ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ

アメリカ同時多発テロの発生後、グアンタナモ湾収容キャンプに

収容された青年の実話を題材にしたドラマです。

 

いわれなき疑いをかけられ収容所に送られた息子を取り戻すため、

母親が弁護士と協力して当時のジョージ・W・ブッシュ大統領を訴える。

 

第72回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で

最優秀主演賞など2冠に輝いた作品です。


すごい実話があるものです。

政治に人生を翻弄された家族と、それを支えた人たちのドラマでした。
 

リアルの世の中には、理不尽なことがたくさんあります。

でも、それはどうしようもないと諦めていることがほぼほぼ全てです。

 

何か動いて変わるのなら動くのでしょうけど、人は動く前から、

先を想像して、動くことすらしないものです。

 

だって、可能性があるのかどうかすら分からないことに、

労力やコストを払うことに躊躇してしまうのは、

ある意味、仕方のないことです。

 

ただ、本作のように、家族の一員が、無実であるにもかかわらず、

遠く離れた刑務所に収監されてしまい、いつ釈放されるかさえ

分からない状況になったら、家族なら簡単に見過ごすわけにはいかない。

 

特に、我が子がそのような扱いを受けた親ならば、

黙っておくわけにはいかないのは当然です。
 

この実話のキモは、アメリカ合衆国大統領を訴えたということです。

出来ることは何でもやる。

息子を解放するためなら手段は選ばない。

そんな母親の姿が実に印象的でした。


 

2001年9月のアメリカ同時多発テロから1ヵ月後、

ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民のクルナス一家の長男ムラートが、

旅先のパキスタンでタリバンの嫌疑をかけられ拘束され、キューバの

グアンタナモにあるアメリカ軍の収容所に収監されてしまう。

 

数ヵ月後にようやくその事実を知らされた母ラビエは途方に暮れる。

息子の無実を確信しながらも、警察はまるで力になってくれず、

藁にもすがる思いで頼ったのは、電話帳で見つけた人権派弁護士

ベルンハルトだった。

 

彼のアドバイスを受け、ブッシュ大統領を相手にアメリカで

裁判を起こす決意をするラビエだったが・・・。
こんなお話です。


出演は、メルテム・カプタン、アレクサンダー・シェアー、

チャーリー・ヒュブナー、ナズミ・キリク等。



主人公のミセス・クルナスを演じたのは、ルテム・カプタンです。

見た目も中身も、肝っ玉母さん的で良かったです。

あと、やっぱり母親っていいなと改めて感じました。

「母は強し」ですね。


MY評価: ☆3 (☆5で満点)