◆自転車に乗るのが極限を目指すようなスポーツだとは、ほとんどの人は思わないだろう。だが、人力でも当たり前のように法定制限速度を超えてしまうとしたら、話は別と言わざるを得ない。

 自転車競技の1分野で、まったく新しいレベルの技術が――そして、その結果としての記録が――生まれつつある。ネバダ州バトル・マウンテンで毎年開催されている『ワールド・ヒューマン・パワード・スピード・チャレンジ』(WHPSC)のファンたちは、『ツール・ド・フランス』出場選手の最新鋭の装備でさえ古臭いと感じている。

 人力駆動車(HPV)で時速130キロ超を記録するには、軽量フレームと極上の車輪だけでは不十分だ。

 これまでに開発されたHPVで最速のものは、しかるべき「パイロット」が乗って初めて威力を発揮する。脚力の強さに加えて、弾丸型の車体にうまく収まる小柄な体と、精神面での持久力が求められる。

 ほんの数年前の2000年には、最速記録でも時速110キロ台だった。最近になってスピードが一足跳びに伸びた要因の1つは、「層流」についての空気力学的な理解が深まったことだ。層流とは、流体力学の用語で、空気が互いに干渉しない平行な層となって流れている状態を指す。この層流を作り出す車体の設計は、適切なコンピューターソフトなしにはまず不可能だ。


まさに究極の空気力学と、究極の軽量化された車体と、究極の肉体と精神力を持った人間がそろってこそ成し遂げられるものであろう。
 
 それにしても、人力だけで時速130kmは凄いの一言である。