「・・・ショウさん?」

 

「えっ・・・チナツ??!!」

 

仕事を終え、オフィスから駅に向かう路上で突然声をかけられた。

 

声の主はチナツだった。

 

「ショウさんだ。久しぶり!!」

 

2年前終わりにしたチナツとの関係。

辛い別れのシーンを彼女に味合わせたはずだったがそんな過去はどうでもいいのか、もう忘れてしまっているのか・・・まるで二人の間に何事もなかったかのようにチナツは僕に声をかけ、接してきた。

 

「ど、どうしてここに・・・」

 

いや、考えるまでもない。僕が務めるオフィスは2年前と同じ場所だ。

その昔、僕の勤務時間の終わりを狙ってチナツはストーカー行為をしていた。

そのときのコツがあれば僕をこの時間にここで捕まえることはそんなに難しいことではない。

 

「たまたま近くに寄ったの!そしたらショウさんが働くビルが見えて、ちょうど仕事終わる時間かなって思って」

 

「うそだね、そんなぴったりな時間で逢えるわけないね」

 

「あはは、ちょっと待ったよ、もちろん。でも逢いたいなってずっと思ってて」

 

「・・・・」

 

屈託のない笑顔でぐいぐいと接してくるチナツ。

そう・・・昔からこんなふうに明るく可愛い仕草で魅了してくる女性だった。

2年の時間経過を感じさせない空気感を彼女は見事に作り上げていた。

 

「わたし・・・なんだか  ずっとショウさんが心にひっかかってて」

 

以前と変わらないようにみえる体形に、ミニのノースリーブワンピ。

髪型はロングヘアに戻っていた。

 

この2年間、まともな不倫恋愛と女性関係から遠ざかっていた僕の身体はチナツに反応しはじめた。

時間の経過で過去が霞み、男の性欲が目の前にいる素晴らしい女性を受け入れだした。

 

「・・・これって僕にあったのは偶然?仕事かなにかでここに来たの?」

 

「仕事で来たの。本当よ。でも・・・ワンチャンあるかなってショウさん出待ちした。ふふ、ちょっと狙った。あはは。」

 

「・・・・」

 

「・・・逢えてよかった。ショウさんの顔見れて嬉しい。ふふ」

 

全く悪気のなさそうな笑顔と口調は当時のチナツそのものだった。

 

色んな想い出があっという間に二人の間に甦ってきた。

 

 

1時間後、僕らは電車で移動し  以前よく使っていたラブホテルの一室にいた。

 

 

「あっ!!アンッ!!いいっ!!いいっ!!いいわっ!!アンッ!ショウさんっ!!あっ!!いく、いくいくいいくいくっ!!あーーーっ!!イクーーーーーッ!!」

 

 

びくん!ガチィィィン!!びりびりびりっ!!

 

「あっ!!あああああっ!!あっ!ああーーーーっ!!!」

 

以前は筋肉質だったチナツの身体は年齢を経たからか仕事が変わったからか少し丸みを帯び、柔らかな身体つきになっていた。

 

熟した身体は昔のままで2年前と同様に僕の行為につぶさに反応しては次々とポルチオオーガズムに達していった。

 

「ううっ、ううっ・・・はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・!!」


「気持ちいい?」」

 

「はぁ、はぁ、う、うん、すっごいいい。やっぱりショウさん、すごくいい・・・安心する・・・」

 

僕らの身体の相性の良さはそのままだった。

不倫から少し遠ざかっていた僕の身体と心はチナツの身体をまるでオアシスのように感じとっていた。

気がつくと3時間もの間、夢中でセックスをしていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・中に・・・出してね、ショウさん・・・」

 

フィニッシュが近づいたころチナツから膣内射精を懇願された。

 

「まだピル飲んでる?信じていい?」

 

「のんでる。大丈夫、うそつかないから。ね、中に出して・・・お願い・・・ショウさんがほしいの・・・」

 

チナツとの過去を思い出すと少し怖かった。

だが性欲がMAXだった僕の身体は彼女からの願いに逆らえなかった。

 

「チナツ、出すね!あっ!!あっ!いく!あっ、いくっ!!あーっ!イクッ!」

 

「ショウさん、出して!だしてだしてっ!あっ、あーーーっ!いく、いくわっ!あーーーっ!!いく、イクーーーッッ!!・・・・」

 

びくん!ガチィィィン!!びりびりっ・・・!!

