さて、デート当日・・・


あいにくの雨模様だったが目的はハルナご自慢のお車でのドライブとそのあとの初セックス。
イイ感じで抱いてハルナとまずは男女の関係を築きたいと思った。

僕の自宅マンション前、約束の時間どおりにハルナはやってきた。

ご自慢のベンツは・・・最新モデルではなく2世代ほど前の恐らく中古のベンツだった。

花嫁修業中の無職の女性が新車のベンツを所有できるなんてムシのいい話だと思っていたが車を見て実はお嬢様お嬢様してない女性なんだなと思ってむしろ安心した。
僕が良家のお嬢様と結婚なんて筋書きが良過ぎる話だ。

ガラス越しに僕を見る彼女の表情はドヤ顔でニコニコしていたのをよく覚えている。
よほどご自慢の車なんだろう。
たぶん彼女はこの車の人気やグレードを気にしていない、というか知らない。
「ベンツ」というステータスに惚れて乗っているのだろうと思った。

「おー、これがご自慢のベンツだね。いいね!やっぱりベンツは!」

「うふふ、あいにくの雨ですけどね」

ハルナは笑顔で僕を車内に迎え入れてくれた。

ハルナの服装はミニのワンピースだった。
クビれた腰に沿うようなボディラインが魅力的だ。
今思い出すとワンピースがとても似合う女性だったように思う。
極端に短いワンピではなかったが裾から伸びる生足が僕の股間を熱くした。

発進前、窓越しに僕のマンションを見るハルナ。
僕がバツイチであることはプロフで伝えてあったので、目の前にあるマンションに僕が前妻と一緒に暮らしていたことは承知のはずだ。


「ショウさんは、立派なマンションにお住まいなんですねえ」

「ええ、まあ・・・いい感じで働いていますので」(笑)

「お仕事ができる男性はステキです」

「あはは、ありがとう」


雨の中を走り出す車・・・

彼女の運転は女性とは思えない大胆な運転だった。
毎晩走っているというのはウソじゃなかろう。
車も中古とはいえ、新車で買うとそれなりの値段の車だ。
さすがに乗り心地は悪くない。

僕はハルナの車をありったけの知識でほめまくると、彼女は益々上機嫌になっていった。

ドライブデートというと男性の僕が運転するのがお決まりだが、女性に運転してもらってこんなに気持ちよく街道を走るのは初めての経験だ。
助手席に座って運転してもらうことも悪くないもんだなと思いながら雨の街並みとハルナの横顔を眺めていた。

会話もはずんだところで昼食の時間になった。
雨が降り止まないので あまりウロウロしたくないこともあり、国道沿いにあるファミレスに入ろうということになった。

昼食の間、僕はついに聞きたかったことを彼女に聞いた。

「ハルナさんはものすごく結婚を急がれているイメージがあるのですが・・・?」(笑)

「ええ、わたくし、すごく素敵な男性との結婚生活にあこがれてますの」

ほんとにこういう話し方の女性だった。(笑)
おっとりとした雰囲気で「和」が常に漂う素敵な女性だった。
どうしてこんなに美人で素敵な女性が婚活サイトに登録してまで結婚を焦っているのかなあ・・・と素朴な疑問がうかんだ。


「あのサイトに登録したのは、やはり結婚を急ぐため?」

「ええ、自宅で花嫁修業しているだけですと、やはり男性との出会いがなくて」

・・・まあ、確かに無職の女性と職を持っている女性では男性と出会う確率に差が出るのは当然。

「ショウさんはこちらのサイトでもう何人かとお逢いしてますの?」

「ええ、何人かとは逢いましたよ」

口が裂けてもものすごい人数の女性と逢ったことは言えなかった。(笑)

「ハルナさんは?」

「わたくしも何人かの男性とお逢いしました」

「交際には至らなかったのですか」

「交際した方もいましたが、別れてしまいましたね」

「そうですか。僕の印象はどうですか」

「男らしそうな方で、とても魅力があります」(笑)

「そうですか、嬉しいです」

「ショウさんから見て、わたしの印象はどうでしょう?」

「とてもお綺麗でしかも落ち着いて見える女性だなと感じています」

「嬉しいです」(笑)

「・・・そんなに結婚を急がれる理由は何かありますか?」

僕は核心をつこうと質問を絞った。

ハルナは何か言いかけたが、少し考えるような仕草をとった。

(・・・・??)

