年が明け、2024年。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
服喪中の方もお読みかと思いますので、寿ぎの言葉を控えさせて頂きます。
宝塚ファンは全員、気持ちは服喪中かもしれませんね…。
私も故人とご遺族に想いを馳せています。
そして元日、能登と佐渡で大きな地震が発生しました。
地震の影響で、日本海側では大きな津波も発生。
寒い時期の夕刻、寒さ厳しい地域での地震。
想像するだに辛すぎます。
強い地震のあとは余震も多く、不安が重なると思います。
現地や近隣にいらっしゃる方々がお一人でも多く、ご無事でありますように。
…さて、2023年のやり残し・別箱振り返り。
上演順に並べるにあたり、作品数が多いので、2023年前半と後半に分けます。
❶MAKAZEISM(宙組)
主演…真風涼帆(92期・研18)※上演時 研17
構成・演出…石田昌也
国際フォーラム・ホールCにて上演
真風涼帆のリサイタル、なんと2回目。
長期トップを張っただけあります。
トップ娘役・潤花(102期)も真風コン組。
ミュージックサロンは開催せず。
ある意味、潤花大活躍コンサートでした。
上演期間中、文春砲が真風を直撃。
(前任トップ娘役・星風まどかに対するパワハラ報道)
そのフォローを潤花が行った事が印象的。
天彩峰里と103期生のヘアアイロン事件も同時掲載。
これがのちのち、秋の投身自死へと繋がります。
❷夢現の先に(宙組)
主演…鷹翔千空(101期・研9)※上演時 研8
ヒロイン…山吹ひばり(105期・研5)※上演時 研4
作・演出…生駒怜子
鷹翔千空バウ初主演作。
山吹ひばりバウ初ヒロイン作。
生駒先生のバウ・デビュー作。
何重にもめでたい作品。
作品紹介(導入部あらすじ)を読んだ時点で「小劇場系ファンタジー?」
蓋を開けると、その要素もありつつ、宝塚要素もあって。
様々な謎もラストに解け、繋がっていきます。
予想より骨格のしっかりした脚本でした。
主役の鷹翔はじめ、登場人物がチャーミング。
総じて、女性キャラがしっかり傾向。
女性演出家が描く女性は嫌味なく魅力的ですね。
演じる娘役の好感度まで上げるように感じます。
❸ KISS-kiki sing&swing-(宙組)
主演…芹香斗亜(93期・研17)※上演時 研16
構成・演出…三木章雄
キキちゃんのディナーショー。
サポートメンバーは風色日向、春乃さくら、真白悠希、葉咲うらら
出来る子が揃ってます。
葉咲うららは106期文化祭で、クラシック&ポピュラーともソロ歌手に選ばれた実績あり。
小さな巨人ですね。
(里中くん…?)←『ドカベン』より
トークタイムは芹香さんの鋭いツッコミ炸裂。
特にさくらちゃんへ容赦なかった印象。
芹香&春乃のコンビ芸(プレ夫婦漫才)を披露…?!
❹BONNIE&CLIDE(雪組)
主演…彩風咲奈(93期・研17)※上演時 研16
ヒロイン…夢白あや(103期・研7)※上演時 研6
原作…IVAN MENCHELL、DON BLACK
潤色・演出…大野拓史
名古屋・御園座にて上演。
新トップコンビ・プレお披露目公演。
朝月希和退団後、後妻に入った夢白あや(宙組⇒雪組へ異動)
夢白さんは作品運がある。
自分とハマる役柄を引き当てる運というべきか。
主演コンビと役のマッチングは予想以上でした。
物語世界の空気感込みで、予想より観応えがありました。
咲ちゃんとゆめぴろ、持ち味は違うのに意外と合う並び。
❺海辺のストルーエンセ(雪組)
主演…朝美絢(95期・研15)※上演時 研14
ヒロイン…音彩唯(105期・研5)※上演時 研4
作・演出…指田珠子
梅芸ドラマシティ(大阪)とKAAT(神奈川)にて上演。
文学的な香りを漂わせ、心の深淵を活写する指田先生。
演出家デビューして3作目。
朝美絢演じるストルーエンセは、医師版カサノバ。
人たらしでモテまくり、理想的な国家プロジェクトを推し進めます。
決してエゴイストでも悪人でもなく、急進派すぎて疎まれたストルーエンセ。
良い事が必ずしも受容されるとは限らない…理不尽が描かれました。
月組育ちのあーさ、雪組で主演する時、必ず縣千がいます。
義経バウでは相棒ではなく、案内役(みたいな感じ)
以降は、相棒として(犬だったり、王様だったり)
音彩唯は別箱初ヒロイン。
不倫する王妃の役ですが、純真な乙女を見るようでした。
❻ Le Rouge et le Noir~赤と黒~(星組)
主演…礼 真琴(95期・研15)上演時 研14
ヒロイン…有沙 瞳(98期・研12)上演時 研11
著作権…Guillaume Lagorce
潤色・演出…谷 貴矢
モーツァルトに次ぐ、ロックオペラ・シリーズ。
礼真琴に演らせたくなる気持ち、わかります…!
