これは出産が終わったあと、嫁から聞いた話です・・・。
陣痛がはじまって嫁が分娩室に入り、分娩台に横たわり、陣痛の痛みからうんうんと唸り声をあげはじめたそのときでした。
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今回、お世話になった産婦人科の分娩室は上の図のようになってます。
一部屋に2つの分娩台があり、二つの分娩台は数枚のカーテンで仕切られているだけです。
分娩台の距離はわずか2、3メートルといったところでしょうか。
たぶん同時にお産があっても、少ない人手で双方を見れるように病院側の都合でこういうレイアウトになっているのだと思います。
嫁が運び込まれたとき、どうやらとなりの分娩台で出産を終えたばかりの女性と、恐らくその旦那と思われる人物がカーテンの向こうにいたのです。
嫁が陣痛の痛みでうんうん、うんうんと唸り声を上げ続けていると、となりの分娩台に横たわっているだろう女性がこんなことを言いました。
「あ~、よかった。あんな声聞くとつくづく無痛分娩にしてよかったと思うわ。」
当然、うちの嫁にその声は丸聞こえです。
嫁は痛みに耐えながら、えっ!とびっくりしました。
ぼそぼそと話しているわけではなく、はっきりと聞こえる声だったからです。
当然、ベッドに横たわる女性もこの部屋のレイアウトはわかっているはずです。
その声の内容からとなりの女性が無痛分娩で出産を終えたばかりということがわかりました。
女性はかまわず喋り続けました。
「いや~、ほんと耐えらんない。あんたもそう思うでしょ?」
すると、旦那と思われる男性も声を押し殺すことなく普通に喋ったそうです。
「あー、無理無理。おまえがあんな声あげてうなっている横にいるなんて、耐えらんないし見てらんない。俺、絶対無理。」
「あんたはそうよね~。二人目も無痛に限るわ~。」
まるで自然分娩する女性を小馬鹿にするかのようなしゃべりっぷりだったとか。
しかも今まさに産もうとしている女性の真横で、よくもそんなことが言えたものです!!
嫁はどれだけ悔しくて、どれだけ大声をあげて文句を言ってやろうかと思ったそうですが、陣痛の痛みでそれどころではなく、ただただ我慢していたそうです。
そのデリカシーがないというか、心のない夫婦はやがて数分でその場を出て行ったそうです。
僕が会社から大急ぎで病院に着いて、分娩室に入ったときは、その夫婦がちょうど出て行ったあとだったとか。
出産が終わったあと、嫁がそんなことがあったのよと話してくれました。
僕は激怒して病院側にそのバカ夫婦の存在を調べてもらおうと思い、ナースステーションに行こうとしたのですが嫁は
「もう終わったことだからいい。赤ちゃんも無事に生まれたから・・・あまり騒がないで。」
といって僕をたしなめました。
確かに赤ちゃんが無事に生まれたあとということもあり、僕は嫁に言われた通りに怒りを必死でおさえましたが、いったいどんな神経があればそんなデリカシーのないセリフを出産中の女性の真横でいえたものかと不思議でなりません。
顔がみえてなければ何をいってもいいという感じだったのでしょうか。
そんな心のない親のもとに生まれた赤ちゃんはどんな心を持った人間に育つのでしょう・・・。