2024年2月27日(火)宙組103期生の遺族代理人・川人博弁護士が開いた記者会見。
宝塚ファンはおおむね、応援している空気を感じます。
中には、反感を抱く人もいるようですが。
SNSで目にする限りですが、
「メディアを味方につけ、世論を煽る」
「印象操作」
「裁判しても勝てない」
「司法に委ねるべき」
…などなど。
ここには書き切れないのですが。
それらのご意見について、改めて考えてみました。
★メディアを利用し、世論を味方につける
メディアを活用し、世論を味方につけること。
それは戦略です。
弱者が巨人に立ち向かう為の知恵。
故人の実家は裕福ですが、阪急阪神グループと比較すれば、小さな商いです。
老舗とはいえ、京都の漬物屋ですからね。
規模が段違い。
訴訟にはお金がかかります。
長引けば長引くほど、遺族側は不利です。
経済的な体力に、格段の差があるから。
日本人は昔から、判官贔屓の傾向があります。
不遇な者や弱者に同情し、応援する傾向がある。
世の中捨てたもんじゃない、と思わせてくれます。
長い物に巻かれたり、勝ち馬に乗る方が遥かに多いだけに。
それに、同情だけではありません。
道理に適うから、共感し、応援する人が多いんです。
★資格のはなし
医師は国家資格です。
これ、誰でもご存知ですね。
美容師も国家資格です。
しかも一般人とは一線を画す、ある権限を得ています。
医療関係者と同じ、ある権限を。
何だと思います?
それはですね……
「人の身体に触れても良い」という権限です。
美容師は刃物・薬品・熱源を用いて、人の身体(主に頭部)に触れる職業です。
身体の中でも頭部は特に繊細な部位ですし。
国によっては、無資格で美容師になれたりします。
日本は安全配慮義務を非常に重視している事がみてとれます。
★もし司法に委ねたら…
「司法に委ねるべき」
「裁判で決着を」
…と声を上げている人は、民事訴訟をイメージしているのでしょうか。
もし裁判になれば、遺族側は刑事告訴する可能性が考えられるかと。
例のヘアアイロンの件。
本人が「自分でします」と断ったにも関わらず、強引にアイロンを用いて、火傷を負わせた、との由。
これは傷害事件として認識されます。
刑法204条「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」
「軽度の火傷で大袈裟な」と思う人もいるようですが、なんと太っ腹な。
私は無理です。
顔に火傷……想像しただけで怖いし、辛すぎる。
それに、頭部は脳神経が集約しています。
もちろん、痛覚を司る三叉神経も。
他の箇所より、痛みも強いかと。
舞台俳優にとって、容姿は大切な商売道具です。
業務妨害の側面も考えられそう。
この火傷事件、数々のハラスメントへ繋がる発端となりました。
非常に重要な案件です。
「ヘアアイロンの件を書いた文春を責めるべき」という意見もあるかもしれません。
文春砲以前に、傷害を負わせた人がいるのですから、その人に謝罪を求める事はごくごく当然です。
また、過重労働による労災は、明らかな事実。
労働基準監督署が乗り込み、指導するに至りました。
ハラスメントについても、現役劇団員の証言が出ています。
NHKはじめ、取材に応じる生徒も。
司法の場では、遺族側の方が有利だと思うのですが。
では、遺族側はなぜ「勝てる見込みがある勝負」を敢えて回避するのでしょうか。
以下は、わたくしことシエスタの推測です。
「もし己が故人と妹さんの親だったら」という立ち位置で考えてみました。
★先々を見据えて
故人(103期)には、双子の妹(102期)がいます。
舞台復帰するにせよ、退団するにせよ、妹さんはこれからも生きていきます。
妹さんの未来を想うとき、いたずらに敵を増やしたくはない。
だが、亡くなった姉の名誉も回復したい、守りたい。
裁判で勝った場合、負けた方には前科がつきます。
それは拭い難い遺恨となる恐れがあります。
司法の場で明確に白黒つけない事を選択したのは、劇団や上級生の名誉を守る為だろうと想像しています。
謝罪を求めつつ、先方の名誉を守ることで、良い関係を築いていこうとする姿勢を感じます。
姉のために戦う決意をした妹が、少しでも生きやすく、叶うならば舞台復帰の道を残せるように。
亡くなった姉の人権を守るため、先方の人権も守る。
できる限り穏便に…だが、毅然として。
また、宙組の舞台再開を早める意味でも、裁判を避けたのだと思います。
裁判となれば、最短でも数ヶ月を要します。
裁判沙汰にするまで拗れたら、長期化もやむを得ないでしょう。
舞台に戻れぬまま年単位で時間が過ぎれば、劇団に籍は残っていても、実質的な引退という流れになるかもしれません。
上級生の場合は特に。
互いの傷や負担の軽減を考え、裁判を回避する方向でここまで来たのでは、と想像しています。
もちろん、私個人の推測に過ぎません。
素人の私ごときに想像できる程度の。
川人博弁護士は司法のエキスパートです。
もっと深い考察に基づいての判断でしょう。
3月上旬の話し合い次第では、次の段階に進まれるかもしれません。
(予告めいた事は仰ってました)
劇団が守れば守るほど、宙組上級生は窮地に陥ってきました。
彼ら彼女らを守るためにも、新たな視点をもってほしい。
宙組の再生を、心より願っています。
∇ 祈っています
※追記
コメントありがとうございます。
鵜呑みにするのではなく、疑いの目を持つ姿勢は素晴らしいと思います。
「姉が受けた酷いパワハラの内容」は代理人から提出済です。
代理人が依頼者のために働く事は大前提です。
正しいか否か…というか、「事実かどうか」ですよね。
そのために可能な限り、証拠となるものを提出されているかと。
私達は行方を見守るしかありませんね…。
人それぞれ、見え方・感じ方は異なります。
異なる視点をいただき、嬉しく思っています。
冷静なご意見、ありがとうございました。