神は見返りを求める

『BLUE/ブルー』『空白』などの吉田恵輔監督が脚本も手掛け、

YouTuberを題材に描くラブストーリーです。

見返りを求めない優しい男性とどん底YouTuberの関係を映し出す。

いやぁー、面白かったです！

人間関係が、「こんなにも簡単に壊れていくのか！」を、とっても生々しく描かれていました。

そして、現代社会が、薄っぺらい人間関係で成り立っているのが、

とても良く分かる作品です。

結局のところ、世の中、自己チューの人間で溢れているということです。

もちろん、自分が一番可愛いのは誰でも一緒です。

ただ、その際に、自分の利益のため、場合によっては自己満足のために、他人を踏み台にしたり、

餌にしたり、傷つけてもいいなんて考えは絶対に間違っている。

そう思いませんか？

ところで、最近は、子供に将来になりたい仕事と聞くと、「YouTuber」と答える子が多いとか。

自己表現をしたい気持ちは分かるが、それを職業にしたいと思わせる時代になったことが、

俺は怖い。

ユーチューバーがダメと言っているわけではないんだけどね。

何か、好きなことをテキトーにやって、簡単に金儲け出来るという妄想が広がる世の中を

憂いているのです。

映画の作品としては、良く出来ています。

登場人物一人一人に対して、いろんな感情が芽生えてきました。

また、場面転換の切り換えのテンポが良くて、全く飽きさせず、中弛みゼロで、

たくさんの登場人物の人間関係が目まぐるしく変化していく様が

よく描かれていたと思います。

イベント会社に勤める田母神は、合コンで底辺YouTuberのゆりちゃんと出会い、

同情心から彼女のYouTubeチャンネルを手伝うようになる。

見返りを求めないその優しさに、“神”と喜ぶゆりちゃん。

そんな中、田母神の同僚・梅川に人気YouTuberを紹介してもらい、

コラボ動画でバズった彼女は、一躍人気YouTuberの仲間入りを果たすのだったが・・・。

こんなお話です。

出演は、ムロツヨシ、岸井ゆきの、若葉竜也、吉村界人、淡梨、柳俊太郎、

田村健太郎、中山求一郎、廣瀬祐樹、下川恭平、前原滉等。

主演のムロツヨシが、良かったです！

前半の優しい神も、後半の恐ろしい神も、対極的な演技が見事でした。

俗に言う、いい人って、結局、あんな風に貧乏くじを引いちゃうんですよね。

とてもリアリティーがありました。

岸井ゆきのも、最高でしたね。

前半の不器用だけど前向きで頑張り屋のYouTuberも、後半の他人に利用され、

流されるYouTuberも、何だかとっても人間っぽくて、俺はあんな子が嫌いではないです。

下着姿や手ブラシーンなど、体当たり演技も良かったです！

最後に、俺はどうしても、あと一人、賞賛したい。

主人公の田母神と会社の同僚で、人の文句ばかり言っているサイテーの男役の若葉竜也です。

人の文句を有る事無い事吹聴して、他人の人間関係が壊れるのを楽しみに生きる、

人間として底辺以下のゲス野郎なのですが、台詞の内容も酷ければ、話し方もゲスいのです。

本当にムカムカしてきて、殺したくなるほどです。

あれは、見事な演技でしたね。

あそこまでのゲス野郎、なかなか演じられませんよ。

ＭＹ評価： ☆４（☆５で満点）