思えば、2023年も終わりますね。
今年の観劇総括をしましょうか…。
ちょっとヨロヨロしてますけども。
宝塚大劇場ベースです。
(東京宝塚劇場でのみ観劇してる方、ごめんなさい)
それでは、上演順に並べてみます。
❶うたかたの恋(花組)
主演…柚香光(95期・研15)
ヒロイン…星風まどか(100期・研10)
脚本…柴田侑宏
脚色・演出…小柳奈穂子
皇太子ルドルフと、男爵令嬢マリーの悲恋。
宝塚の香しき古典を、小柳先生が新たに改変。
ルドルフの苦悩に、より焦点を当てた佳作。
柚香光の麗しき皇太子にとろけます。
カゲソロ(龍季澪&花海凛)の美声とマッチ。
❷応天の門-若き日の菅原道真の事-(月組)
主演…月城かなと(95期・研15)
ヒロイン…海乃美月(97期・研13)
原作…灰原薬
脚色・演出…田渕大輔
マンガ原作の2.5次元ミュージカル。
スターシステムなのに、人物と配役がハマりまくり。
月城かなと、鳳月杏、海乃美月などなど…イメージに合う。
13歳の少年天皇を演じた千海華蘭(92期・研18)ブラボー!
❸カジノ・ロワイヤル~我が名はボンド~(宙組)
主演…真風涼帆(92期・研18)
ヒロイン…潤花(102期・研8)
原作…イアン・フレミング
脚色・演出…小池修一郎
真風&潤花トップコンビ退団公演
歴代ボンドでぶっちぎりの男前007登場。
1幕物に収まりそうな気もしつつ。
イルカとかキャベツとか、笑いのネタをありがとう。
❹Lilacの夢路-ドロイゼン家の誇り-(雪組)
主演…彩風咲奈(93期・研17)
ヒロイン…夢白あや(103期・研7)
作・演出・振付…謝 珠栄
阪急電鉄リスペクト作品。
美形兄弟(腹違い含む)がチカラを合わせ、夢の実現を目指す。
女性の自立が裏テーマ。
❺1789-バスティーユの恋人たち-(星組)
主演…礼 真琴(95期・研15)
ヒロイン…舞空 瞳(102期・研8)
製作…ドーヴ・アチア(英語版)、アルベール・コーエン(仏語版)
潤色・演出…小池修一郎
フレンチロック・ミュージカル『1789』を8年ぶりに再演。
礼真琴、暁千星(代役)、稀惺かずと(新人公演)と三人のロナンが誕生。
礼真琴を筆頭に、星組生が一丸となり、高い熱量の舞台を構築。
礼に引き上げられ、全員がレベルアップした高品質ミュージカル。
❻鴛鴦歌合戦(花組)
主演…柚香光(95期・研15)
ヒロイン…星風まどか(100期・研10)
原作…映画『鴛鴦歌合戦』マキノ正博、江戸川浩二
脚色・演出…小柳奈穂子
昭和初期の和製ミュージカル映画を舞台化。
楽しくてお茶目な世界観。
退団者それぞれに主要な役を当て、見せ場を設けた作品。
着物の裾からのぞく、柚香光の脚がまぶしい。
❼フリューゲル-君がくれた翼-(月組)
主演…月城かなと(95期・研15)
ヒロイン…海乃美月(97期・研13)
作・演出…齋藤吉正
東西冷戦という対立の構図を、時にシリアスに、時にユーモラスに描写。
敵対していた者同士が、互いを知ることで繋がり、融和していく。
深遠なテーマを、笑いを採り入れながらテンポ良く観せていく。
一人が歌い始めた第九が、大きな渦になっていく様は圧巻。
➑PAGAD~世紀の奇術師カリオストロ~(宙組)
主演…芹香斗亜(93期・研17)
ヒロイン…春乃さくら(102期・研8)
原作①…小説「Joseph Balsamo」アレクサンドル・デュマ・ペール
原作②…映画「BLACK MAGIC」グレゴリー・ラトフ監督
脚本・演出…田渕大輔
宙組・新トップコンビ大劇場お披露目公演。
ダークヒーロー・バルサモを芹香が怪演。
王妃アントワネットと令嬢を演じ分けた春乃の好演が光る。
桜木みなと二番手羽根を背負う。
9/30(土)早朝、組子の自死が判明。
9/29(金)初日と翌日の3公演のみ上演、以降は中止。
❾ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル(雪組)
主演…彩風咲奈(93期・研17)
ヒロイン…夢白あや(103期・研7)
作・演出…生田大和
コナン・ドイルを主人公に据えた、セミ・ドキュメンタリーなファンタジー。
書くことが大好きなドイルは、生田先生自身の写し鏡でしょうか。
『好き』が詰まった、心温まる上質コメディ。
髭とスーツが似合い過ぎる彩風咲奈に惚れ直す。
…以上です。
それでは、個人的なランキングをば。
基準は「もう一度観たい」と思う気持ちの強さでしょうか。
プラス「宝塚なればこそ」という面にも着目したいなと。
第3位
❾ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル(雪組)
予想を上回る面白さでした。
物語のワクワクが詰まってる。
ドイル夫妻が可愛くて。
ドイルさん(彩風)、苦悩してる筈なのに抜けてる…?
