数ヶ月ぶりとなったゆうかとの電話。
想い出話をしているうちにお互いにエッチな気分になってしまったことで思わずテレフォンセックスをしてしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・ゆうか・・・気持ち・・・よかったね」
「はぁ、はぁ・・・もう・・・恥ずかしい・・・」
「・・・うまくイけた?」
「・・・・・・うん、イった・・・」
「よかった・・・ゆうか、すごく感じてたよね」
「・・・うん・・・よかった・・・もう、やだ・・・ショウさんは?」
「イったよ、すっごい出た」
「・・・よかった・・・ふふ、すごいエッチ・・・相変わらず」
「3日、うちにきたらもっとすごいことになるね」
「えっ・・・だめ、もう・・・言わないで、また感じてきちゃう」
「ゆうかって最近セックスしてないの?」
「・・・・うん・・・してない」
「どれぐらい?」
「2か月以上かな」
「えっ、そうなんだ・・・」
先日、ゆうかと再会したパーティで見かけたゆうかの彼氏とあのあとセックスしている二人を妄想し、嫉妬していた僕だったが、実際はそうではなかったようだった。
(今回僕に逢うのって、その彼氏の替わりに抱かれたいだけなのかな?)
一瞬そう思って口に出そうだったが、なんとか押し殺した。
「・・・そっか、寂しいよね」
「・・・・・・・・・うん・・・・」
ゆうかは性欲の強い肉食女子だった。
2か月の放置は辛いだろうと思い、可哀そうになった。
「・・・パーティで僕を見て、抱かれたくなった?」(笑)
「えっ・・・・・もう、言わせないで。意地悪ね」
「3日って安全日だろ」
「・・・!・・・なんでわかるの」
「だって数か月前じゃん。最後にゆうかとセックスした日付覚えてるし」
「えっ・・・ふふ、もう・・全部お見通しね」
「どんだけゆうかと付き合ってるんだよ。以前よくしてた同じ計算しただけ」
「そっか、そうよね。ふふ、してたね」(笑)
「3日さ、以前よく行ってた神社に初詣行かない?うちの近所の」
「ああ、あそこの神社ね、いいわね。じゃあ、朝10時ぐらいにはショウさん家行くようにする」
「うち来たらそのまま泊っていく?」
「えっ、うん・・・ショウさんさえよければ・・・」
「まだ何枚か置いてある下着残ってたよ」
「ふふ、そうね・・・」
「じゃあ・・・3日ね。楽しみだね」
「うん・・・ふふ、すごく楽しみ。ありがとう、ショウさん」
「いいんだ。またね、良いお年をー」
「あっ、そうだね。良いお年を・・・」
「おとうさん、おかあさんにもよろしくね」
「うん、伝えておく・・・ありがとう。またね」
(ぴっ・・・)
「ふぅ・・・」
携帯をソファーに投げ置き、そのままホットカーペットに寝転んだ。
「ゆうか・・・あの彼氏とうまくいってないのか・・・」
これからゆうか、そしてハルナとどうすべきなのか、いろんな考えが頭に浮かんだ。
だがこうなる前に僕は決めていた。新しい恋をしようと。
「・・・・」
腹がすいたので冷蔵庫を開けるとハルナが買ってくれたおつまみ系のお惣菜がいくつかあったのでそれを食べながら酒を飲み始めた。
10代のころの淡い恋愛経験から学んだことがある。
女性のことを引きずるだけでは心がいつまでも辛くなる。
だったらすぱっと次の恋愛に進んだほうがいい・・・という考えを持つようになった。
そしてある男性タレントがテレビで言っていた言葉が
その考えを決定付けた。
「女の子ってさ、星の数ほどいるんだよ!」
ゆうかでもない、ハルナでもない、新しい恋に進めばいい・・・
・・・とかカッコのいいことを言いつつも、
いざ彼女らを目の前にすると何も言えないどころか
殿方をきっちり演じてしまう僕がいた・・・。
「だめなんだよな・・・まったく・・・ようし、ハルナとは昨日と今朝のセックスで最後、ゆうかとは・・・次のセックスで最後・・・・・・・・にしなければ・・・??」
二人とも僕と身体の相性はとてもよい。
特にゆうかとは半同棲生活を経てそれなりの月日を共にしたパートナーだった。
まだ僕の中に彼女への未練もある・・・
(もしゆうかがあの彼氏とうまくいってなくて彼女が僕とよりを戻すために逢いに来たとしたら・・・ゆうかとやりなおせるとしたら・・・・)
クリスマスが明けて翌日の26日、カレンダー的に最後の出社日となった。
僕は帰国明けの代休消化でそのまま休んでもよかったが、渡航先のレポートも提出したかったことと、悪友S氏に聞いてみたいことがあったので勤務先に出社した。