どくん!ガチィイン!!びりびりっ!!

 

「ああっ!!あっ!!あーーーっ!!!!」

 

どくん、びゅっ!!どくん、びゅっ!!びゅっ!!!・・・・

 

お互いの身体がまだ覚えている同時イキのタイミング。

 

「あああっ!!ああっ!!あっ!!」

 

「ううっ!!うっ!ああっ!!」

 

チナツの腹の中に僕の精子が大量に流れこんでいく。

 

びゅっ!!どくん、びゅっ!!・・・びゅっ!!・・・びゅっ!!!

 

白く飛んだ頭で薄目を開けてチナツの顔を見ると、大人の女性が性的に満足しきった実にエッチな笑顔で僕の射精を受けていた。

 

「ああっ・・・あああっ、す、すごいっ、すごいわ、ショウさんっ・・・・!!」

 

 

どくん、びゅっ・・・びゅっ・・・!!びゅっ!・・・・

 

「あああっ・・・ショウさん、あっ、あっ・・・あああっ・・・・」

 

その悦びに満ちた表情を見て僕はチナツを本気で愛していた日々をとても素敵な想い出にできると思った。

 

そしてこの日彼女を抱いてよかったと思った。

 

 

「・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・ううっ・・・はぁ、はぁ・・・」

 

「ううっ・・・ううっ・・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・」

 

 

全ての行為が終わり、僕らはベッドの上で抱き合いながら行為後のトークをしていた。

 

「・・・満足した?」

 

「ふふ・・・大大大満足・・・ショウさんも?」

 

「うん、大満足・・・チナツ、かわんないね。可愛いよ」

 

「ふふ、そうでしょ・・・ありがと」(笑)

 

「チナツ、最近セックスしていなかったの?」

 

「してない・・・ぜんぜん・・・」

 

「新しい男つくらないの」

 

「そんなことはないけど・・・なんだかうまくいかない人多くて」

 

「そうなんだ。チナツ、こんなに可愛いのに」

 

「主人と・・・やっと別れたの。先日・・・」

 

「えっ、2年前、そろそろ別れるって言ってたよね?」

 

「あれから結局主人にたかられ続けて、離婚裁判にしたの。やっと終わったの」

 

「そうだったんだ・・・じゃあ、今は独身ってわけ?」

 

「そうなの、晴れてシングル。あはは」

 

「独身にもどったなら、僕なんかと逢ってないで新しい恋しないと」

 

「・・・ショウさんは・・・奥さんと仲いいの?」

 

「えっ、まあ・・・うまくやっているよ」

 

「えっ・・・・・・そっか・・・・・・そうよね・・・」

 

チナツはすごく残念そうな顔でそう答えた。声色がさっと変わったからだ。

やはり僕とまだ結婚したいのだろうと思った。

 

「・・・前に見たあの女性とはまだ付き合ってるの?」

 

「・・・ああ、あのひととは・・・別れたよ」

 

「あっ!やっぱり!」(笑)

 

「えっ、あっ!しまった・・・」

 

僕はチナツとの別れ際にアヤとの交際を最後まで否定していた。

だがよりによってこの日うっかり口が滑ってしまった。

 

「あははは、あはは・・・おかしぃっ、あはは・・・」

 

「しまったな・・・」

 

チナツは怒るかと思ったら笑い続けていた。

今更どうでもいいことなんだろう。

 

「やっぱりね、どう見てもショウさんたち付き合ってたわよね。わたし当たってた。あはは・・・」

 

