バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト

「キング・オブ・ニューヨーク」「フューネラル」などで知られる

アメリカ・インディーズ映画界の鬼才アベル・フェラーラの代表作の

ひとつで、ニューヨークを舞台に、暴力と弱さのあいだで葛藤する

人間と都市の暗部を描いた人間ドラマです。

 

1992年のカンヌ国際映画祭で上映されるも、

ショッキングな描写や内容から賛否を呼んだ問題作。

 


実は正直に言うと、昔の映画とは知らずに見ました。

始まってすぐに、それに気付きましたが、中身が面白すぎて、

そんなことはどうでもいいと思えるくらい、引き込まれました。

 

ちなみに、公開されたのは、1992年。

今から、30年以上も昔です。
 

見る前に、簡単な紹介文だけ読んだのですが、

その通り、ショッキングな内容です。

 

まず、悪徳警官の度が過ぎます。

国家権力を司る官吏が、ドラッグ、酒、女、盗み、賭博、

何でもやりたい放題です。

 

正義なんて、微塵もありません。

全てが私利私欲のために行動する悪徳刑事が主人公です。
 

描写もえげつないです。

主人公のチンチンはモロ見えです。

 

ドラッグをやるシーンも、様々なドラッグを、

あらゆる使用法で克明に見せてくれるので、

ドラッグに興味がある方には、バイブルのような映画です。
 

こんな感じなので、今、この映画を製作しても、

映倫が承認しないかもしれません。

 

ちなみに、作品としては、+R15指定ですが、リアルに判定したら、

+R30くらいが妥当ではないでしょうか笑
 

ところで、本編を通して、メジャーリーグのプレーオフの

ニューヨーク・メッツ対ロサンゼルス・ドジャースの試合が

賭けの対象として取り上げられています。

 

主人公は、試合ごとにことごとく賭けにハズレて、

負債が倍々ゲームで増えていくパターンに陥るのですが、

このシーンがとても面白いのです。

 

テレビのナレーションが響き渡る中で、

負けた時の主人公の怒りや癇癪の表情や言動が最高に可笑しいのです。

 

人の不幸を笑うのは本来、失礼に当たりますが、

下劣な悪徳刑事の不幸は、胸がスーッとすく思いでした!
 

 


血なまぐさい事件が続発するニューヨークを巡回する警部補のLTは、

パトロール中に見かけた売人に麻薬をせびり、

ノミ屋を通して巨額の金を野球の試合に賭けるなど、

酒とドラッグに溺れ、毎日を悪徳の中で過ごす暴力刑事。

 

今日も交通違反に引っ掛かった若い娘にワイセツな行為を働き、

ジャンキーの愛人のもとに通いつめる毎日を送っていた。

 

そんな彼がある日出会った1人の尼僧。

暴漢にレイプされながらも犯人を許すと語る彼女のその言葉と眼差しに、

彼は次第に混乱をきたしてゆく・・・。
こんなお話です。


出演は、ハーヴェイ・カイテル、ゾー・ルンド、フランキー・ソーン、

ヴィクター・アルゴ、ポール・カルデロン、レナード・トーマス、

ロビン・バロウズ、ヴィンセント・ラレスカ、ポール・ヒップ、

ペギー・ゴームリー、エディー・ダニエルズ、ビアンカ・ハンター等。

主演のハーヴェイ・カイテルは、

悪徳刑事のゲス野郎を完璧に演じていました。

何てったって、シラフの時が無いのですから。

 

ほぼ酒で酔っ払っているか、ドラッグでラリっているか、なので、

朦朧としているか、ふらついているか、怒っているか、でした。

 

撮影期間中、ずっとそんな状況を演じていたら、

頭がおかしくなりそうですよね。

大変お疲れ様でした!


MY評価: ☆4 (☆5で満点)