共謀家族

 

『ウーマン・イン・レッド ~スキャンダルな夫~』などのシャオ・ヤンらが出演した

サスペンスドラマです。

誤って殺人を犯した娘を守るため、映画マニアの父親が映画で得たトリックを使って

アリバイ作りに奔走する。

 

 

久しぶりに面白い中国映画を見た気がします。

中国映画特有のオンリツプの合成の甘さは少し気になりましたが、

そんなことは寛容に思えるほどの大切なものがありました。

 

それは家族愛です。

ちょっと臭いと思うかもしれませんが、親なら誰しもが共感するはずです。

 

究極の状況に追い込まれた時にこそ人間性は出ます。

家族を想う気持ちは、他の何にも代え難いものです。

 

さらにそこにエンターテイメントとしての演出の要素が効かせれば、鬼に金棒です。

セオリーですが、善と悪の対照的な演出です。

 

善人をどんなに良く見せても比較対照がないと大した善人には見えません。

悪い奴がいるとグッと引き立ちます。

それが悪ければ悪いほどいいのです。

 

つまり、権力を振りかざす警察組織とか、自分の名誉と金にしか興味のない政治家とか。

本作はまさに鉄板中の鉄板の演出でしたね。

 

そうと分かっていても、心を揺さぶられ、掻き乱され、主人公一家の幸せを必死に願いました。

一方で、あの警察局長一家の罰当たりも同時に願いました。

 

まさかあんなエンディングになるとは驚きでした。

でも、主人公らしいとも思いました。

 

脚本、演出、キャスト、映画を構成する主要な要素が、それぞれとても良かったです。

それが調和して全体としてもとても面白く仕上がっていました。

 

 

幼い頃に中国からタイに移住したリー・ウェイジエ。

ある日、高校生の娘ピンピンがサマーキャンプで不良高校生のスーチャットに暴行され、

後日、自宅にやって来たスーチャットと揉み合いになった彼女は誤って殺してしまう。

 

映画マニアで犯罪映画に詳しいリーは娘と家族を守るため、

完璧なアリバイの工作に乗り出す。

しかしスーチャットの母親は地区の警察局長だった。

 

スーチャットの行方を追う警察局長は、その立場を利用し、

強引な捜査で徐々に一家を追い詰めていくのだったが・・・。

こんなお話です。

 

 

出演は、シャオ・ヤン、タン・ジュオ、ジョアン・チェン、フィリップ・クン、

シュー・ウェンシャン、チョン・プイ等。

 

主演のシャオ・ヤンですが、そこら辺にいそうな中年おじさんのようですが、

普段の親しみのある表情と、追い詰められた時の真剣な眼差しが、特に印象的でした。

同一人物とは思えないほど、顔の表情のギアチェンジが凄かったです。

 

母親、娘2人も良かったです。

等身大な感じで、皆さんがそこら辺にいる普通の人たちみたいで、

それがリアリティーを生み出していたと思います。

 

警察局長役のジョアン・チェンが本作をギュッと引き締めていましたね。

警察組織のトップに立つ女ボス役がとても似合っていました。

 

不正に手を染める刑事の若造も良かったです。

殺してやりたいほど憎たらしかったですが、それは役者としての最高の褒め言葉です!

 

MY評価: ☆5 (☆5で満点)