無名

第2次世界大戦下の上海を舞台に、中国共産党、国民党、日本軍の間で

繰り広げられるスパイたちの攻防戦を描いたサスペンスです。

 

第36回中国映画金鶏賞で最優秀監督賞、最優秀主演男優賞などに輝いた。


なかなか雰囲気のある映画でした。

それは、第二次世界大戦下の上海の緊張感が、終始陰鬱に漂っていました。

 

セットや美術、衣装に小道具など、演出に関わるもの全てに徹底的にこだわり、

時代の再現性を高めているのが、よく分かります。

 

まずは、それだけでも超絶褒め称えたい。

言うのは簡単だけど、実際にやろうとすると、

コストも手間も半端なく掛かるものです。

 

その意味では、中国映画産業は、今やお金持ちなので、

思い切ったことが出来ますね。

羨ましい限りです。
 

あと、戦時下のスパイって、もうそれだけで痺れますね。

もうドキドキが止まらない!ってやつです。

 

しかも、それを演じるのが、中国が誇るスター俳優ということなので、

お膳立ては全て整っていると言える作品です。
 

その他の感想としては、中国が製作する第二次世界大戦関連の映画は、

基本的に、中国寄り、つまり日本悪の前提です。

それは、中国としては当たり前のことです。
 

だけど、本作は、そんなに日本悪の描き方はしていません。

あくまでも、主人公の諜報員たちにスポットライトを当てているので、

日本人が見てもそんなに嫌悪感は抱かないと思います。

 

少しずつ対日感情が改善してきている兆候でしょうか。

来年、戦後80年の節目です。

 

節目の年には、必ず中国や韓国で、反日運動が起きます。

韓国では、いまだに戦争にまつわる損害賠償などの裁判が後を絶ちません。

 

急に状況が変わるものではないので、少しずつ、一歩ずつ、

草の根レベルで関係改善を試みていく他ないです。

改めてそんなことを感じた次第です。


 

中国・汪兆銘政権の政治保衛部に所属するフーは、

中国共産党の秘密工作員だった男ジャンの身辺調査を行う。

 

フーは中国国民党に転向するというジャンから共産党幹部の情報を

聞き出すことに成功する。

 

1941年、上海に駐在する日本軍スパイのトップ・渡部は、

政治保衛部の主任となったフーやその上司タンと日本料理店で

戦局について話す。

 

フーの部下として働くイエは、

友人ワンとともに諜報活動に従事していたが・・・。
こんなお話です。


出演は、トニー・レオン、ワン・イーボー、ホアン・レイ、

森博之、ジャン・シューイン、ジョウ・シュン、

ダー・ポン、エリック・ワン、チャン・ジンイー等。


二人のスター俳優がやはり、輝いていました。

やっぱり、オーラってありますね。

 

このスター二人の取っ組み合いが、凄まじかったです。

スタントはほんの一部だけ使っていたと思いますが、

ほぼ自ら格闘していました。

本気の殺すつもりの喧嘩って感じが素晴らしかったです!


MY評価: ☆4 (☆5で満点)