宝塚の枠を超えた礼真琴のチカラに酔いまくりましょう。
礼真琴と暁千星(98期)がガッツリ組んだ作品でもあります。
ワンツーのプレお披露目…?
比重からレナール夫人(有沙)をヒロインと記載しましたが。
マチルド(詩ちづる 105期)もヒロインたり得ました。
オリジナルに倣い、敢えて小さめの箱で上演。
梅芸ドラマシティ(大阪)と日本青年館(東京)
おかげでチケ難にも程がある状態に。
おそらく2023年で最もチケ難公演 in 宝塚だったのでは?
❼バレンシアの熱い花/パッション・ダムール・アゲイン!(星組)
主演…凪七瑠海(専科89期・研21)
ヒロイン…舞空 瞳(102期・研8)
芝居:作…柴田侑宏
芝居:演出…中村暁
ショー:作・演出…岡田敬二
専科のかちゃ(凪七)が星組全国ツアー主演。
相手役はトップ娘役のなこちゃん(舞空)
二番手役は瀬央ゆりあ(95期)
この三名のコンビネーション、予想以上でした。
かちゃのしっくり具合は毎度、驚かされます。
なこちゃん、瀬央さんから「かちゃさんと前々から組んでます」感が滲み出てました。
『パッション・ダムール』は凪七瑠海主演で雪組バウにて上演。
その再演版ですが、これまた良き。
岡田先生の名作ショーオムニバスですが、THE 宝塚な場が詰まりまくってて。
美味しいものセレクションと呼ばせて頂きます。
➑ Stella Voice(星組)
主演…天華えま(98期・研12)
構成・演出…中村一徳
歌に特化したバウ・ワークショップ。
天華えまは下級生たちを率いるというより、輪の真ん中にいる感じ。
日替りゲストトークでは、下級生の話を優しく引き出すお兄さん。
星組は長らく上級生が渋滞してました。
ソロを貰える生徒はなぜか歌が弱い傾向があった星組。
(正確には、星組に限りませんね)
ところが、新人公演やバウ・ワークショップではいるんですよ。
歌が得意だったり、美声だったりする生徒が。
Stella Voice もほぼストレスフリーで楽しめました。
❾二人だけの戦場(花組)
主演…柚香光(95期・研15)
ヒロイン…星風まどか(100期・研10)
作・演出…正塚晴彦
異色の法廷劇。
柚香光と永久輝せあがガッツリ組んだ、新たなワンツー。
軍服、男同士の友情、硬質の設定。
それを美貌のれいひとこで観られるという。
正塚先生にひれ伏したい…!
ひたむきなヒロイン(星風まどか)
迫力の歌姫エルサ(朝葉ことの)
…と、娘役もパワフルに活躍。
恋愛や友情の要素も絡めつつ、主軸はミステリ。
裁判の行方と、回想が交互に入れ替わる場面。
総じて見応えある作品。
梅芸メインホール(大阪)と池袋ブリリア(東京)で上演。
❿舞姫(花組)
主演…聖乃あすか(100期・研10)
ヒロイン…美羽愛(104期・研6)
原作…森鷗外
脚色・演出…植田景子
聖乃あすか、二度目のバウ主演。
美羽愛、二度目のバウヒロイン(単独は初)
二番手役は帆純まひろ(99期)
分担さんワンツー…胸熱です。
※分担さん:音楽学校の掃除担当(予科生)と指導者(本科生)
明治時代のエリートは、いわば国の代表。
背負う責任の重さは、現代人には想像が追いつきません。
聖乃あすか演じる太田豊太郎は、期待を背負った国費留学生。
懊悩と葛藤に苛まれる美貌の青年。
白軍服が似合う…!
