さよなら渓谷』の原作者・吉田修一と、

大森立嗣監督が再び組んだミステリーです。

 

ある介護施設で一人の老人が殺害された事件を巡り、

翻弄される人々の姿を描く。



何というか、表現が難しいのですが、

とっても陰鬱感が全編を覆い尽くした映画です。

現代社会の閉塞感を詰め込んだような作品とも言えます。

 

そうなんです、暗いのです。

だから、デートには向きません。
 

陰鬱、閉塞感、あと思い付くキーワードとしては、

傷の舐め合い、変態、エロティシズム、美しい景色、あたりでしょうか。

変なワードを書き出してみましたが、見た人は分かるはずです。
 

人間は、絶望したり、窮地に追い詰め続けると、

狂う生き物だということを改めて痛感しました。

 

所謂、心が折れる、心が壊れる、メンタルがやられる、

まぁ、いろんな言い方があります。

 

一度、壊れるとなかなか元には戻りません。

肉体的な怪我と違う点は、まさにそこです。

 

多少の時間が治癒してくれる怪我とは違って、なかなか治らないし、

一瞬治ったかのように見えたり、表面的には戻ったようでも、

何かのキッカケですぐに再発するのが心の病気です。

 

最近、流行りの依存症の類も、ある意味でそうです。

ギャンブル、ドラッグ、セックス、ゲーム、ポルノ、

一度依存症に陥ると、なかなか脱出するのは難しい。

 

頭では分かっているつもりでも止められない。

まぁ、病気です。
 

昔に比べて、心を病んでいる人の割合が、確実に増えていると思います。

なぜなのでしょうね?

 

俺の勝手な分析になりますが、やっぱり、心を落ち着ける場所、人、

時間が無くなってきているからではないかと感じています。

 

何事にも、余裕や遊びがなく、白か黒か、ゼロか100か、

まさにデジタルな感じです。

 

そして、コンプライアンスの時代。

言いたいことも言えず、常に気を使い続ける日々。

 

さらに、スマホをひと時も手放せずに、SNSに取り憑かれている若者たち。

こうなっていくのも、何となく分かる気がする。

 

社会の中に、いい具合にガス抜きできる仕組みや仕掛けが欲しい。

もっともっと個性が尊重され、周りの意見や考えを傾聴する文化が

根付いて欲しい。

 

要は、自分が自分でいられる、

存在意義を見い出せるような世の中であって欲しい。

 

いきなり変わることは出来ないが、少しずつでも、

みんながみんなを讃え合えるような社会になることを願っています。

 

ちょっと説教っぽくなってしまって、すみません。

感想はこんなところです。

 

 

湖畔に建つ介護施設で、100歳の老人が何者かに殺害された。

事件の捜査を担当する西湖署の若手刑事・濱中圭介と

ベテラン刑事・伊佐美佑は、施設関係者の中から容疑者を挙げて

執拗に取り調べを行なっていく。

 

事件が混迷を極めるなか、圭介は捜査で出会った介護士・豊田佳代に

対して歪んだ支配欲を抱くように。

 

一方、事件を追う週刊誌記者・池田由季は、署が隠蔽してきた

薬害事件が今回の殺人事件に関係していることを突き止めるが・・・。
こんなお話です。


出演は、福士蒼汰、松本まりか、福地桃子、近藤芳正、平田満、

根岸季衣、菅原大吉、土屋希乃、北香那、大後寿々花、川面千晶、

呉城久美、穂志もえか、奥野瑛太、吉岡睦雄、信太昌之、鈴木晋介、

長尾卓磨、伊藤佳範、岡本智礼、泉拓磨、財前直見、三田佳子、

浅野忠信等。


キャストの皆さんの渾身の演技が実に素晴らしかったです。
 

まずは、福士蒼汰さん。

イケメンの好感度高い彼と、役とのギャップが大き過ぎて、

ちょっと戸惑ったくらいです。

とても良かったです。
 

次に、松本まりかさん。

最優秀主演女優賞を差し上げます。

あのエロティシズム、脳裏から離れません。

局部を見せなくて、あのフェロモン付きエロさの表現は天才的でしたね。
 

財前直見さんは、最優秀演技賞です!

あの化粧の無い顔、もしかしたら財前直見さんと気づかなかった人も

いるかもしれません。

大女優があそこまでやるって、なかなかないですし、

やらないし、やれないです。
 

最後に、浅野忠信さん。

もう完全にイかれた狂人のようでした。

見ている側は全員、腹ワタが煮えくりかえる思いでした。

それだけ素晴らしい演技だったということです。


MY評価: ☆4 (☆5で満点)