これまでのあらすじ。
友人と海に遊びに来た17歳の私はひょんなことから無人島に取り残されてしまう。
その一方で祖国を救うことに成功したヴァン=キオーレは恋人の待つ故郷へ馬を走らせるのであった…。

無人島につくやいなやケガをしてしまった友人A。その隣で夕方からのバイトの心配を始めた友人B。

とりあえずこの島に来た目的の、サバイバル番組で作られた小屋を探すことにしましたが、いくら探してもそれらしき物は見当たりません。
すると友人Aが遥か遠くに見える島を指差してこう言いました。

シーンとしました。

これでこの島にいる意味がまったく無くなってしまった僕達でしたが…
足をケガしてしまい、とてもじゃないが泳いで帰れる状況ではない友人A。

夕方からのバイトの遅刻の言い訳ばかり考えている友人B。

そして私も完全に体力を失いきっていました。
この時初めて3人の頭に共通認識が生まれました。

泳いで帰るのは諦め、それぞれ思い思いのものを手に取り、遠くを行き交う船に助けを求めて叫び続けました。

しかし誰もまったく気づいてくれません。そして無常にも日は暮れ始め、3人の寝床戦争が始まろうとしていた…

その時でした。
遠くで人の声が聞こえました。

漁師のおじさんでした。

漁港でウワサになってました。
おじさんに港まで送ってもらう船の上で3人は同じことを考えていました。

以上で遭難の話はおしまいです。
あの夏確かに3人の将来の夢は漁師で、
友人Bはバイトに少しだけ遅刻した。
今も耳を澄ませばあの乾いたエンジン音が聞こえる。
