ティル

1955年8月28日、アメリカ・ミシシッピ州マネーで起きた

エメット・ティル殺害事件を題材に描くヒューマンドラマです。

 

白人女性に口笛を吹いたという理由で14歳の息子を殺害された母親が、

その事件を世に知らしめるために立ち上がる。



現在から68年前にアメリカで起きた事件を描いた作品です。

人類の長い歴史の中で、たったの68年前に、

こんなことが起きたことが信じられません。

 

それは事件そのものもそうですし、

その後の裁判や世論も含めてです。

 

アメリカという国の差別に対する根深い問題を改めて痛感しました。

なぜ、皮膚の色が白いだけで、あんなに威張れるのか、

マジで意味が分かりません。

 

この問題、表面上は、68年前より相当改善はされていますが、

白人の心の中には全く消えていません。

白人警察官による黒人への過剰な暴行事件も後を断ちません。

 

世界のリーダーの国として、本当に恥ずかしいです。

もっと言うと、差別問題を無くさない限り、

世界のリーダーになる資格はありません。

 

俺は、本作を見ながら、ずーっと、イライラしながら、ムカつきながら、

悲しみを覚えながら、終始腹立たしい思いで見ていました。

同じ思いの方もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。
 

最後のエンドロールを見て、驚きとともに、

少しだけ怒りが収まった気がします。

 

本作の事件をキッカケとした母親の継続的な活動と、

その後も止まない差別犯罪に対して、長年廃案を繰り返してきた法案が、

やっと昨年アメリカで成立したそうです。

 

その法案の名前、本作の被害者少年の名を取って

「エメット・ティル反リンチ法」と名付けられました。

 

なんでこんなに長時間かかったのかという疑問と怒りはあるものの、

大きな一歩とも思いました。

 

これを契機に、アメリカのみならず、

世界で人種差別などの差別行為が撲滅されることを切に願います。


1955年、イリノイ州シカゴ。

夫を戦争で亡くしたメイミー・ティルは、

空軍で唯一の黒人女性職員として働きながら、

14歳の息子エメットと平穏に暮らしていた。

 

ある日、エメットは初めて生まれ故郷を離れ、

ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れる。

 

しかし彼は飲食雑貨店で白人女性キャロリンに向けて

口笛を吹いたことで白人の怒りを買い、8月28日、

白人集団に拉致されて凄惨なリンチの末に殺されてしまう。

 

息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、

この陰惨な事件を世間に知らしめるべく、ある大胆な行動を起こす・・・。
こんなお話です。


出演は、ダニエル・デッドワイラー、ジェイリン・ホール、

フランキー・フェイソン、ヘイリー・ベネット、

ウーピー・ゴールドバーグ等。

主演は被害者少年の母親を演じたダニエル・デッドワイラーです。

素晴らしいの一言です。

法廷での証言のシーンは、彼女の魂と共鳴して、

俺の魂も揺さぶられました。

オスカーを獲ってもいいくらいの熱演でした。
 

白人の役を演じた俳優さんたち、マジでムカつきました。

死んでくれ!と心で叫んでました!笑

特に、事件のきっかけとなった食料品店のレジ係で、

裁判で偽証した女性には、今年一番腹がたちました!

 

これ以上言うと、俺もあの白人野郎たちと同じになりそうなので、

この辺でやめときます!!


MY評価: ☆5 (☆5で満点)