セビリアのフリーペーパー"metro"、2月14日版から
こちらには"metro" "20 minutos"などのフリーペーパーがあり、毎朝制服を着たお姉さんやお兄さんが道行く人に配っています。ほんの20ページほどの新聞ですが、簡単ながら国際、国内、地方、街のニュース、スポーツからクロスワードまでざっとカバーしています。地域のニュースや、安いインターネットプロバイダなどの情報を探すのには結構便利です。
それはそうと。2月14日版の第一面に、「警察、60人のokupasをエンカルナシオン広場のアパートから退去させる」という小さな記事がありました。エンカルナシオン広場とはセビリアの中心地、すぐ近くにマーケットがあるので、私もしょっちゅう魚や野菜を買いに行くところです。
実はこの事件、前日13日の朝に買い物に行くときに、目撃しました。30人ほどの大きな銃(なんというんでしょうか?バズーカではないですが、担ぐ感じのサイズでした)を持った警官たちが、道を占拠していて、買い物に行こうとすると「ここは通れないよ」と注意されました。まあ広場の反対側を通ってそのときは市場に行きましたが。
物見高く人が警官達を囲んでいるので、「一体何なの?」とそこらへんのおじいさんに聞くと、「Okupa達を追い出しているんだよ」との答え。Okupaとは、オキュパと読み、英語のOccupyと同じ語源です。つまり「占拠」-この場合は、使われていない建物(新聞記事によれば、アパート20戸の入った建物だそうです)を「占拠」して、勝手にそこに暮らしていた人たち、ということになります。記事によれば人数はなんと60人以上、そのほとんどが25歳以下で、1年ちかくこの市の中心地に暮らしていたそうです。
買い物に行く地域なので、彼らの存在にはなんとなく気がついてはいました。古くて、手を入れれば素晴らしいだろうと思われる建物ですが、電気ももちろん水も通っていないところに60人も暮らしているので、その前を通るとひどい異臭がしました。また、一面に落書きがあったことも覚えています。今回の追放も、近所の人たちの要請で行われたようですが、それも仕方ないかな、という気はしました。
「それにしても、あんな武器なんていらないじゃないの」と言うと、おじいさんは、「ゴム弾だからね。とにかく人数が多いからな」と答えました。ゴム弾だからって・・・相手は武器も何も持っていないのに。
彼らは結局退去したようですが、新聞記事には、「前もって言って欲しかった。今日から眠るところがない」とコメントが掲載されていした。「市がきちんとした住居をあてがってくれるまで、抗議の意味で市庁舎のドアの前で眠ることにする」とも言っています。
実はこのokupa、スペインではかなり耳にします。使っていない不動産を持っている大家さんは、「占拠」されないように、窓やドアを煉瓦でふさいだりもします。占拠するのですから、もちろん家賃も払わず、その後出て行ってもらうのもなかなか難しい、ということのようです。
彼らはもちろんほとんどの場合仕事もなく、住むところもない人たちなのでしょう。ホームレスになるかどこかを占拠するか、といったら、私だって使われていない建物に住みます。ただ今回の場合気になるのは、みんなとても若いことです。その年で仕事を選ばなくても、電気も通っていないような建物を占拠しなくてはいけないくらい、本当にみんな切羽詰まっているのでしょうか。それほど仕事がないのでしょうか。それとも、社会的な抗議行動のつもりで、そのような生活を選ぶのでしょうか。友人の知り合いは、政治的信念から「占拠」した建物に住むことを選びましたが、自他ともに認める政治オンチの私には、それも何か違うような気がしてならないのです。私有財産に反対、ということのようですが。
体制に反対だ、というのはわかりますが、市に対して、体制に従って働いている人たちの払った税金を使って自分たちの住居をよこせ、というのはやはりちょtっと矛盾している気がします。私が保守的なのかもしれませんが、抗議したいのなら、それだけの力をつけてからにしろ、と思ってしまうのです。システムにおんぶしながらそれに抗議するのではなく。
それでも日本に比べれば、だいぶ元気のある抗議なのかな、とも思いますけれど。そういえば日本では、「建物占拠」のニュースって聞きませんね。ホームレスの人たちがあんなにたくさんいるのに。不思議です。