近年の聖乃さんは役の振り幅が大きい。
狂気のアナーキスト、お調子者の馬丁、ボンボン丸(←言い方)など。
久々に正統派(に見える役の)センター。
クラシカルな貴公子が似合います。
美羽愛のエリスは無邪気な少女。
初演の野々すみ花とは異なるアプローチのエリスでした。
野々さんは役に憑依するタイプ。
多くの人がイメージする概念を体現…とも言えるかも。
美羽さんは役を引き寄せ、自己流アレンジを施すタイプ。
役の解釈もオリジナル。
⓫ One and Only(花組)
主演…水美舞斗(95期・研15)
構成・演出…竹田悠一郎
水美舞斗、花組生として最後のステージ。
可愛い下級生に囲まれてのディナーショー。
サポートメンバーは糸月雪羽(100期)、一之瀬航季(100期)、翼杏寿(101期)、星空美咲(105期)
全員マイティLoveですが、翼杏寿はぶっちぎり。
マイティを「王子」と呼び、死ぬほど好き♡がダイレクトに伝わる。
(相手役として)指輪をもらった星空美咲との競り合いが面白すぎ。
マイティは元気一杯、サービス精神てんこ盛り。
4人を相手に次々と絡みまくるダンスとか、カッコ良過ぎ。
THE 花男!なマイティ。
本質は繊細だろうし、思う事は沢山あったろうと思います。
専科へ移行後、予想を上回る幅広い活躍を展開。
劇団はマイティを大切に考えてくれてるんですね。
ありがとう。
⓬ DEATH TAKES A HOLIDAY(月組)
主演…月城かなと(95期・研15)
ヒロイン…海乃美月(97期・研13)
原作…Thomas Meehan and Peter Stone
潤色・演出…生田大和
東急シアターオーブ(東京)にて上演。
疲れ切った死神が、とある貴族の別荘を来訪。
ロシア貴族のふりをして、短期間の居候を決め込みます。
その設定と主演の美貌から、
「トート閣下がイタリアでバカンス?!」
…と驚いたとか、驚かなかったとか。
運ばれた朝食に大はしゃぎするサーキ(月城)
物珍しそうに目玉焼きをフォークでつつきます。
この目玉焼きが、題字のモチーフに。
派手に歌い踊るより、心情を綴る歌と芝居で進行。
芝居メインな処が月城さん主演作らしいっちゃ、らしい。
そんな『DEATH TAKES A HOLIDAY』ですが、歌と踊りの場もあります。
その中でも最大にして最長のナンバーは、タップダンス。
サーキ(月城)とアリス(白河りり)が中心となり、下級生達を率いて。
月城さん曰く「タップは音楽学校以来」だそう。
稽古を積み重ねたのでしょう、タップの群舞、綺麗に揃ってました。
娘役の歌唱も印象的。
戦死した息子を想い、切々と歌う白雪さち花。
海乃美月を慰める、白河りり(103期)ときよら羽龍(104期)
三人の娘役の歌は、時には輪唱のように美しくさざめきます。
歌が苦手気味な海乃さん。
歌上手の白河&きよらさんと一緒だと、ぐんと引き上げられますね。
綺麗な三重唱でした。
⓭月の燈影(月組)
主演…礼華はる(101期・研9)
ヒロイン…天紫珠李(101期・研9)
作・演出…大野拓史
礼華はる初バウ主演。
貧しさの中、家族を救おうと人を殺めてしまった礼華はる。
純朴な青年が、一筋縄でいかぬ渡世人へと変貌。
しかし、芯は変わりなく…。
ヒロインは同期の天紫珠李。
ただし、天紫さんの「いい人」は彩海せら(102期)なんですね。
朴訥とした味を持ち、体格に恵まれた礼華はる。
表面は淡々としていますが、優しくて情が深い幸蔵(礼華)
粋で艶麗な芸妓を、指先まで意識して演じた天紫珠李。
仕込みさんとして置屋で修業してきたの?!…と思いましたよ。
いなせな江戸っ子そのものの彩海せら。
幸蔵(礼華)と対照的に情感豊かで真っ直ぐな次郎吉(彩海)
バウホールは若手の成長の場なのだ…と改めて実感した舞台でした。
⓮ Gemini(月組)
主演…鳳月杏(92期・研18)
構成・演出…中村一徳
鳳月杏ディナーショー。
サポートメンバーは英かおと(99期)、彩音星凪(101期)、羽音みか(103期)、一乃凛(106期)
ちなつさん、二度目のディナーショー。
初回『NEXT ONE』は、花組から月組への里帰りが決まった際。
月組生として、花組ディナーショー開催(CASANOVA閉幕後すぐ)
サポートメンバーは花娘3名+星娘なりたて1名。
なりたて星娘は、同時期に組替が決まった舞空瞳(102期)でした。
鳳月杏は人望・実力・人気が綺麗なトライアングルを象るジェンヌ。
ステージングは文句なし。
敢えて言うなら、曲目選定にちなつさんももっと関与してほしいような。
良くも悪くも自己主張せず、淡々と仕事をこなす印象があるので。
ただ、出来て来る成果品は予想を上回るんですけどね。
歌唱・ダンスともハイレベルな鳳月さん。
安心して全てを委ねられる時間と空間が、そこに。
サポメンもバッチリ。
すらりとカッコイイ男役(英&星凪)
舞台技術力が高い娘役(羽音&一乃)
トークタイムでは、ちなつさんを囲んで和やかに。
英さん、星凪くんから滲み出る「いいひと」成分よ。
羽音さんは盛り上げ役。
一乃凛はしっかり者で、普段の姿が透けて見えるような。
素敵な和装の方が同じテーブルだったからか?
洋装の方々もお洒落だったからか?
それとも、単に動線の関係か?(←これが一番大きそう)
客席降りでは、ちなつさんはじめ、生徒さんが入れ替わり立ち替わり来てくれました。
(後方テーブルにも関わらず)
おこぼれライトならぬ、おこぼれテーブル。
ありがたや、ありがたや。
…以上、2023年1~6月の別箱を振り返ってみました。
▽ 2023年7~12月別箱編につづく