ただの親バカかもしれないが、長男は知的には高い方だと思う。

でも欠落している能力があり、これが生きづらさに直結している。

それは、感情表現できない、感情を言語化できないこと。

嫌なことがあっても、自分の気持ちを言葉で相手に伝えることができない。

だから外では嫌なことがあってもひたすら我慢するだけ。家ではすぐに叩く蹴る。

これに対し、私は今思えば間違った対応を取っていた。長男のやっていることに対し、何でそんなことするの?暴力はいけないことだから止めなさいと指示するだけだった。もちろんそんな対応では何も改善しなかった。

小学生になり、どんどん家庭内の摩擦が増えてくる中で、私はペアレントトレーニングを受けたのだが、この中で、私と長男にピタリと当てはまったものがある。

それは感情のラベリングだった。

長男は感情を言葉で表せず、我慢するか暴力で表現するしかない。感情のラベリングは、親が長男の感じているだろうことを言葉で代わりに表現するというものだ。

「弟が自分より美味しそうなおやつを食べていてうらやましかったんだね。自分は◯◯で我慢したのに、不公平でズルいと思って悲しい気持ちになったのかな?」

などというと怒って暴れていた長男が、「全く、本当にそうなんだよ!」と叫んで、その後うそのようにピタリと落ち着くのである。

これはめちゃくちゃ有効だった。

長男にとっては、ママが自分の気持ちを理解してくれていると感じるらしく、親子関係がものすごく改善した。

でもいまだに本人から自発的に感情を伝えてくることはなく、「うー」とか「キー」とか不満の奇声やら、いきなりドスっと音がして、「エーン、お兄ちゃんが蹴った」と次男の泣き声が聞こえてくる。

不器用なんだね…。