連結範囲の話についてKOHさんのところからTBをいただきました、
お礼もかねてこちらからも何か書いておこうかなと。

>会計側の人間が言うのもなんですが、そんなに会計上子会社とすることって重要なことなのですかね?というか、ほりえもんはニッポン放送を(そしてフジテレビを)会計上の連結子会社にすることが目的で株買ってるんですか?

どうなんでしょうね。
個人的に、企業側のスタンスとして、
・優良子会社(売上大きい・利益大きい)は連結対象にしたい
・不良子会社(赤字大きい・債務超過)は連結からはずしたい
と考えているのではないかなと思っています。
事務コストであるところの手間などは無視しての話ですけど。

ライブドアのようなM&Aで大きくなっていくような企業にとって、
拡大傾向を外部に示す必要性があるでしょうから、
連結の数字をできるだけ大きくしたい誘因はあると思います。
連結子会社がどれだけ増えたかなぁ?といって、
普通の投資家が注記をチェックすることはあまりないでしょうから、
財務諸表の数字が大きくなれば、インパクトはあるかなと。
拡大成長が止まったと判断されたら、株価暴落しかねませんし。

普通の企業であれば、どうでもいいというか、
手間が増えるのでパスしたい部分なんでしょうけどね。

>ただ、「通常の場合、子会社の条件は出資比率5割以上で、取締役派遣などで経営に強く関与しているとみなされない限り、会計上子会社扱いとはされない。」との表現は、確かに会計基準と照らし合わせると不正確かもしれませんが、ライブドアがニッポン放送に対する支配を獲得していない(と思われる)現状においては、さして違和感を感じないのですが、いかがなものでしょうか。

このご指摘、実は重要な問題を指摘している気がします。

従来の連結範囲を利用した粉飾といえば、
形式基準であった連結はずしを利用するものでした。
つまり、
・不良債権の飛ばし
・押し込み販売
の相手先としての子会社を、連結範囲からはずすことで、
連結上の見た目をよくするという方法です。

ただ、前から思っているのですが、連結範囲へ組み込むことで、
逆に連結上の見た目をよくすることもできるはずですよね。
そのときの連結範囲の決定も当然ながら支配力基準になるわけですが、
「連結はずし」を防ぐために導入された基準ですから、
連結組み込みに対してはむしろ弱いのかもしれません。
「この会社いれないとまずくないですか?」
ということはあっても、
「この会社いれているとまずくないですか?」
というのは、現状あまり聞かないような気がします。

そうして考えてみると、
会計基準上は明らかにおかしいのですが、
実態としては違和感は感じないというKOHさんの発言は、
かなり鋭いところを突いてると思います。
当初はKOHさんの発言に対して、いまいちしっくりきませんでしたが、
よくよく読み返すと、納得いくところです。

今後、もしかすると、連結上は実質赤字であるにもかかわらず、
支配が疑わしい会社を連結することで、見かけ上黒字にするという大技が、
繰り出されるようになってくる可能性がありますね。
PBRとか含み資産を組み合わせて考えてみると、
いろいろ面白いことが浮かんできましたが、
それはまた別の話として書くことにします。