2020年3月20日(水・祝)春分の日、夕刻。

星組『RRR』新人公演が上演されました。

 

3月7日(木)が中止になり、異例の振替上演。

劇団の英断に感謝します。

 

総合的な感想は「がんばったねえぇぇぇ!!」

 

見応えあったし、一人一人がベストを尽くしてる姿勢が画面越しにも伝わってきました。

 

なんていうか、新人公演らしい新人公演を観たな、と。

 

今の星組トップ(礼真琴)さんはスーパーマン。

なので、誰が主演しても多少の見劣りは致し方なし。

それでもなお、輝いて見えました。

 

碧海さりおも、

天飛華音も、

稀惺かずとも、

大希颯も。

 

本役さんは高い目標であり、憧れの背中。

それを必死で追いかける姿。

これぞ、THE 新人公演…!

 

今回の『RRR』も、前回の『1789』も難易度が高い。

どちらも宝塚新公がなくなり、東京のみ。※

それだけに、健闘した感が半端ない。

 

※『1789』は宝塚大劇場は期間の大半、上演中止。

※『RRR』は労基査察を経て、劇団が宝塚新公を中止に。

 

主演を筆頭に、新公学年の皆さん、本当にめちゃくちゃ頑張ってました。

 

ええもん観せてもらいました。

ありがとうございます。

 

それでは、個人別ざっくり感想に移ります。

 

 

★竹田悠一郎(新公演出担当)

構成は、本公演をそのままなぞってました。

細かな演出は、新公配役の個性や意見を尊重したのかな?

本公演との違いもチラホラ。

それが味になっていました。

 

 

★大希颯(105期・研5)

コムラム・ビームアクタル

本役…礼真琴(95期・研15)

 

ゴーンド族の守護者で英雄・心優しく頼もしい存在。

ビジュアルと発声は、文化祭の時からかなりの仕上がり。

ややくぐもっていますが、自然な低音発声。

礼真琴の動きや台詞回しをかなり忠実に再現。

遠目アングルだと、動きや台詞は礼さんそっくり。

場が進むにつれ、大希アクタルの味が出てきます。

ラーマの前ではマジで弟、大型犬の仔犬のよう。

歌もダンスも頑張っていました。

大槍をふるう姿、様になってました。

ジェニーの前では照れまくる姿が可愛い。

大柄で三白眼を効かせてるのに、可愛い印象強め。

仲間を想う優しさ、素直さが随所に滲み出る。

人間としての可愛げが溢れてました。

 

 

★乙華菜乃(106期・研4)

ジェニファージェニー

本役…舞空瞳(102期・研8)

 

舞空ジェニーと印象がちがう。

衣装も台詞も同じなのに、別人。

舞空ジェニーは銀シャリ。

乙華ジェニーは朝粥。

伝わります…?

舞空さんは単体でも華やか。

登場すると同時に陽光がきらめく感じ。

現代的で活力に満ちた女性像。

乙華さんは単体だとおとなしめ…?

…ですが、男役と対峙すると可憐に輝く。

伝統的な宝塚ヒロイン風味。

とはいえ己の持ち味を生かすあたり、乙華さんも現代的で活力に満ちてます。

 

 

★御剣海(104期・研6)

A・ラーマ・ラージュ

本役…暁千星(98期・研12)

 

顔の輪郭が、本役さんと似てますね。

爽やかな若者声。

弟分のアクタル(大希颯)の方が大柄で声も低いとは。

これはこれで萌え…!

しかも、態度や貫禄は兄貴なのよねん。

これは萌えるでしょ…!

誰だよ、新公のキャスティングした人?

ありがとうな…!!

 

 

★稀惺かずと(105期・研5)

ジェイク

本役…極美慎(100期・研10)

 

こなれてますね、稀惺ジェイク。

余裕を感じました。

新公主演を経て、一段階上へ行った感。

英国人のイヤミったらしさ、優雅さなど程好いバランス。

コメディに寄り過ぎない、自然な面白みも。

塩梅や加減を考え抜いたバランスを感じる演技でした。

ナートゥも全力で踊ってましたね。

本公演では踊れないから嬉しいのでは?

 

 

★綾音美蘭(104期・研6)

シータ

本役…詩ちづる(105期・研5)

 

本役さん同様、可愛くて歌も上手い綾音さん。

シータは出番が少ないながら、インパクトがある役。

本役に沿った演技で、シータの芯の強さを表現。

上級生ながら、下級生の本役の演技を吸収する姿勢に拍手。

 

 

★世晴あさ(104期・研6)

スコット

本役…輝咲玲央(92期・研18)

 

貫禄があって、髭も軍服も似合う。

体格を生かした圧も効いてます。

悪い奴ですが、イケオジ過ぎて思わずうっとり。

大人の男っていいよね。

学年が上がるほど、活躍の場が広がりそう。

 

 

★瑠璃花夏(103期・研7)

キャサリン

本役…小桜ほのか(99期・研11)

 

冒頭で登場したキャサリン、小桜さんかと思いました。

ビジュアルもですが、佇まいや話し方など、寄せまくり。

舞踏会でも、アリアを朗々と歌い上げてて。

るりはなちゃん、大人の女性が似合う。

静かな貫禄と存在感がありました。

まさに貴婦人。

酷い人なんですけどね。

『夜明けの光芒』ヒロインはるりはなちゃんやろなあ。

見応え聴き応えのある瑠璃エステラ、早くも脳裡に浮かびます。

 

 

★和波煌(107期・研3)

エドワード

本役…碧海さりお

 

