母が迎えに来た日。 あまりに嬉しくて、記憶がない。
たぶん、兄が連れて行ってくれたのだと思う。
母方の祖母の家に一時避難。
マウント鳥がいないだけで、空気がうまい。
「小さな幸せって、こういうことなんだ」と思った。
でも、優しかった母が変わった。
「私の言うこと聞かないなら、お父さんのところへ返すよ」 えっ…返品…?!
それからは、少しでも逆らうと、 「じゃあ、お父さんのところへ行きなさい」 そんなぁ〜〜〜。
母の怒りは、突然やってくる。 理由はわからない。 私はただ、怯えていた。
今思えば、当時の女性が職に就くには、 努力と忍耐のフルコースだったのだろう。
嫌なことがあっても、我慢・我慢・我慢。
今なら、母のことを少しは理解できる。
「お母さん、何があったの? なぜそんなに怒っているの?」 あの頃の私は、ただ戸惑うばかりだった。 その問いの答えは、小学校5年生の私には届くことは無かった。
私は母を責めた。 でも、責めながらも、母の背中を追いかけていた。
――少女時代の憂鬱Ⅲへ続く。