◆たばこを吸う人は吸わない人に比べ、心筋梗塞などの心臓病にかかる率が3倍程度高いことが厚生労働省研究班の大規模調査で分かった。心臓病で治療を受けている患者は全国で約107万人と推計されているが、調査結果を当てはめると、うち約31万人は喫煙しなければ発症しなかった計算になる。

 磯教授らは、全国の40~59歳の男女計約4万1000人にたばこを吸う本数などを聞いた後、90~01年にかけて平均11年間追跡し、心筋梗塞や心臓の異常による突然死などが起きたかどうかを調べた。その結果、男女計326人が心筋梗塞などを発症し、うち109人が死亡していた。

 ◇2年以上禁煙の男性、非喫煙者と変わらず

 喫煙との関係を調べると、喫煙男性の発症率は吸わない男性の約2.9倍、喫煙女性は吸わない女性の3.1倍だった。男性の発症率は喫煙本数とともに増え、1日14本以下は吸わない人の2.3倍だったが、15~34本だと3.0倍、35本以上は3.1倍になった。

 心筋梗塞などによる死亡者は、全国で男女とも年間約1万5000人。調査結果からは、うち男性6900人、女性1400人の計8300人の死者が、たばこの影響とみられた。

 一方、禁煙から2年以上たつ男性の発症率は元々吸わない人と変わらなかった。肺がん予防では同様の効果が出るまで禁煙後10~15年かかるが、心臓病予防の効果は早めに出た。女性は禁煙経験者が少なく分析が難しかったが、同様の効果が見込めるという。

 磯教授は「たばこを吸うと、ニコチンの影響で血管が収縮し、血液もネバネバになって心臓の血管が詰まりやすくなる。禁煙するとこうした悪影響が消える」と予防効果の理由を説明している。