◎チャップリンの独裁者
1940年。制作:米国。監督・製作・脚本・主演:チャールズ・チャップリン。124分。
この映画の価値は、あの世界大戦のさ中に正面から反戦の旗を振ったことにある。チャップリンは芸術家、映画人として不朽の名を残したと言えるだろう。最後の6分間の独裁者ヒンケル(実は床屋)の演説は、そのまま現下の傍若無人の専制国家への告発でもある。チャップリンの洞察と決断と実行力に改めて敬意を表示する。
◎ラスト・エンペラー
1987年。制作:伊中米仏国合作。監督:ベルナルド・ベルトルッチ監督。219分。
激動の近代中国を清帝国の最後の皇帝宣統帝溥儀の生涯を通して描いた歴史巨編。
圧巻は冒頭の荘厳かつ広大な故宮でのロケーションによる幼帝の就任式のシーン、よくも実現したものである。胡耀邦、趙紫陽の改革開放路線の故か。戦後生まれの日本人は、近現代の自国の歴史をよく教わっていない。虚実混ぜこぜとは言え、この映画はその空白時代の理解の一助になる。坂本龍一が印象に残る甘粕役。主演のジョン・ローンがいい。
◎ドクトル・ジバゴ
1964年。制作:英米伊国合作。監督:デビッド・リーン。197分。
とにかく自然が美しい。圧倒される。この悠久の大地を舞台に二つの大戦と革命に翻弄された人間たちのドラマ。俳優たちはいずれも余人に代えがたいキャスティング。デビッド・リーン流石である。
◎国宝
2025年。監督:李相日。174分。
本年6月に公開され約半年間で1231万人の観客動員。これは実写映画では22年ぶりの新記録だそうでリピーターが多いのが特徴という。我が国の伝統文化の筆頭でありながら、その実像を多くの国民は理解出来ていなかったし知ろうともしてこなかった歌舞伎の世界。それが映画という異ジャンルの媒体によって現代ドラマとして気軽に観ることが出来たことが大ヒットに繋がったか。当代人気の若手俳優の熱心な演技学習の姿も好感を呼んだ因か。李相日監督の次作が楽しみ。
◎教皇選挙
2024年.制作:米英国合作。監督:エドワード・ベルガー。120分。
新しい教皇の決定は、煙突から昇る煙が白か黒かの合図という知識しかなかったバチカン内部。それが映画とはいえ結構細密に目にすることが出来た。これほど興味をそそるものはない。加えて信仰者として最高位の枢機卿たちの人間臭い跡目を目指す虚々実々。しかもリアルにフランシス教皇の死のニュースが上映期間中に世界に流れた。そのことで歴史に残る作品になるか。








