政治とメタルと網膜剥離 -36ページ目

東電と自民党の怪しい動きには騙されぬよう

自民党には昨年まで、東電副社長から参議院に転じた加納時男という議員がいた。

加納は東電では事務系(東大法卒)採用であったが、原子力畑も長く、原子力本部副本部長や、原子力担当の副社長も歴任した。小泉内閣で文部科学政務官、福田・麻生内閣で国土交通副大臣を務めていある。派閥は谷垣総裁と同じ宏池会だった。


加納は、現在東電顧問に収まっているが、彼が5月5日の朝日新聞で述べていた内容が凄い。御存知の方も多いと思うが敢えて掲載させていただく。



(以下引用)

—福島の現状をどう感じていますか。
「東電出身、元国会議員として二重の責任を感じている。インターネット上で「お前は絞首刑だ」「A級戦犯だ」と書かれてつらいが、原子力を選択したことは間違っていなかった。地元の強い要望で原発ができ、地域の雇用や所得が上がったのも事実だ。」

(中略)


河野太郎氏は「核燃料サイクル」政策は破たんしていると主張しています。
反原発の集会に出ている人の意見だ。自民党の意見になったことはない。反原発の政党で活躍すればいい。社民党に推薦しますよ。福島瑞穂党首は私の大学の後輩だから

—今後も原発を新設すべきでしょうか。
「太陽光や風力というお言葉はとってもロマンがある。しかし、新増設なしでエネルギーの安定的確保ができるのか。二酸化炭素排出抑制の対策ができるのか。天然ガスや石油を海外から購入する際も、原発があることで有利に交渉できる。原子力の選択肢を放棄すべきではない。福島第一原発第5,6号機も捨てずに生かす選択肢はある」

—東電の責任をどう考えますか。
「東電をつぶせと言う意見があるが、株主の資産が減ってしまう。金融市場や株式市場に大混乱をもたらすような乱暴な議論があるのは残念だ。原子力損害賠償法には「損害が異常に巨大な天災地変によって生じたときはこの限りではない」という免責条項もある。今回の災害があたらないとすると、いったい何があたるのか。全部免責しろとは言わないが、具体的な負担を考えて欲しい」
低線量の放射線は「むしろ健康にいい」と主張する研究者もいる。説得力があると思う。私の同僚も低線量の放射線治療で病気が治った。過剰反応になっているのでは。むしろ低線量は体にいい、ということすら世の中では言えない。これだけでも申し上げたくて取材に応じた」

(引用終わり)


原発に対して批判すると、すぐサヨクを連想する硬直しきった思考、福島瑞穂は東大法の後輩とエリート風を臭わせた嫌味をかます品性、そして福島県民の神経を逆撫でする放射線に関する発言。よく東電もこんな腐れきった男を副社長にしたものだと思う。


この記事に対して怒った福島県飯館村の農家は、避難所を訪れた東電の清水社長に、直接抗議文を突きつけた。

「人格を疑う」 飯舘村の農家、東電顧問の発言に激怒(ニコニコニュース)

(以下引用)

「そんなことを言う科学者に直接お会いしたい。放射線治療は理解できるが、それは医者の管理のもとで放射線を照射するもの。飯舘村で24時間365日高濃度の放射線を浴び続けることが本当に健康にいいのか。科学的に正しいのかお聞きしたい」と怒りをあらわにした。

なお、この発言に対しては、ソフトバンク社長の孫正義氏もTwitter上に「どう思います?」と疑問を呈した上で、「この様な偉そうな方を未だに現役顧問に仰ぐ東電と原発推進派議員達の気がしれない」と厳しい言葉を発している。

 定年退職したのち、孫に安全なお米を食べさせようと同村で水稲農業を始めたばかりだという伊藤さんは語る。「飯舘村にだって子どもや若者がいるんですよ。もし孫がいたら、本当にここへ来て子どもを育てられるのかと面と向かって言いたい。事故を起こしておいて、この主張は(加納氏の)人格を疑う。(東電は)即刻解雇するべきです

(引用終わり)


今の政局は、元来大きな政治力を持つ東電(労組含む)の動きもあいまって、複雑なものになりつつある。


東電、官邸の意向くみ中断 震災翌日の海水注入 首相補佐官「首相は指示せず」 福島原発1号機(日経)

(引用始め)

東京電力は21日の記者会見で、東日本大震災の発生翌日の3月12日に福島第1原子力発電所1号機で進めていた海水の注入を、首相官邸の意向をくんで一時中断したことを明らかにした官邸側が海水注入による再臨界の危険性を指摘しているとの情報を東電側が聞き、止めたという。細野豪志首相補佐官は記者会見で「官邸は注入の事実を把握しておらず、首相は注入を止めることは指示していない」と述べた。

(引用終わり)


この東電の会見の後、加納の属していた宏池会出身の自民党谷垣総裁のボルテージが、妙に上がっている。


海水注入中断、人災の可能性=自民・谷垣総裁(時事通信)


(以下引用)

