「ショウさん・・・お部屋にきてくれないのね」
「うん、ごめん、今日は自宅にこのまま帰るよ・・・」
チナツが車から降りる気配はなかった。
僕に未練があってあたりまえだった。
あれほど狂おしく愛しあった関係・・・終わりたくない気持ちが伝わってきた。
「ねえ、わたしたち・・・終わりなの?」
「チナツ・・・ごめん、僕の中では先日チナツとお部屋デートしたときで終わってるんだ・・・」
「・・・・・!!」
チナツはまたほろりと涙を流しはじめた。
だがさっき数回オーガズムを与えたからだろうか・・・もう取り乱しそうな雰囲気はなかった。
「・・・ぐすん・・・わたし達に赤ちゃんができてたら変わってたのかな・・・」
「もちろん変わってたと思う。責任はとるつもりだったから」
「そう・・・ありがとう・・・それ聞いてちょっと安心した・・・」
「・・・・」
(チナツ、残念だよ。本当にいい関係だったね)・・・僕はそう告げようとして寸前でやめた。チナツの未練が増してこの場で収拾がつかなくなるからだ。
さっき思いきり気持ちよくしたので性欲もだいぶ収まったはずだ。
この日は妊娠しているかどうかの検査に立ち会い、慰め、送迎もした。もう十分すぎる対応をした。
ここは少しドライにいくしかなかった。
「ううっ・・・ううっ・・・」
チナツはハンカチで口をおさえながら泣いていた。
「ショウさん・・・すごく好きなの。愛してるわ。わたしショウさんのこと忘れないから・・・」
「チナツ・・・ありがとう。僕もチナツが好きだよ」
「ううっ・・・ううっ・・・でも・・・でも最後なのね。わかってる。わたしが悪いの・・・あんなことして、迷惑かけて・・・反省してる・・・でも全部だめになった・・・わたしのせい・・・わかってる・・・わかってるけど、だめ、帰りたくない・・・ううっ・・・ううっ・・・」
「チナツごめん、ここマンション前だから、誰かにみられるかも」
「ううっ、ううっ・・・ごめんなさい・・・ううっ・・・ぐすん・・・さよならって言いたくないの。ごめんね、また連絡しちゃうかも」
「・・・・・」
「連絡していいよね」
「ごめん、チナツ・・・」
「・・・ううっ・・・うっ・・・」
チナツはようやく車から降りる決心がついたようでシートベルトをはずし鞄をつかむとドアを少しあけた。
「わたし、反省して、ショウさんにまた認めてもらえるようになるから。さよならは言わないから・・・!!」
「ありがとう・・・チナツ・・・」
チナツは僕の手を握ると頬にちゅっ・・・とキスをしてくれた。
彼女の香水と汗の香りがまじったものがふわっと僕を一瞬包んだ。
「またね・・・ショウさん・・・大好きよ・・・!!」
そう言い残してドアをあけると まだ雨の降る車の外へ出て行った・・・
僕はアクセルをふかしながらチナツに手をふった。
チナツも涙を流しながら僕に手をふっていた。
(さようなら・・・今度こそさようなら・・・チナツ・・・)
バックミラーに映るチナツがどんどん小さくなっていった。
チナツは雨に濡れながら僕の車が交差点で曲がるまで見送ってくれていた。
「・・・・」
チナツが後方に見えなくなったことを確認して僕は車を一旦止めた。
「はぁぁぁぁぁ・・・・終わった・・・」
妊娠させてしまったかもしれないという緊張感に加え混乱してしまったチナツの相手をしつつ最後の別れ話・・・
(ふーっ、長い1日だった・・・)
だらりと肩の力が抜け、張りつめていた空気から解放された感があった。
ホっとしたとたんに頭に思い浮かんだのはアヤの顔だった。
(さっきアヤとすれ違ったとき、僕の車だって気付かれたかなぁ・・・)
アヤに急に逢いたくなった。場所的にはアヤの自宅まではすぐの距離だ。目と鼻の先にアヤはいる。
せっかくなので一目でもいいのでアヤの姿を見て心を落ち着かせてから今日の1日を終えたくなった。
だが時間は深夜だった。雨もまだ降っている・・・。
とりあえずLINEでチナツとのことを報告してみた。
「アヤさん、こんばんは。チナツさんと決着がつきました。もう彼女と逢うことはないです。アヤさんに早く逢いたいです」
ついさっきまでチナツの色気に長時間あてられっぱなしだった。
ズボンの上からペニスも撫でられまくった。
正直性欲を抑えるのに必死だった。
こんな身体でアヤと逢うのが再来週なんてもう我慢できなかった。
1日でも早くアヤと逢いたい。できれば明日・・・アヤに逢えれば・・・
今夜中にうまく交渉したかった。
1分ほど待っていたらアヤからLINEに連絡が来た。
「こんばんは。彼女さんと終わったのね。おめでとう。ショウくん、ひょっとして近くに居る?」
やはりさっき車ですれ違ったとき、アヤに気付かれていた。
でもチナツと別れるためここまで来ていたという言い訳はつきそうだし、実際この日チナツとはセックスしていない。手マンはしたけど・・・
「近くにいます。電話していいかな」
「電話、だいじょうぶ」
電話をかけるとアヤが出てくれた。
「アヤさん、こんばんは。今話しても大丈夫なの?」
「大丈夫・・・今夜 主人は出張でいないし、娘はついさっきお風呂入ったからあと1時間ぐらいは出てこない。あの子、お風呂長いから」
「さっきすれ違ったとき、わかった?」
「ふふ、うん、ショウくんの車に似てから、あっ・・・と思って」
「生理はじまりそうって言ってたけど、はじまった?」
「まだよ。どうして?」
「・・・明日逢えないかな」
「ふふ、どうしたの急に」
「再来週、アヤさんとデートの約束だったけど待てない」
「それってもうチナツさんとはきれいな関係になったってことなのね」
「そうだよ。今日話をして自宅前まで送って終わりにしたから」
「チナツさんと今日はセックスしてないのね」
アヤがその質問をするのはあたりまえだ。
他の女を抱いた直後の僕に抱かれたくはないだろう・・・
「・・・してないよ。してたらこんなに性欲残ってないから。アヤさんが欲しいから連絡した」
「またショウくんって、そうやって甘えるように言うのね・・・」
「甘えてるかな・・・欲しいから言ってみたけど・・・だめかな」
「ちょっとそそるのよね・・・ショウくんの言い方って。・・・明日か・・・どうしようかな・・・午後用事を入れちゃってて・・・」
「明日じゃなければ明後日でもいいよ」
「待てる?」
「待てないかも。自分でしちゃうかも」
「・・・・・今からうちに来る?近くにいるんだもんね」
「えっ、うん、めちゃくちゃ近くにいるけど・・・いいの?でもシノブさんが・・・あっ、お風呂か」
「うん、1時間だけなら大丈夫・・・ふふ、スリルあるね。ショウくんにまかせるわ・・・車で来てるのよね」
「うん、ほんとに行っていいの?」
「・・・1時間だけよ。うちの並びにコイパがあるからそこに停めたら電話して。玄関のチャイムは鳴らさないでね」
「うん・・・わかった」
「ふふ・・・すごいね、びっくり」
「今から向かう・・・1分ぐらいで着いちゃうけど。・・・中で出していい?すごく出したい」
「うん・・・やだ、どきどきしてきた・・・ふふ・・・」
つづく

