不登校長男が生まれてからのことを振り返ると…。


まずは新生児の頃からギャーギャー泣いて対応に苦慮した。なんで泣いているのか分からず精神的にも結構追い詰められてノイローゼになりそうだった。今思えば保健師なり小児科なりに相談すれば良かったのだろうが、体調が悪い訳でもないし、赤ちゃんは泣くのが仕事だというし…、と誰にも相談しなかったし、健診でも異常は指摘されなかったので、そんなものかと思ってそのままにしていた。生後2ヶ月になりニッコリ笑うようになり、その後成長と共にコミュニケーションが取れるようになり楽にはなってきた。


ただしこだわりは非常に強く、これと言ったら絶対にこれなので折り合いをつけるのがとても困難だった。また、一人遊びはほぼせずに、ずっとかまってもらいたいので、親としては地味にこれも辛かった。子育ては楽しいというより忍耐だった。


一方で、知的好奇心が非常に強く、特に文字や働く車にとても強い関心と興味を示した。工事現場に連れて行くと長時間食い入るように見続けていた。親としてはその間かまわなくて良くて結構助かったので、近所の工事スケジュールをチェックして各地を毎日周ったものだ。工事現場の方には、重機に乗せて頂いたり、お菓子やオモチャをもらったり、とてもお世話になった。


文字に対する興味も著しく、街中のサインを全て覚えていった。規則性を見て理解しているらしく、私も知らないアルファベットでもない外国語の読み書きもいつの間にやら習得しており、この子はロゼッタストーンも自力で読めるのではないかと思ったほどだ。


4歳になり弟が生まれ、彼の生活は激変した。激しい赤ちゃん返りで、長男は私から1メートル以上離れることができなくなってしまった。ネットで赤ちゃん返りの対処法をあれこれ調べて全部やってみたが、効果なし。困り果てて弟の保育園の園長に相談した。園長先生のアドバイスはこうだった。手は弟の面倒を見てていいんだけど、口でお兄ちゃんをかまってあげてください。今何々してるね、など声をかけて注目していることを伝えてください、と。


これは効果絶大だった。


実況中継のごとく、今長男くんはソファに座って絵本を取りました。ページを開いて中を見ています。あ、ニッコリ笑いました、などとやる訳です。


こちらは口を動かすだけで良いし、長男はニッコリするしで本当助かりました。赤ちゃん返りが瞬く間にピタリとウソのように治りました。


園長先生、ありがとうございます!とお礼を言うと、いえいえその時期が来ていただけですよ、と。さすがプロ、スゴすぎる。


保育園は私の英語コンプレックスを反映してインターナショナルに通園。長男は保育園が好きすぎて、休みの日も園の入り口まで行って中を覗き込んでいた。英語の面だけではなく、個々の主体性や創造性を大事にして育むここの教育方針は彼にとても合っていたと思う。保育園児は感覚で英語をしゃべっていると言われるが、長男は違った。英語の構造を理解しながら文法の誤りなく仮定法まで使いこなしていたし、卒園の頃は小学生低学年向けのちょっとした小説も自力で読むようになっていた。早期英語教育は賛否両論あるが、日本語の遅れもなく、悪い面は何もなかったと思う。特に良かったのは、Show and tellと言って、テーマ毎に自分が調べたことや感じたことをまとめてプレゼンテーションして、それに基づいてみんなでディスカッションする機会が度々あり、長男は嬉々として毎回一生懸命取り組んでいた。次男が後に別のインター保育園に通園したのだが、それと比べてここの園のShow and tellの内容は断然充実しており、長男にはピッタリだったのだと思う。


そんな長男が、卒園式で語った将来の夢は、農家になることだった。農家になりたいが、しかし土で汚れるのはイヤだ、というくだりにクスリと笑ったものである。


小学校ではどんな楽しい勉強が待っているのだろうと、意気揚々として期待に胸を膨らませて卒園した。