僕は少しそのハルナの様子に違和感を感じた。

「・・・両親がやはり・・・早くいい人と結婚してくれと。(笑)あと、おばあ様に花嫁姿を見せたくて」

「へえ・・・」

「あの車もおばあ様に買ってもらったの。私へのプレゼントだって」

「えー、おばあ様があの車を選んで?」

「ええ、気がついたらわたしに買ってくださっていました」(笑)

なるほどー、と思った。
と同時にイキなお祖母さんの姿が頭にうかんだ。
中古とはいえ、ベンツのスポーツクーペだ。
若い頃、ハイカラな娘さんだったか自分の憧れを孫に投影したかったのか・・・
いずれにせよ いいお祖母さんだ。

(ハルナはおばあちゃん子なんだな。きっとお祖母さんもハルナが大好きなんだろう)

僕もおばあちゃん子だった。なので彼女の気持ちがわかったような気がした。


「・・・僕はバツイチですが、気にされないのですか?」

「・・・ええ、あまり気になりません」

バツイチであることは逢う前からあらかじめ伝えていたが若干ハルナが改めてバツイチ情報を聞くと一瞬びくっ、と反応したような気がした。

(・・・・??)

またもハルナの様子に違和感を感じたがそれよりも僕はハルナが結婚について尋常じゃないほど焦っているような気がして少し本心からずれた言葉を発し始めた。


「・・・僕がバツイチだからいえるんですけど『結婚』って たぶんハルナさんが夢見ているものとは違ったものだと思いますよ」

「・・・・」

「焦らずにお相手との将来をじっくり考えて結婚されたほうがいいと思います」

「・・・焦りは禁物・・・ですか」

「うーん、気持ちだけが先走っているように見えますね。パートナー同士のしっかりした愛情がないと勢いだけの結婚は危ないと思います」

「・・・ショウさんと結婚するには交際期間を多くとればいいのでしょうか」

「いえいえ、愛情の問題ですよ。あのサイトでは結婚を焦る男性も多いです。これは持論ですけど焦ったもの同士って盲目に近いじゃないですか。愛情の確認を真剣に行った上での結婚がいいと思います」

僕はハルナと逢うまでの数々の恋愛、不倫、そして前妻との離婚の経験をふまえてコメントを続けた。

が、話をしているうちにハルナの耳にはあまり届いていないような気がしてきた。
逆に僕が結婚に前向きでない男のように思われている感じすらしてきたからだ。

(なんとしてでも早く結婚をしたい)

その頑なな姿勢、妙な意識の強さが彼女にはあった。
彼女の両目には「結」「婚」という文字が見えるほど。(笑)荒い鼻息すら感じた。(笑)

(・・・なんか僕のほうが食われてしまいそうだな。まあ、まずはそれでもいいのか。後々真剣な交際に繋がればいいわけだし)


のんびりと昼食を終えて店を出たらまだ雨がざあざあと降り続いていた。

ひと気の無い駐車場で僕とハルナはベンツ車内ではじめてのキスをした。

見つめあい、特に僕を拒むこともなく彼女は僕の唇を迎え入れ、そして自分から舌をからめてきた。



くちゅくちゅと舌のからまるいやらしい音と、フロントウインドウにばあばあとあたる雨の音だけがしばらく車内に響いた。

僕は彼女のワンピースの裾に手をのばすと彼女はゆるく足を開き、僕の手の進入を許した。

彼女のバンティは生地の上からわかるほどにすでにぐっしょりと濡れていた。

唇を離して見詰め合った。

「僕のこと、好きになれそうかな?」

「ええ、とても」(笑)

「このあとどうします?」

「・・・」

「どこかホテルに入る?」

「・・・」

ハルナは俯いたまま、しばらく無言になった。

これから男に抱かれるというスイッチが入ったのかハルナの心臓がドキドキと音を立て始めたのがわかった。
 

 

 

 


つづく