ハルナとのセックスがクリスマスど真ん中だったことと生理が近いと言うことは数日後の28か29日ぐらいで女の子の日がきたとすると年末年始、彼女は生理中・・・ということになるだろうと予測ができた。
ハルナは基本的に生理中には僕の自宅に来ることが少なかったことから、余命少ないおばあさまと正月を過ごすだろうと思った。
まず間違いないだろう。
「・・・来年の正月は1人で過ごすかな・・・」
この1年を振り返ると怒涛のように色んな事柄が僕の周囲で起こった年だった。
思えば1年ほど前の今頃はゆうかと正月をどう過ごそうか話をしていた・・・。
昨年の春ごろだっただろうか。ゆうかと僕で築き上げた半同棲生活に一旦区切りをつけて、今までよりも少し距離を置いた関係になった。
結果的に僕らはそこからつかず離れずの関係となり、ゆうかは僕に定期的に連絡を入れてきた。
・・・僕らはある意味、結婚を意識しつつも少し気楽な男女の恋愛をしていた。セフレの関係になったのだ。
彼女とのセックスでは中出しをしていたが、やはり僕らに子供はできなかった。
生理の周期が安定しているゆうかは安全日や排卵日がはっきりしていた。
彼女は自分からもう言わなくなったが排卵日には僕に逢いたがっていたように思う。
指折り数えながら僕に逢うタイミングを見計らうゆうか・・・僕もそんな彼女の気持ちを知りながらセックスをしていた。
心のどこかで二人の間に赤ちゃんができれば僕らは変われる、結ばれると思っていたのだ。
でも授からなかったのは、彼女との運命だったのだろう・・・。
あんなに興奮しながらいつも二人同時に果てていたのに・・・。
二人の未来は不鮮明だったが、愛情は変わりなく続いているように思えた。
ゆうかはやはり僕の海外事業参加に不満を持っていたので関係がぎくしゃくしたままといえばそうだったが、どこかいいタイミングで関係が修復するのではないかという望みを持っていた。
それにゆうかも僕も新しいパートナーをつくらなかった。
彼女とのセフレ関係は継続され、昨年から今年にかけて 大晦日と元旦は僕と過ごしてくれた。
そう、今年の新年はゆうかと迎えたのだ。
ゆうかとリビングで裸で抱き合いながら酒を飲み、NHKの紅白を見ていた。
テレビの明かりだけの部屋・・・紅白出場歌手の歌を聴きながら後背位や座位で官能的なセックスを愉しんでいた。
除夜の鐘を聞き、新年のカウントダウンが済んで年が明けると軽くワインで乾杯してからすぐに寝室に手を繋いで入り、そのまま姫始めをした。
「ショウさん、今年もよろしくね・・・って言っていいのかな、あはは」
「いいんじゃない・・・」
不安定な関係だとわかっていながらも辞められない男女の関係。
恐ろしいほどまでの身体の相性と培った愛情。
大声で愛してる、愛してるといいながらゆうかはイキまくった。
酔った勢いもあり、年明け早々から激しいセックスだった。
僕よりもゆうかの性欲のほうがすごかった。
求められるまま何度も彼女を中イキに導いた。

「いくっ!!ああ、だめっ!!いくわっ!!ああ、いくっ!!いくいくいくっ!イクーーーッ!!」
そんな僕とゆうかの想い出が蘇ってくる。
たった1年前の出来事なのに。
あんなにしっかりと愛しあえていた仲だったのに・・・。
ロマンチックな正月をゆうかと過ごしたあと、僕はまた海外に行く仕事についた。
ゆうかはまた僕を待つ女になってしまう。
その気持ちは解っていたが、僕は仕事を選んだ。
いつしかゆうかからの連絡も途絶えた・・・。
新しい恋愛、結婚相手を探すため婚活サイトに登録し、色々な女性と逢うなかでハルナと出逢った。
ハルナとデートとセックスを繰り返す中、わりと早い段階で彼女を人生初中イキに導き、彼女を大人のオンナへと変貌させた。
ハルナとの交際が本格的にスタートしようとしたタイミングでゆうかを1度抱いたが、たぶんあの日彼女は僕にお別れに来たんだろうと思った。
とても悲しげな置手紙を残して・・・
(だけど わたし前にすすまなきゃって思っています。じゃあ・・・またね。さようなら・・・)
そして先日のパーティで見たゆうかの姿と新しい彼氏と思われる男性とのツーショット・・・
この部屋の合鍵を持ったままの彼女の本心を探れないまま、ゆうかは新しい恋へと進んでいく・・・。
僕はゆうかへの未練を引きずり、ハルナに怪しい影を感じながらも
彼女と半同棲をするまでの関係となり、今日まで交際が続いていた・・・
こうやって思い返すと、あっと言う間の1年だった。
ゆうかとハルナ、そして仕事・・・
いろんなことがあった1年だった・・・
