ファイナンス方面からライブドアの分析をしてきましたが、
今回の記事で、ライブドアには一区切りつけようかなと。
いろんなブログをみてまわって、
とっても勉強になったなぁ、というのが素直な感想です。
最初にお断りしておきますが、あくまで推論に推論を重ねて、
てきと~に思いついたことを書き散らしているだけですからね。


さて、今回のテーマ「ライブドアの倒産リスク」を考えた場合に、
現時点で顕在化する可能性が高いケースとしては、
「リーマンブラザーズにより転換社債の償還を求められたときに
 ライブドアに償還に応じるお金がない場合」
が考えられるのではないでしょうか。
(1)リーマンブラザーズが転換社債を償還する
(2)ライブドアにお金がない
この2つの条件がそろっていると、
ライブドアにはまずいことになると思われます。

まずは(1)の条件ですが、株式に転換しない、
つまり株式にしても儲からないケースが該当します。
これについて、今回の社債の発行内容から読み取ってみると。

A 下限転換価額を割り込む
B ライブドアが上場廃止になる

この2つが該当してくるのではないでしょうか。
(社債の内容については、
「ライブドアのファイナンス 社債の内容はどうなのか?」
 「ライブドアのファイナンス~2~ 転換価額を詳細に」参照)

Aについていうのであれば、
MSCBや貸株の問題もありますから、
もともと下げ圧力は存在しています。
それに加え、フジテレビによるニッポン放送防衛作戦により、
ライブドアへの期待が剥げ落ちるようであれば、
株価が暴落して157円を割り込む可能性もあります。

Bについては、上場廃止基準に抵触しないこと、
それが最低限求められるところですね。
つまり、決算などでケチがつくとまずいわけですから、
ぶっちゃけ担当監査法人はドキドキものじゃないでしょうか。
ちなみに、港陽監査法人が担当しています。

また、上場廃止になるケースとしては、
倒産することも該当しますけれど、
今回は倒産リスクを検討していますので、
省略しておきます。

ということで、Aの条件に関しては、
「フジテレビがどのような行動にでるか」
これが重要な要素だと思います。

ひきつづき(2)の条件に移りますと、
ニッポン放送の株を取得した現時点はまさに該当するでしょう。
今回発行した転換社債は800億円であり、
連結総資産1000億円のライブドアにとっては巨額です。
ですので、取得したニッポン放送株式について、
無事売却などで換金できない場合は、
資金不足が続くと考えられます。

以上から、Bの条件に関しても、
「フジテレビがどのような行動にでるか」
これがやっぱり重要な要素ではないでしょうか。


では、ライブドアが倒産したらどうなるのか?
これをちょっと想像してみます。
「35%あまりのニッポン放送株式はどうなるの?」

・フジテレビが引き取る
・リーマンブラザーズが引き取る
・その他誰かが引き取る

結局は、誰かが引き取ることになるハズです。
本来であればフジテレビが引き取るのでしょうけど、
何を思ったか堀江社長と喧嘩しています。
ならば、今回の資金調達先であるリーマンブラザーズかというと、
放送法による外資規制があるわけですから、
こんな大量の株を引き取ることはできませんね。
これについては、各所のブログで書かれているところです。
とりあえず思うこととして、
フジテレビがライブドアに敵対的行動を取り続けると、
ライブドアがニッポン放送株式を手放す必要がでたときに、
果たして売ってもらえるのか?

現状のフジテレビの作戦は、
dias51さんがまとめてらっしゃるように、
1.ニッポン放送の上場廃止と、
2.ニッポン放送が保有するフジテレビ株の議決権行使の阻止
にあると思われます。(陽のあたる場所「4660ニッポン放送 3」
これは、磯崎さんのisologue「渋い一手?フジテレビのTOB目標引き下げ」にもあるように、
ニッポン放送株式を25%取得することで、
フジテレビ株の議決権を停止させることが出来るためです。
こうなると、ライブドアがニッポン放送を子会社化しても、
フジテレビの協力なくしては、
無駄に終わる可能性があります。

ですから、フジテレビがライブドアに対して、
非友好的な態度をとり続けるようであれば、
先述したように、ライブドアの倒産リスクは高くなるでしょう。
では繰り返しますが、ライブドアが倒産してしまった場合、
ニッポン放送の株式はどうなるのでしょう?

フジテレビにとって、ニッポン放送の大株主にライブドアが存在する、
それ以上の最悪のケースが考えられます。
たとえば、hetaregumaさんの、
「有報作ってても株はテクニカル」
に登場するような方々がこの株式を引き取ったら?
また、村上ファンドが健在で、
ライブドア株式がそのようなところに分散してでも渡ったら?
大量保有しているライブドアになにかあった場合は、
まとまった株式を一気に買い取るチャンスが発生するわけです。
しかも、3分の1以上を保有できるわけですから、
商法上も無視できない影響力を持つことになります。
また、うまくファンドに分配することで、
少数特定者持株に係る上場廃止基準も回避できるわけで。。。


以上から個人的に思うこととして、
フジテレビがライブドアに対して攻撃したとしても、
結局は自分に跳ね返ってくるんじゃないかと。
つまり、ニッポン放送の株式を35%握った時点で、
ライブドアとフジテレビは一蓮托生になってしまった?
喩えるなら、
爆弾処理をしようとしているフジテレビは
実は自分も吹き飛ばす可能性がある

そんな状態でしょうか。


ファイナンス面からライブドアの行動を分析してきましたが、
CBの発行条件に、上場廃止になった場合は繰上償還請求できる、
つまり倒産のトリガーを引けるというのがありました。
なにやらファイナンス条件や、記者会見を見ている限りでは、
最悪は倒産する覚悟がある、そんな雰囲気が感じられます。

「メディアの連携」という目的に協力してもらえれば、
お互いにハッピーになれるということなのでしょう。
これにより、ライブドアの株価が上昇すれば、
リーマンブラザーズは株式に転換するわけで、
償還による倒産リスクからは解放されるわけです。
しかし、非協力なようであれば、
一緒に吹き飛ぶ覚悟はあります。。。
ファイナンスの内容によっては、自分自身を爆弾化させて、
相手に有無を言わせないこともできるんでしょうね。

今現在、フジテレビに突きつけられているのは、
実はシビアな選択肢なのかもしれませんね。
いろんな人の意見を聞いてみたいところです。

ちなみに、この仮説を基にして、
ライブドア株式の売買計画を考えると、
貸株やMSCBが合わさって、
それはそれで楽しかったり。

<参考サイト>

47thさん「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」
 今回の記事の法律関係はこちらをメインで参照しています

konitanblogさん「投資、経済、日常、人生」
 見方がわかりやすくて面白いです