退院前日、会社の人事と病院近くのカフェで今後についてミーティングをすることになった。

久しぶりにメイクをしてスカートを履くと、気分が上がった。

病院の待合室の椅子に座って待っているところに、人事マネージャーが現れた。

するとなんだか急に、社会とつながった気がした。ずっとグレーだった世界が、彼の周りだけ色がついて見えた。

断っておくが、彼に対しては何も特別な感情はない。ただの同僚だ。でもこの時の私には輝いて見えた。

それはなぜか?

おそらく、私は入院以来ずっと“患者”をやっていたせいで、無力感でいっぱいになっていたのだろう。それが、彼を見ることによって「自分には仕事がある。私は決して無力ではない」ということを思い出したからではないだろうか。

カフェでのミーティングで完全に、“患者ではない本来の自分“ を取り戻し、在宅とはいえ、もうすぐ仕事に復帰できることが心から嬉しかった。