6月25日、第一短編集出版 | 脚本家/小説家・太田愛のブログ

お待たせいたしました。

元日のブログで告知していた新刊出版のお知らせです。

 

6月25日(水)、初めての短編集『最初の星は最後の家のようだ』が光文社より上梓されます。

昨年4月に発表した『十月の子供たち』から、初めて自分の幼い頃の体験をもとに書いた新作『給水塔』までさまざまなスタイルの五つの短編、そして一編のエッセイをまとめた短編集です。

 

 

まずモノとしての「本」について一言。

念願だった清水裕貴さんの写真をカバーを含めて3枚使わせていただき、國枝達也さんが今回もとても素敵な装幀に仕上げて下さいました(カバー以外のどこに写真が現れるかはお楽しみ)。

電子書籍でも充分に良さを味わえるのですが、紙の本を手に持って表紙から一ページずつ開いていく時、驚きと感動が一段と深くなる。そんな「本」が清水さん、國枝さん、そして編集してくださった小口さんのおかげでできあがりました。みなさんにも、お手にとってこの「本」を味わっていただければ幸いです。文庫になったときにはこの感動はやや薄れるかもしれませんので、書店に並びました際には、確かめるだけでもかまいません、ぜひ一度ページをめくってみてください。

 

作品については、翻訳家の金原瑞人さんが帯にこんな言葉を寄せてくださいました。

 

ーーー作者は様々な設定で、痛いほどの喪失感や切迫感を、隙のない緻密な文体で語ってきたが、常にその背景や前景に現実の世界を浮かび上がらせるのを忘れない。

 

ーーーまず、「十月の子供たち」が素晴らしい。どこともわからない場所に生きる双子の姉弟の物語は、現代を見事に写してみせる。エンディングにそっと差し出される、絶望の果ての祈りに似たかすかな希望。終わりの数ページは、一編の詩としか思えない。「サイレン」は、「記憶しているものが、少しずつ幻になっていく」主人公の物語。読んでいるときに頭に浮かぶ疑問がひとつずつ解決されるたびに切なさがこみあげる。「給水塔」では、少年たちの先に立って冒険に飛びこんでいく少女に圧倒的な存在感がある。遠景から襲いかかってくる真空のような恐怖を、彼女といっしょに味わってほしい。

 

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ぜひお手元にどうぞ。