お知らせです。
今年2月、東川賞特別作家賞受賞を受賞された若い写真家・髙橋健太郎さんの初めての写真集『A RED HAT』が8月23日に刊行されます。
髙橋さんは、ご自身のサイトで「日本という国とこの社会に生きる人々が持つ戦時のような感情をテーマに取材を続けている」と書かれており、2015年には、フランスのルモンド紙の依頼で原爆投下70年の広島を撮影、同紙に掲載されました。
※髙橋さんのホームページは→こちらです。
広島の写真も掲載されています。
今回、刊行される写真集『A RED HAT』は、治安維持法が言論や思想を弾圧する道具として猛威を振るった戦時下に、北海道で起きた「生活図画事件」を題材にしたものです。1941年、旭川師範学校美術部の学生たちが、ただ絵を描いていたという理由で、先生とともに治安維持法違反で逮捕されました。身近な生活をよく観察し、より良い生き方を模索するという生活図画教育が、「国家に反逆する危険な思想の実践」とみなされたのです。
この写真集は、事件の被害者となった当時の学生・菱谷さん、松本さんに髙橋さんが取材を重ね、現在の姿を写真におさめて、当時の資料などとともに一冊の本にまとめたものです。
昨秋、髙橋さんと対談した際、「生活図画事件」を取材しよう思ったきっかけは、2017年の「共謀罪」成立だとおっしゃっていました。「共謀罪」が国会で審議されていた際、金田法務大臣(当時)は、「意味のある場所の写真を撮ったり」していれば、犯罪の「実行準備行為と認定できる」という旨の発言をしました。髙橋さんは、その曖昧な逮捕要件を知った時、自分の身に迫るもの、写真家として生きている自分は、何かの契機でいつ逮捕されるかもしれない、と感じたそうです。これをきっかけに戦時中の治安維持法をもっとよく知らなければと思い、「生活図画事件」に行きついたのだとおっしゃっていました。
『A RED HAT』は出版元の赤々舎さんのサイトから購入できます。
→こちらです。(22日までは予約価格です)
※アマゾンでも購入できます。
また、“Dialogue for People”サイトに掲載された、フォトジャーナリストの安田菜津紀による髙橋さんのインタビューは、写真集刊行にあたっての動機も含め、大変、読み応えのある内容になっています。
→こちらです。
写真集に寄せて、私も短いエッセイを書かせていただきました。
ご興味のある方は、ぜひ上記の各サイトをご覧になってみてください。