年が明け、2024年になりました。
旧年中もお読み下さった方、ありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
服喪中の方もお読みかと思います。
あっさり目のご挨拶で失礼いたします。
さてさて、2023年のやり残し・宝塚作品の振り返り。
まだまだ書き散らしますよ。
2023年、宝塚大劇場で上演されたショーを振り返ります。
(東京宝塚劇場でのみ観劇してる方、ごめんなさい)
それでは、上演順に並べてみますね。
❶ENCHANTMENT(花組)
主演…柚香光(95期・研15)
ヒロイン…星風まどか(100期・研10)
作・演出…野口幸作
香水がテーマ。
全体的に都会的で洒落た場が展開されます。
その中で、マリリン・モンロー『七年目の浮気』パロディがお目見え。
香水といえば、シャネル№5とモンローは外せませんね。
専科へ異動する水美舞斗、花組生として最後の花組ショー。
❷Deep Sea~海神たちのカルナバル~(月組)
主演…月城かなと(95期・研15)
ヒロイン…海乃美月(97期・研13)
作・演出…稲葉太地
深海がテーマ。
ジャンケンに負けて、いじける月城かなとが可愛い。
カウチごと運ばれ、「ちょ、まっ…」な鳳月杏も可愛い。
雪組『Fire Fever!』に続き、若手選抜チームのダンスが。
雪組版にも出た彩海せらが、月組でも…なんだかジーン。
❸ジュエル・ド・パリ!!(雪組)
主演…彩風咲奈(93期・研17)
ヒロイン…夢白あや(103期・研7)
作・演出…藤井大介
宝石がテーマ。
誕生石について歌う歌詞…
全国ツアーではアメジスト(縣千2月生まれ)⇒ ルビー(華世京7月生まれ)に。
さすが宝塚、こういうアレンジは惜しまない。
❹GRAND MIRAGE!(花組)
主演…柚香光(95期・研15)
ヒロイン…星風まどか(100期・研10)
作・演出…岡田敬二
ロマンチック・レビューシリーズ。
岡田先生のクラシカルでエレガントなショー…と思いきや、情熱的でパワフルな面も。
一之瀬航季が肩に星風まどかを乗せて歩いてくるとか、驚きでしかない。
リアル男子でも、めったにお見かけしませんぜ。
❺万華鏡百景色(月組)
主演…月城かなと(95期・研15)
ヒロイン…海乃美月(97期・研13)
作・演出…栗田優香
東京が舞台の、輪廻転生を描く。
江戸時代の悲恋に端を発し、時を経て生まれ変わっては出会う。
その多くは、刹那のすれ違いや一夜のダンス。
運命の恋人たちを見守る器物たち、そして東京。
栗田優香・大劇場演出家デビュー作。
❻Sky Fantasy!(宙組)
主演…芹香斗亜(93期・研17)
ヒロイン…春乃さくら(102期・研8)
作・演出…中村一徳
正直おどろきました。
トップコンビが変わっただけで、こんなに別物になるのか、と。
カラーや雰囲気が一新した印象がありました。
そして…メインキャストが歌える人しかいない…!
トップコンビ、二番手(桜木みなと)、三番手(瑠風輝)など。
まさかの歌うま組誕生…?!
9/30(土)早朝、組子の自死が判明。
9/29(金)初日と翌日の3公演のみ上演、以降は中止。
❼FROZEN HOLIDAY(雪組)
主演…彩風咲奈(93期・研17)
ヒロイン…夢白あや(103期・研7)
作・演出…野口幸作
野口先生、今年2回目の大劇場登板。
クリスマスとお正月を挟む事から、祝祭モード炸裂。
とても楽しく華やかなレビュー。
彩風咲奈、和希そらにとって最後のレビュー。
朝美絢のイケメンキャラ、縣千の色物キャラが際立ちます。
そして彩風さんはどこまでも涼しげ(中身は熱いお方ですが)
…以上です。
なんと星組作品がゼロ。
東京宝塚劇場で『Jaguar Beat』が上演されましたが、本拠地ではゼロ。
それでは、個人的なランキングをば。
基準は「もう一度観たい」と思う気持ちの強さでしょうか。
プラス「宝塚なればこそ」という面にも着目したいなと。
第3位
❹GRAND MIRAGE!(花組)
岡田敬二先生のショーはいつだって大好物。
古き佳き時代の香りが漂いつつ、パンチが効いてます。
宝塚だからこそ可能な、妖艶と清廉が融合した空気感。
時代や空間を飛び越えた異次元へといざなってくれます。
独特の世界、でも不思議と懐かしい…。
シボネ―の肩乗りまどちんは何度見ても衝撃。
いくら星風まどかが華奢だとしても、大人の女性ですから。
それを肩に載せちゃう、はなこちゃん(一之瀬航季)
(全国ツアーでは星空美咲を乗せてたよ!)