自民党の谷垣禎一総裁は21日午後、新潟市内で講演し、東京電力福島第1原発事故の発生直後に政府が1号機への海水注入の中断を指示したことについて、「仮に事態の収束を遅らせたならば人災という面も非常にある。国会で徹底的に追及していく必要がある」と語った。
 同党の安倍晋三元首相も同日、京都市内で講演し、「判断の誤りが明らかになった。始めたものを止めたことは万死に値する」と批判した上で、「(国会に)強力な(第三者)委員会をつくって真相を明らかにすべきだ」と主張した。
 谷垣氏はまた、西岡武夫参院議長が菅直人首相の退陣を求めていることに関し、「三権の長として異例の発言だ。政権の中で菅首相が物事をコントロールする力をほとんど失っている」と指摘した。さらに「(東日本大震災の被災地の)復旧でやるべきことがたくさんある。(首相が)その期待に応えられないのであれば、覚悟を固めて臨む必要がある」と述べ、内閣不信任決議案を提出する考えを改めて示唆した。

(引用終わり)


この中で西岡武夫参議院議長云々とある。書きたいことはいろいろあるが、彼の言うことは昔からあまりピントが合っていないので、みなさんも面白半分に聞かれたほうが良い、とだけ申し上げておく。


この海水注入中断については、真相がまだはっきりしていない。気をつけなければいけないのは、東電が太いパイプを持つ自民を利用して、生き残りを図っている可能性がある、という点である。


以下に、東電出身の加納も参与として加わったエネルギー政策合同会議に関する記事を引用する。

自民 原発推進派はや始動 「原子力守る」政策会議発足(5月5日 朝日新聞)
(以下引用)
 東京電力福島第一原発の事故に収束のメドが立たない中、国策として原発を推進してきた自民党内で早くも「原発維持」に向けた動きが始まった。原発推進派の議員が集まり、新しい政策会議を発足。反原発」の世論に対抗する狙いだ。

 この会議は「エネルギー政策合同会議」。自民党内の経済産業部会、電源立地及び原子力等調査会、石油等資源・エネルギー調査会の三つを合体させた。電力需要対策とエネルギー戦略の再構築の検討を目的に掲げるが、党幹部は「原発を守るためにつくった」と明かす。

 幹部には原発推進派が名を連ねる。委員長は元経済産業相の甘利明氏。旧通産省(現経産省)出身の細田博之元官房長官が委員長代理、西村康稔衆院議員が副委員長に就いた。先月12日の会合では、幹部陣の隣に東電の元副社長で現在は東電顧問の加納時男・元参院議員が「参与」として座った。

 甘利氏は「安易に東電国有化に言及する閣僚がいる」と指摘する資料を配布。会議後に河野太郎衆院議員が「原発推進派が並ぶ人事はおかしい」と抗議したが、認められなかった。

 自民党は中曽根康弘元首相らを中心に「国策・原子力」の旗を振ってきた。1955年、研究と開発を進める原子力基本法を制定。74年に「電源三法」を制定し、立地自治体に手厚く補助金を出してきた
電力業界は資金と選挙で自民党を支援。電力各社でつくる電気事業連合会(電事連)は80年代前半から11年間で約65億円を党機関紙の広告費として自民党に支払った。

 谷垣禎一総裁は震災後の3月17日の記者会見で「現状では、原発を推進していくことは難しい状況」と述べたが、1週間後には「安定的な電力供給ができないと製造業など維持できるのかという問題もある」と軌道修正した。党内では「推進派から反発されたため」と受け止められた。

 会議は大型連休後、中長期のエネルギー戦略の議論を始める。甘利氏は「我々は市民活動家ではない。膨大なコストや不安定を覆い隠し『自然エネルギーで何とかなる』と言うのは無責任だ。現実問題として原子力を無くすわけにはいかない」と言っている。(渡辺哲哉、土佐茂生)

(引用終わり)

この会議の細田委員長代理、西村副委員長は、先の記事で注水問題を徹底追及すると主張していた安倍晋三と同じ森派である。また、参与に就任したという加納については、100%東電の代弁者となっていると見るべきである。現職である後輩が直接流せない情報を、先輩の加納を通じて流していると見るべきである。

今の民主党政権がとても十分な能力を持つとは言えない。しかし、原発推進と倒閣のために生き残りを図る東電が流す情報を利用するなどというのは正気の沙汰ではない。国家、国民の利益を脇において私欲を図る、これを売国奴という。

亀井の言葉ではないが、谷垣は少しおかしくなっているのではないか


しかし、自民党の中にも河野太郎や、娘の東電就職で叩かれた(これは少しかわいそうでもあったが)石破茂政調会長など、しがらみに捉われず発送電分離を議論する政治家も出てきた。


東電を現在のほぼ独占状態の企業として残すのか、発送電を分離するか、原発をどうするのか、利害関係者の妨害を排除して、真の国益を追求する議論をしなければならない。自民党はまず加納を追放し、東電との接触を完全に絶て!