「まあ、たまには一人で過ごす正月も悪くないか」
シャワーを浴びて遅めの朝食というかブランチで、イブの日にハルナが買ってきてくれたけど お腹がいっぱいで食べれなかったケーキを食べていると携帯にメールの着信があった。
開いて見るとハルナからのお礼メールだった。
「あんなに素敵なイブを過ごしたのは生まれて初めてです」
「ショウさんがますます好きになりました」
官能的な時間を僕と過ごせたことが書かれてあり、最後に1行だけ前カレのことに触れた文章が書かれていた。
「カレのこと、まだ解決できなくてすいません。わたしもどうすればいいか、いい答えが出ないままです・・・本当にごめんなさい」
僕はその一文を読んで「はっ」、と気付いたことがあった。
余命少ないと言っていたハルナのおばあさま。
そのおばあさまがハルナにもってきた縁談で彼女と前カレは出逢った。
そしてハルナは一旦その男と婚約までして結納まで済ませていた・・・
ドクターというステータスを持った男と溺愛する孫娘の仲をとりもったおばあさまの笑顔が見えるようだった。
「そうだ・・・そんなおばあさまにハルナは縁談話を反故にしたいとハッキリ言えないんだ・・・言えるわけがないんだ・・・」
何故そんな簡単なことに気付かずハルナからの吉報を待つだけだったのだろうかと、自分の空気の読めなさに情けなくなった。
「これじゃその前カレ・・・いや婚約者の男がハルナを諦めない限り、僕の出る幕なんかないじゃないか・・・??」
僕にいたずら電話めいた着信を入れてくる男だ。
よほどハルナに対して執着心があるのだろうと思った。
「ドクターのステータスを持つ男とハルナを争う三角関係なんかになってもなあ・・・」
やすっぽい恋愛映画だと僕はその狭間でハルナを彼と争うのだろう。
だが現実世界でそれは考えにくい。
ハルナが婚約までしてしまってる相手だし、親族も僕みたいなパンピーよりもドクターと娘が結ばれる彼女の人生を望むだろう。
色々な要素と状況からしてもうハルナの両親やおばあさまに「ハルナさんをください」と挨拶に行くなんてことは叶わぬ夢だろうと思った。
(ショウさんがますます好きになりました・・・)
だがハルナの文面を見るかぎり、彼女は僕にゾッコンの様子だった。
「どーすんだ、これ・・・」
今まで不倫恋愛というややこしい山を色々越えてきた僕だったが、さすがにこのときは頭をかかえた。
ハルナと僕がすぱっと別れてしまえばこんなに悩むこともない。
だが今も昔も女性に対して冷たい態度をとることが苦手だった。
僕の優柔不断さがマイナスな展開になっていく理由だった・・・。
それも自覚していた・・・。
「だめだなあ、僕って・・・」
難しい表情でケーキの残りをもしゃもしゃと食べていると、玄関脇の部屋に渡航用の鞄と手荷物、トランクを放り込んだことを思い出した。
部屋に着くなりハルナとセックスして酒を飲んで寝たので帰国したときの荷物がほぼそのまんま放置されていた。
「あっ、やっべ・・・」
僕はあることに気付いて、トランクの中身を開けた。
「ハルナにクリスマスプレゼントを渡すの忘れてるじゃん・・・」
トランジットのDFSで買ったGUCCIの革の手袋・・・
手首のところにお洒落なファーがついた今の季節、ハルナが歓びそうな革手袋だった。
「いけね・・・なにやってんだ」
今日も朝からセックスしていて寝落ちまでしていたのでプレゼントのことを全く忘れていたのだ。
僕はハルナにあわててメールを入れた。
「ハルナ、ごめん。クリスマスプレゼントをきみに買ってあったんだ・・・すっかり渡すのを忘れていて・・・」
すると今日から年末にかけて家族団らんで過ごすのでこちらには来ない、という返事が来た。
「クリスマスプレゼントありがとうございます。とても嬉しいです。年始の楽しみにとっておきますね」
やはりこれから生理期間になることと、たぶんおばあさまと家族全員で過ごせる最後のクリスマス、最後のお正月になるんだろうと思った。
テレビの前のテーブルに僕はプレゼント用のリボンつきの箱を置いた。
さっき届いたハルナからのメールには彼女が次に僕の家にいつ来れるのかまでは書いていなかった。
ここに置いておけば年始に万が一僕がいないときにハルナが着てもプレゼントには気が付くだろうと思った。
(じじじじっ、じじっ・・・)
「ん??」
携帯にメールの着信があった。
「ハルナかな?」
僕は携帯を開いてメールの着信欄を見て・・・手が震えた。
「えっ、ええっ・・・!?」
ゆうかからメールが届いたのだ。
つづく