(超人・一之瀬航季!!)
2023年逝去された羽山紀代美先生の遺作となったボレロも印象的。
岡田先生のご子息がX(旧Twitter)で
「父はいつも『傑作ができた』としか言わない」と呟かれていました。
常に最高を目指し、誇れる作品を生み出しておられるのでしょう。
第2位
❶ENCHANTMENT(花組)
テーマに沿って、ときめく場が次々と展開。
舞台のセットも香水で埋め尽くされてましたが、組子一人一人の名前が記してあったとか…?
ここでも、野口幸作の宝塚Loveが炸裂。
華やぎ・緩急・組子への愛など、エンタメと宝塚愛が溢れています。
好きを詰め込んで、お洒落にラッピングしたショー。
「みて、みてー!」とハフハフさせてる野口少年が透けて見えるような。
ご本人、セカンドバッグ小脇に抱えた青年実業家風ですけど。
中身は永遠のワンコかもしれませんね。
舟のオールを使った水兵と娘たちの群舞は、振付が斬新。
オールが娘役の体重を支える。
そのオールを男役が持つ。
なんかもう、手に汗握りました…!
次期トップコンビの最有力候補・永久輝せあと星空美咲。
本公演での絡みは少なめですが、ここでガッツリ。
水美舞斗が花組二番手として最後のショー。
柚香光と水美舞斗が対峙する場は、男の色香炸裂。
バッチバチに火花を散らし合って。
根底に流れる信頼関係がふと滲み出たりも。
ヅカヲタが、ヅカヲタの為に創ったショー。
(野口先生の作品は全部そうですね)
(ファン代表ショー作家)
第1位
❺万華鏡百景色(月組)
お芝居の印象が強い栗田優香先生。
ショーで大劇場デビューを飾る、と知った時は驚きました。
完成度が高く、文句なし!…という訳ではありません。
むしろ、思考錯誤や迷いの痕が見て取れます。
その擦過傷込みで、魅力的な作品です。
今までにない地平を魅せてくれました。
栗田優香にしか生み出せない世界観。
異色といえば、異色です。
他のどれとも違う、栗田優香ワールド。
懐かしいのに、新しい。
一つ一つの場が煌めき、変転する、まさに万華鏡。
何度でも観て、群舞の一人一人までつぶさに見たい。
銀座や渋谷の場は、特にそう思いました。
芥川龍之介の短編小説の仕込みも興味深かったです。
鹿鳴館の一夜を描いた『花火』
先鋭化したコダワリが狂気と化した『地獄変』
この二編を繋ぐ、文明開化で華やぐ銀座の目抜き通り。
そこでは、マネキンさえ動き出し、踊り出します。
(マネキンは雅耀、八重ひめか、乃々れいあ)
(人形のように可愛らしい研2と研1さん)
(まばたきもせず、人形になりきってます)
さらに戦後の闇市、現代の渋谷の交差点など…。
それぞれがバラバラに見えながら、繋がっていく時空。
孤独な魂が呼び合い、一瞬めぐり会い、やがて去り行く。
何度も何度も繰り返される、刹那の出会いと別れ。
せっかく出会えても気づけなかったりね…。
全ての場にドラマが盛り込まれていました。
出会っているのに気づけない…そういう事は沢山あるのだろうと思います。
好き嫌いが分かれる作品かもしれませんが、私は惹かれました。
ほぼ全ての場が、脳内で上演可能。
印象と記憶に残るレビュー。
栗田優香先生は、宝塚の宝になり得る人財だと思います。
余談ですが、こんなに「Tokyo、Tokyo」言うてる宝塚のショー、珍しいですね。
ふと、齋藤吉正先生の「I love 横浜」っぷりが脳裡をよぎりました。
脳裡をよぎるといえば、EPOの『DOWN TOWN』
「♪ダウンタウンへ繰り出そう♫」と夢奈瑠音を筆頭に銀橋渡る場の曲。
齋藤先生が奨めたのでは…?
万華鏡は「ばんかきょう」という読み方もありますが、メジャーなのは「まんげきょう」
漢音読みにこだわった理由も知りたいところ。
栗田先生に質問できるなら、伺いたい事が次々と浮かびます。
栗田先生のトークショーが開催されないものか…。
…以上です。
宝塚のショーは中毒性が高い。
仮にお芝居でどんよりしても、ショーで全て払拭される。
美と華と艶の洪水にまみれ、精神状態上がりまくり。
あるいは夢見心地に。
その中で、迷宮にいざなわれた『万華鏡百景色』
新たな扉が開かれました。
どのショーも、おかわりしたい。
「また観たくなる」作品でした。
▽ 私も横浜生まれ(汗)
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