スコット提督の秘書・エドワード。

慇懃無礼で冷徹なイケメン。

碧海エドワードはインド人を虫けら扱い。

和波エドワードはロボットみたいに機械的。

同じ嫌な奴でも、受ける印象が違うと別人ですね。

雪組104期・蒼波黎也は兄。

 

 

★茉莉那ふみ(108期・研2)

マッリ

本役…瑠璃花夏

 

歌声を本役さんに寄せてて、驚きました。

108期の入団首席とはいえ、文化祭で歌のソロはなし。

だから、こんなに歌えるとは思わず。

歌が得意というより、ものすごい努力家なんだろうと。

瑠璃花夏の歌い方を完コピしたのかな。

だとしたら、それはそれで凄いことです。

 

 

★碧音斗和(104期・研6)

ペッダイヤ

本役…天華えま(98期・研12)

 

104期入団首席の碧音くん。

歌もダンスも芝居も高値安定。

安定感たっぷりのベッダイヤでした。

プレイヤーというより、コーチか監督みたいな。

本役さんより年上設定に感じました。

 

 

★樹澄せいや(106期・研4)

ジャング

本役…天飛華音(102期・研8)

 

あら、爽やかイケメン。

顔に吸い寄せられました。

すらっとした立ち姿もかっこよか。

南国の香りがする本役さんに対し、信州か北欧ニュアンス。

(インド人設定なのに何故?)

クールミントなインド人なのね。

 

 

★世奈未蘭(107期・研3)

ラッチュ

本役…稀惺かずと(105期・研5)

 

本役さんのテイストを踏襲。

ちょっとヤンチャな可愛い弟タイプ。

リアルに弟でもあります。

(兄は雪組103期・紗蘭令愛)

 

 

★紘希柚葉(103期・研7)

ヴェンカテシュワルル

本役…ひろ香祐(95期・研15)

 

処刑シーンでは帽子を脱いでたので、顔が良く見える。

やたら男前のおじさんやなぁ…と思ったら!

紘希くんでしたか!!

そら、男前のはずですがな。

ラーマ役でもハマったであろうシュッとしたイケメンっぷり。

大人の男性が似合うタイプなので、ぜひ長く活躍して下さい。

 

 

★彩紋ねお(105期・研5)

オム

本役…大輝真琴(91期・研19)

 

修理屋のオヤジさん。

本役さんが醸し出す包容力を目指し、安心できる大人を体現。

懐の深さ、アクタルとの信頼関係など、イイ感じ。

本役さんが持つ味わいを、かなり近い処まで再現していました。

 

 

★星咲希(103期・研7)

ネハ

本役…白妙なつ(90期・研20)

 

修理屋のおかみさん。

気っ風が良くて、頼もしくて。

煩くない、心地良さがありました。

さじ加減が絶妙な存在感でした。

 

 

★羽玲有華(103期・研7)

バッジュ/SINGERRR

本役…美稀千種(79期・研31)

 

声量豊かな歌声の持ち主。

ゴーンド族の長であり、重鎮の存在感。

本公演でも登用していってほしい生徒さん。

どの組でも、103期生は職人の技を磨いてる感じがします。

頼もしい存在です。

 

 

★詩ちづる(105期・研5)

SINGERRR

本役…都優奈(102期・研8)

 

声量に余裕があり、声を張らずとも明瞭。

歌唱力が成長してますね。

歌がメインのお役は、良き修練になりますね。

本役さんも美声のディーバ。

配信では何回かアップを抜いてくれました。

真剣な面差しで歌ううたちゃん、かっこよ。

 

 

 

…一通り、触れまして。

まだまだ触れ足りないと思いつつ。

 

新人公演を観るたび、こんな人財がいたのか!と驚きます。

 

星組は特に、新公で「こんなに歌える人が」「こんなに魅力的な人が」とワクワクする宝の宝庫だと感じてきました。

 

裏返せば、本公演は人財の硬直が長らく起きていたと、私は個人的に感じていました。

 

しかも、なぜか高い舞台技術を備えた人が登用されず。

主に礼真琴さんが下級生時代から一人で悪戦苦闘してきた印象があります。

 

それくらい、路線ほど「…これは修業かな?」と思う方が豊富だった印象があります。

男女とも。

 

一瞬、実力派トップコンビが現れた時期もあり、その時は珍しく力のある生徒が新公でもヒロインを取れた記憶があります。

(小桜ほのか、真彩希帆)

 

今、本公演はどんどん見応えがあるようになり、ほぼストレスフリーに近づきました。

 

私は宝塚に技術の高さばかり求める訳ではありません。

 

実際、今の宝塚で最も魅力を感じるトップコンビは花組です。

それは柚香光の人間的魅力に負うところが大きい。

舞台技術も芝居とダンスは素晴らしいと思います。

ちょっと歌が苦手なだけで…。

 

歌劇である以上、ソロをとれる路線スターにとって、歌の比重はとても大きいんですよね。

 

礼真琴様、宝塚に入って下さって本当にありがとうございます…!

 

『1789』に続き、星組の新公学年の人財の豊富さに、改めて舌を巻きました。

 

全員をセンターに出来ませんが、それぞれの能力や魅力を生かす配役をこれからも希望します。

一組に約80名の組子がいるから、なかなか難しいと思いますが。

 

役や見せ場を増やしてくれる演出家もいれば、無視する人もいて、そこは生徒や観客には介入できない境地。

演出家と、劇団で裁量権をもつ方々に期待するしかありません。

 

 

※姉妹ジェンヌに関して、男役さんは敢えて兄・弟と表記しています。

 

 

▽ よろしゅうおたの申します

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