今日は日経ビジネスの、2005年1月17日号を参考に、
不動産ファンド関連ネタです。
「不動産ファンド向け融資にメガバンクが奔走
 高騰の”真犯人”はここに」

内容としては、
・メガバンクの不動産ファンドへの融資が増加している
・不動産ファンドへの融資の金利競争が発生している
・ノンリコについては、高い金利が普通であった
・現状は企業向けよりも安い事例もある
・資金供給があるために不動産の取得競争も発生する
・不動産のバブル化?
こんな感じでしょうか。

この以前の記事で、「ファンドバブル」がありましたが、
それと関連付けて、今回の記事を眺めてみると、
ちょっと気づいた点があるので、それをまとめてみます。

いくつかの前提をまず挙げてみます。
・低金利により資金供給は潤沢
・銀行は不良債権処理をすすめたい
・不動産価格の上昇は不良債権処理にプラス
これらから考え付くこととして、
潤沢な資金供給により、不動産の売買が盛んになれば、
融資が増えて不良債権処理が進むという、
銀行にとっては望ましい展開になりそうだということです。

ここで、不動産ファンドへの銀行の貸付方法をみると、
プロジェクトファイナンスであるノンリコースローンです。
記事によると、不動産ファンドが物件を購入する際に、
購入資金の60%ぐらいがノンリコで調達されているようです。
例として、物件価格が100億円の場合を仮定すると、
ノンリコ60億円でファンドの投資マネーが40億円となります。

さて、ここで特に問題として考えたいのは、
不良債権処理の手段として、不動産ファンドが利用されるケースです。
以前のブログにて、
UFJ銀行が不動産鑑定評価額を操作していたことを書きました。
さっきの例を用いると、物件価格100億円が150億円になり、
ノンリコ90億円で投資マネー60億円となります。
これだけですと、銀行にとっては特に意味はありません。

しかし、これに条件をもう一つ追加して、
担保としてくっついている銀行の不良債権額を考慮すると。。。
200億円の不良債権があるときに、
100億円の物件を150億円でファンドが買い取る、
そういったケースが想定できます。
このケースについて、銀行側の立場から考えてみると、
・不良債権の処理が少ない損失で可能になる
・物件売却時にキャピタルロスが発生したとしても、
 ファンドの投資マネーが40%までカバーしてくれる
・ノンリコの金額が大きくなれば大きくなるほど、
 期間中に受け取れる利息額が増加する
・不良債権処理と新規融資増加で健全化がすすむ
ということで、負けにくいスキームが見えてきます。
このスキームを支えている大きな条件としては、
やはり「低金利」があると考えます。
銀行にとっては、資金が調達しやすいわけですし、
投資家にとっても定期預金の0.05%の利息に比べ、
3%以上の配当が見込める不動産ファンドに目がいくわけです。
また、対象物件は自分のところで押さえてあり、
資金供給も自前で可能なわけですから、
組成しやすいスキームでもあるわけです。

さらに、よくよく見てみると、
200億円の不良債権が、90億円のファンドへの融資に化けています。
つまりは、不良債権を処理したように見せかけて、
ファンドを利用することで、一部については繰り延べている。。。
そんな図式も成り立つわけです。

さて、今度はこのスキームを投資家の立場から考えてみると、
・現時点では定期預金よりも有利な運用成績である
・物件売却時まで、キャピタルゲインかロスかはわからない
・キャピタルロスの場合に、
 ノンリコのリスクカバーに使われてしまう
・キャピタルロスが発生し、組合損失となった場合に、
 税務上損金算入が認められない可能性がある
 (現時点では税制改正未決定のための表現)
・配当の原資は、家賃収入-銀行利息であるため、
 銀行の利息が変動金利であると圧縮されていく
・物件の取得価額が操作されている場合は、
 銀行利息部分が大きくなり、結果として配当額が小さくなる
といったことになりそうです。
一言でいえば、毎回の配当も、売却時の損益も、
ノンリコ供給している銀行次第になっているわけで。。。
出資者であるにも関わらず、決定権がほとんどないわけです。
まぁ、ファンドですから当然といえば当然ですけども。

以上を踏まえると、
不動産ファンドが銀行の不良債権処理スキームになっていないか、
この点については留意が必要だと思われます。
通常の不動産ファンドに比べると、
リターンが小さくなる可能性が高くなるわけですから、
できることなら調べておきたいところです。
目論見書や、有価証券届出書(昨年12月の法改正を受けて)により、
ファンドのメインバンクがどこであるかぐらいは、
チェックしておいていいのではないでしょうか。