世界一ともいえる大富豪の孫が誘拐されます。ところが大富豪は、身代金は一銭も出さないと報道陣に豪語。あわてたのが、誘拐された孫の母親です。父親である大富豪の息子とは離婚しており、その際、大富豪とは親権を巡って争ったという確執があります。
物語は、誘拐犯との交渉と大富豪の説得という二面作戦に奮闘する母親を中心に描かれていきます。
特筆すべきは、大富豪の強欲ぶり。身代金の支払いには同意するものの、金額の引き下げ要求は当たり前で、税金対策として身代金を会計上どう扱うかが重要課題という徹底ぶりです。
事実を映画向けに脚色したところもあるとおもいますが、それでも、大富豪の人生の結末には考えさせられるものがあります。強欲、冷酷、吝嗇、守銭奴等、色々な言葉が浮かんでくる大富豪を演じているクリストファー・プラマーの演技が素晴らしいです。
それにしても、当初大富豪役であったケビン・スペイシーのスキャンダルによる降板に伴い9日間で撮りなおしたとはとてもおもえない仕上がりは、リドリースコット監督の面目躍如です。