奥方(夢白)は、斜め上をいく楽天家。
「患者が来ない」と愚痴るドイルさんに、
「好きな小説を書けて良かったわね」と奥方。
暇でラッキー♪と来たもんだ。
見習いたい、その視点。
ドイル夫妻より、詐欺師(縣千)の方がマジメに見えてくる不思議。
なんか心入れ替えてるし。
そして、ホームズさん達。
二次元の登場人物が、三次元へ飛び出してくる。
そのアイディア自体は新味こそないものの、変装versionホームズも登場。
「一人でも多く、組子に役を付けよう」との愛を感じます。
第2位
❺1789-バスティーユの恋人たち-(星組)
舞台作品としての完成度の高さは、ぶっちぎり。
礼真琴率いる星組で観れてよかった一作。
組子たちの迫力あふれる群舞やコーラスに圧倒されました。
何でもハイクオリティな礼真琴の凄さは想像できました。
…が、こんなにも全員が一丸になった時のパワーが凄いとは。
団体芸のチカラを魅せつけてくれました。
礼真琴が万全の体調でなかった点が残念でしたが、決してマイナスばかりではない。
代役を務めた暁千星 演じるロナンも好評を博しました。
多くのヅカヲタが年間1位に選ぶことでしょう。
第1位
❼フリューゲル-君がくれた翼-(月組)
ベテランの域に達してなお、攻め続ける齋藤先生がぶっ放したスマッシュヒット。
笑ったり、泣いたり、ハラハラしたり。
多彩な感情を動かしてくれた舞台でした。
感情の振り幅が大きく、考えさせられ、心地良い余韻が残る。
しかも、宝塚オリジナル。
『芝居の月組』は伊達じゃない。
全員がそれぞれ、アドリブも含めて良い仕事しすぎ。
シビアな場面とコミカルな場面、それぞれ全力投球。
笑いの場は、その真面目さ・真摯さが更に笑いを誘いました。
東側のヨナスと仲間たちがいい味出しまくり。
個性的な軍広報部メンバーと一緒に働きたい。
(梨花ますみ、春海ゆう、月城かなと、英かおと、礼華はる、天愛るりあ、白河りり)
泣かせてくれる見せ場もしっかりあります。
足蹴にされ、地面に這いつくばった神父・フランツ(夢奈瑠音)
ベートーヴェンの第九『喜びの歌』をアカペラで歌い出します。
一人の歌声が、共感を呼び、コーラスへと膨らんでいく。
ベルリンの壁を挟み、西側と東側の声が響き合い、融和していく。
対立し、敵対してきた者同士が共に歌い、手を取り合う。
胸が熱くなりました。
ヨナス(月城)の母親エミリアを演じた白雪さち花。
若き軍属時代から記憶傷害になった老年期までを演じました。
息子・ヨナスとの再会は…こう来るか~~(滂沱)
新人公演の神父フランツ(真弘蓮)と エミリア(白河りり)にも胸が震えました。
新公終演後、しばらく席から立てず。
どんなに上手くても悪目立ちしないのも、月組芝居の凄さ。
どう出ても、センターを際立たせる。
個人芸を磨きながらも、団体芸へと集約される姿勢は、月組ならではですね。
年明けの別箱※にも期待が高まります。
※月城かなとコンサート『G.O.A.T.』
彩海せらバウ公演『Golden Dead Schiele』
今日は12月31日。
月城さん、お誕生日おめでとうございます。
宝塚は毎年、大晦日はお休み。
前日の稽古場でお祝いしてもらった事でしょう。
(歌劇2月号のえと文と組レポ。が楽しみ♡)
(えと文は風間柚乃/月城コン組)
…以上です。
ハイクオリティな海外ミュージカルを礼真琴で観れるなんて、最高です。
しかし、宝塚オリジナルを1位に選ばせて頂きました。
斎藤、生田先生はじめ、小柳、田渕先生らも気炎を吐かれました。
宝塚オリジナル芝居+ショーの2本立てが好きなもので。
この組合せ、満足度が高まります。
2023年1月、東京宝塚劇場では星組『ディミトリ』上演中でしたよね。
もし『ディミトリ』が宝塚カウントだったら、更に混戦したでしょう。
ディミトリも生田大和先生の脚本・演出ですね。
(原作:並木陽『斜陽の国のルスダン』)
どの作品も、観れるならまた観たい。
できれば、生で。
2階の最後部席でいいから。
そう思わせてくれる、2023年の作品群でした。
▽ 大劇場ショー編につづく
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