昨夜は地元のドナルドギブソンさんのバンドにコロラドからアランハーマンというトロンボー二ストをお迎えしてのライブを構成を変えて3部で開催しました。
一部はギブソンさんとハーマンさんをメインにアランさんの友人のジョンジョイス氏もドラムで、スタンリーヘイズさんもクラリネットで曲ごとに交代参加しながらハーマンさんのアルバムからとデキシーランドジャズも入れて。二部はギブソンさんのオリジナルと日本の曲を中心に。3部は入れ替わりやすいセッションスタイルでと盛りだくさんな構成でした。
PAとしては構成が変わるのはとても面倒な作業でして、お客様にとってはいろんな太鼓やウインドが聴けると得した気分でしょうが、ミキサー周りは遊んでいられません。
演者によって音圧も変われば極端なのは管楽器用のマイクでMCなど入れられるといちいちリバーブなどエフェクトを外さないと響きが変わって聞き取りにくいので、都度都度入り切りしないといけません。
MC用にマイクは用意してあるのですが演者は面倒なんでしょうね。
おそらく耳のいいひとしか分かってはくれていないと思うのですが、100平米ほどのライブハウスですが私の店は生音だけで勝負しようと思うと全部ではありませんが、かなり残念なことになると思います。
おそらくこの半分ぐらいのスペースのライブ屋さんはピアノとヴォーカル程度はマイクで拾うことをしてもドラムや管楽器は拾わないと思います。実際ほとんど必要ないからです。
うちの場合対角線で14M ありますから、近くで鳴ってる楽器と14M 先にある楽器の鳴りでは曲によって聴き取りにくいこともあります。
もちろん距離感は大事なので多少聴き取りにくいことは残すのですが、理想はそれを保ちつつアンサンブルとして音圧も調整しますし、その際ダイレクト音とほぼ近似であるかそれ以上の音構成に変調させることを目的としてます。
変調というと難しいですが、要はよりその楽器らしい音にする、もしくは演者が期待する音を作り上げることを言います。
またライブハウスにはその場固有の音特性が存在します。
簡単な例でいいますと野外ライブは遠くにこだまする広さがありますが、強い残響ではありません。「行ったら行きっきり」な音たちばかりです。
小さな部屋は壁の素材や空間の距離で残響の強さも特に共振して大きくなる音域も違いが出ます。「波」の要素があるから。
マイクで拾う音は少なからず人の受けている印象のものと違和感があることをよく体験します。
それは受け手の耳の受信特性も影響します。歳を重ねるとどんどん波長の短い高い音が聞こえにくくなります。それでも訓練を続けるとある程度保てる昨日ではあります。また大きな音圧に晒される時間が長いと同じように高い音は聞こえにくくなります。
またバンド演奏の場合オーディエンスはその時耳で聞こえたいものしか聞こえなくなるマスキング効果が必ずあるので曲の進行に従って音のメリハリを出すのに音圧や音色を操作するのは不断に続くのです。
これらを全部総合して「音場」の構成をプロヂュースするのがPAの仕事です。
そこでマイクを替えられるととても面倒なことになるのをお分かりいただけるでしょうか?
普段優先するのは演者の希望です。それをリハーサルでいつも確認しながら構成していきます。
アランさんはトロンボーン二ストとしては1960年代から活躍する生きる伝説のような人らしいです。
管楽器のアーティストはあまり詳しくないので私などはあまり抵抗なく話しますが、ギブソンさんなどは隣で吹かせてもらうだけで恐れ多い方なんですって。
ま、でもお会いすると犬好きの人のいいおじいちゃんという印象でネオを「いい犬だ」と可愛がってくれていました。物理学の博士号を持っていてコロラドのボルダーにあるコロラド大学の講師もしているんだって。素材、特に蓄電池の関係に詳しいらしい。
久しぶりに昨夜は英語脳で話していましたがこうして日本語に変換しながら記録していると「多分そうみたい」っていい加減英会話で終始してました。
お友達のドラマーのジョンさんは20日のころオーストリアのウィーンでたまたま正式メンバーが出られなくなったのでトラ(予備のメンバーのこと)でエラフィッツジェラルドのバックをしたことがあるそうで、うちの娘の描いたイラストを喜んで眺めておられました。
スタンリーさんは沖縄の米軍基地の小学校の校長先生をされているのですが、那覇から日本人の奥様も連れてこられてライブを楽しんでいかれました。デキシーのノリのいいクリアなクラリネットはこの楽器って実は学校の暗い印象を引きずっていましたが、こんなに爽やかな楽器なんだって感じました。
スコットさんは下目黒在住で恵比寿周辺でいつもライブをしているプレーヤーで努力家で終演後長く彼と話をしていましたが、キマジメな性格が音に出てましたね。
そそアランさん80近く年配な方ですが、昨日のリハーサルでチューニング中「トレブル(高音)」を少し削ってくれと言われてチューンアップしました。あと全体の音圧についてもいくつか注文がありましたが物理学者らしく音圧を携帯の計測を確認しながら作りました。
あの年齢で高音がやかましいというのは「聞こえているんだ」と思った瞬間です。
トロンボーンの音はこうあってほしいというこだわりはプロですね。
終演後アレンさんに「Professional」とお褒めいただいて安堵しました。
このパフォーマンスにチャージ2500円は安かったんじゃない?ギブソンさん。