「そうだね、読まれてたね・・・」

 

「ふふふ・・・でもね、もういいの。昔のことだし。わたし、今思い出してもあの頃は変な女だったし」

 

「そうだね、ちょっとおかしかったね」(笑)

 

「でしょ。だから  ね、わかるの。わたし、ショウさんにたくさん迷惑かけたわ。ショウさんにむいていない女だってわかったの。でも・・・」

 

チナツは僕の腕の中で少し俯いて静かになった。

 

「・・・ショウさんの赤ちゃんは本当にほしかった・・・ショウさんと結婚できるできないは別として・・・産みたかった。ほんとうよ・・・」

 

「・・・ありがとう・・・チナツ・・・」

 

チナツは顔をあげると忘れられない言葉を僕に残してくれた。

 

「・・・わたし、あのとき、色んな夢を見ていたわ。それこそ若い学生に戻ったかのような気分で・・・いろんな夢、そして未来を観ていた・・・ショウさんと別れたときはそれが全部打ち砕かれたと思ったの。でもそうじゃなかったって今になって思う・・・」

 

「・・・・」

 

「あのときのわたし、一番輝いていた。たぶんこの先  歳をとっていくわたしにはない輝き。もうあんなに輝くことはないかもしれない。・・・そうさせてくれたのはショウさん、ショウさんが居てくれたから・・・・・・だからね、あのときのことはそれでいい、それでよかったって思えるようになったの」

 

僕はそう言われて ちょっと感動して胸があつくなった。

 

「・・・僕もチナツからいろんなものをもらったよ。チナツがいてくれたから僕は穏やかに過ごせる日が多かったんだ。本当にありがとう、チナツ・・・」

 

「やだ、わたしこそ・・・ありがとう、ショウさん・・・」

 

チナツは俯くと、はらりと一筋の涙を流した。

 

ぎゅと抱きしめあい  静かな時間の中で二人の愛が本物だったことを悦びあった。

 

 

 

ホテルを出るとチナツはタクシーで帰ると言ってちょうど目の前に現れたタクシーを止めた。

 

彼女が車に乗り込む寸前まで僕たちは手を繋いでいた。

 

 

 

 

「・・・さようなら、ショウさん」

 

 

僕はその言葉を聞いてはっ・・・となった。2年前、チナツとの別れ際に彼女が言った言葉を思い出したのだ。

 

(わたし・・・さようならは言わないから・・・!!)

 

握っていたチナツの手がすうっと離れていき、ミニのワンピースの裾からすらりと映える綺麗な足を僕に見せながら車内に入っていった。

 

彼女の身体が一瞬透き通って見え、過去の美しい想い出が走馬灯のように思い出された。

 

 

 

(ショウさん・・・大好き・・・)

 

(チナツ・・・すごく可愛いよ・・・・・・)

 

 

 

「・・・・さようなら、チナツ・・・・」

 

 

「・・・おやすみなさい。すごく楽しかった。逢ってくれてありがとう」

 

「おやすみなさい」

 

バタン・・・

 

タクシーのドアが閉まり、遠ざかっていく車内でチナツは僕が見えなくなるまで手をふっていた。

僕も小さく手をふりながら見送った。

 

 

 

チナツからはその後連絡もなく、突然僕の前に現れることもなかった。

 

僕もチナツに連絡はしなかった。

 

 

それからまた2年の月日が流れたとき アヤの娘、シノブが同僚の男性と結婚するという噂を耳にした。できちゃった結婚らしいとのこと。

 

(シノブ・・・らしいな・・・)

 

結婚式で腹が少し膨らんだシノブの世話をし、その数か月後  輝く陽光の下で初孫を抱いている優しいアヤの姿が目に浮かんだ。

 

 

急に・・・涙が出てきて  しばらく止まらなかった。

 

 

今もアヤからの連絡はない。

 

僕ももう彼女に逢いに行くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

おわり