柚木麻子による長編小説BUTTERは、2007年から 2009年に発生した「首都圏連続不審死事件」をモチーフとしたグルメ&サスペンスのフィクション作品で、海外で大ヒットし、ブリティッシュ・ブック・A・ワードのデビュー小説部門で日本人作家として初受賞するなど、世界170万部を超えるベストセラーに輝く作品である。小説の枠組みを示す出だしの中に、BUTTERは登場し、どのようなバリエーションで語るのかという期待感と事件の犯人の個性を内面から追う様子が、そのままサスペンスに繋がり、ぐいぐいとストーリーを引っ張っていく。それだけでなく、文章にリズムがあり、一行一行場面を創造する力に満ちている。また著者がグルメなのであろう。料理の描き方にこのような分析があったのかと、はっとさせられるし、風味豊かに描いているのが素晴らしい。勿論、食は今やエンターテインメントなので、読むことが快楽に繋がる。食に対する興味と、カジマナと週間誌記者の対決に対する興味で結末まで引っ張っていき、ハッピーエンドで終わらせる力量も素晴らしかった。