S氏は色々と腫れた惚れた話の情報通だったからだ。
タバコ部屋に行こうとするS氏をみかけたので早速捕まえて話をした。
「兄さん(S氏のこと)さぁ、ゆうかの近況をどこかの飲み会で聞いたって言ってたよね」
「あ、ああ、ゆうかちゃんな。あれ?ショウちゃん、別れたんだろ?」
「まあ、そうなんだけど・・・なんか追加で情報もってないかなって。あれから時間経ってるから」
「なんだ、未練たらたらじゃねえか、ショウちゃんにしてはめずらしいな、くくく」
「未練っていうか、ちょっと気になってね」
「うーん、おれは情報持ってないけど、コンサル部のもえちゃんならなんか知ってるかもな。彼女、あの会社でゆうかちゃんがいる部署と連携してなんかやってるから」
もえちゃんというのは同僚の女性でS氏と仲がいい、というかS氏と付き合ってる女性のことだった。
「えっ、そうなんだ」
「もえちゃん、ゆうかちゃんとは一緒に食事するぐらい仲いいらしいからね」
「えっ、まじ、聞いておいてよ」
「ふふん、しょうがねえな。ラーメンおごれよ」(笑)
その日は部長に現地レポートを出してつぎのプロジェクトの話をし、年内最終日だったのでデスク回りを少し片づけた。
机の引き出しの奥から昔、どこかの旅先でゆうかと撮った写真が出てきた。
当時ゆうかはまだアナログのカメラを持っていて、よくカシャカシャと写真を撮っていたのだ。
その写真には出逢ったころの僕とゆうかの姿が写っていた。
「ああ、熱海の温泉に行ったときの写真か・・・懐かしいな」
浴衣姿で料理を食べる姿や商店街で買い物をする彼女の姿が少し色褪せた写真に残っている。
「可愛いな・・・ゆうか・・・」
ここにきて机の奥から写真が出て来るあたりがゆうかの女子パワーだった。
ゆうかから離れていこうとする僕の心を彼女は自分の知らないところで引き戻している。
ゆうかの執念だろうか・・・。
帰宅して21時ぐらいにS氏からメールが届いた。
「もえちゃん情報!ゆうかちゃんの彼氏は商船会社の会長のお孫さん!気楽な三男坊!(笑)ラグビーで鍛えた身体!婚約直前とか言ってたらしいけど、その後ゆうかちゃんは詳しく話してくれない!だそうです。以上!ラーメンおごれ」
「えー、なに、ゆうかの彼氏、商船会社会長のお孫さんかよ・・・そんなんばっかりじゃん・・・」
僕はガクっと肩を落として携帯をベッドの上に投げ捨てた。
ハルナの婚約者はドクター、そしてゆうかの彼氏は商船会社のぼんぼんときた。
僕はただの一般ピープル。
ステータスと将来性、そして金銭面ではたぶん絶対勝ち目ない・・・
「まあ、何も知らないテイでゆうかと逢おう・・・2か月セックスしてないって言ってたし・・・」
パートナーだった女性が寂しがっている。
また僕に抱かれたいと言っている。
それだけでゆうかと逢う立派な理由になるだろうと思った。
「そうだ、ゆうかの荷物・・・」
前妻、そしてゆうかや他の女性が残していった服や荷物はハルナの手によって2つのダンボールにまとめられていた。
ハルナはそれをいつか捨てるつもりなのだろうが、まだかろうじてクローゼットの中に積まれたままだった。
「ゆうかのコップとタオル、下着だけでも出しておくか・・・」
僕はごそごそとダンボールを探ってそれらを出すと昔ゆうかが買ったCDが何枚かダンボールの底から出てきた。
そのうちの1枚にイギリスのミュージシャン、フィル コリンズのベストアルバムがあって、久しぶりに聴いてみた。
僕の大好きな曲「Do You Remember?」はゆうかも好きな曲だった。
二人でセックスをするときにバックミュージックの1つとしてよくかけていた。
♪♪♪
僕たち、それを話すのを避けてきたね
でもきみは僕のせいだと思っているよね
きみに電話して「ごめんね」と言いたくて
ああ、でもきみの時間を無駄にするつもりはないんだ
だってきみを愛しているけど もう耐えられない
きみの瞳に映るものが僕にはわからない
またきみとやり直したいけど
きみはまだ僕に嘘をつくつもりなのか・・・
♪♪♪
特にゆうかが座位のときにこの曲がかかると超ラブラブムードになって彼女のオーガズムに拍車がかかった・・・。

(あああ、いいっ・・・すごくいいわぁっ!・・・愛してる、愛してるの・・・ショウさんっ・・・・)
曲を聴いて、歌詞の意味を改めて知ったとき、
「なんだこの歌詞、こないだゆうかに電話したときの僕じゃないか・・・」と、
自分がなんだか虚しい存在に思え、泣けてきた・・・
つづく