首

首

『アウトレイジ』シリーズなどの北野武監督が自身の小説を原作に、

本能寺の変を描く時代劇です。

北野監督が脚本などのほか羽柴秀吉役も務め、天下取りを狙う織田信長、

徳川家康、さらに明智光秀ら戦国武将たちの野望を映し出す。

戦国時代の模様は、これまで数え切れないほど、

映画やドラマで描かれてきた。

幕末と並び、人間関係しかり、時運の流れしかり、

とにかく面白いからです。

そんな戦国時代も特に、織田信長が天下統一を狙ってのし上がり、

本能寺の変から大きく流れが変わっていく様が、

戦国時代の一番の見どころと思う。
 

まさにそのタイミングを、ビートたけしが構想30年を経て、

完成したのが本作です。
 

「ビートたけしが作るとこうなるのか！」と

まずは新鮮さを感じたのが第一印象です。

とにかく、人間の汚い部分を堂々と描いてあるというのが特徴です。

でも、確かに、あの時代に生き残るには、正直者や正義感の強い者は、

かえって消された時代と言えますね。
 

あと、やはり、クスクス笑える種が、あちこちに仕掛けられていて、

そこも従来の時代劇とは一線を画しています。
 

もう一つ、これまでの時代劇でなかなか見られなかったシーンがあります。

首切りです。

戦の時に刀で切られたり、切腹時に腹を切った後に介錯人が首を切ります。

その首が胴体から落ちるシーンは、これまであまり見たことがありません。

本作のタイトルは、「首」です。

きっと、首に焦点をしっかりと当てるために、

そのシーンには強くこだわったのでしょうね。

見ていて気持ちの良いものではありませんが、

首が大きく印象付けられたのは間違いありません。

やっぱり、映画は、監督で丸っきり変わるものですね。


天下統一を目指す織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、

京都の寺社勢力と激しい攻防を繰り広げていた。

そんな中、信長の家臣・荒木村重が謀反を起こして姿を消す。

信長は明智光秀や羽柴秀吉ら家臣たちを集め、

自身の跡目相続を餌に村重の捜索命令を下す。

秀吉は弟・秀長や軍師・黒田官兵衛らとともに策を練り、

元忍の芸人・曽呂利新左衛門に村重を探すよう指示。

実は秀吉はこの騒動に乗じて信長と光秀を陥れ、

自ら天下を獲ろうと狙っていた・・・。
こんなお話です。


出演は、ビートたけし、西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、木村祐一、

遠藤憲一、勝村政信、寺島進、桐谷健太、浅野忠信、大森南朋、

六平直政、大竹まこと、津田寛治、荒川良々、寛一郎、副島淳、

小林薫、岸部一徳等。

豪華キャストです。

KADOKAWAとビートたけしがタッグを組んで本気でやれば、

これだけの俳優陣が集まるのですね。

豪華過ぎて、一部の俳優さんの起用について、

勿体無いなーって思ったりしました笑
 

たくさんの一流俳優さんがいましたが、一番印象に残ったのは、

織田信長を演じた加瀬亮さんです。

もう完全にビートたけしの作り上げた織田信長が乗り移っていましたね。

狂気の沙汰とも思える幾つかのシーンもとても印象的でした。


ＭＹ評価： ☆３ （☆５で満点）