2023年7月27日(木)宝塚大劇場にて、花組『鴛鴦歌合戦』新人公演が上演されました。
新公担当は菅谷元先生。
改札内ロビーに立っていたのは、木場健之理事長お一人。
菅谷先生は演出家独り立ちデビュー前。
ゆえに人前でのご挨拶はまだなのかな?…と推測。
★総評
本公演に負けず劣らずの舞台でした。
舞台技術はハイレベルで、余裕を感じるほど。
特に娘役さん。
可愛い子が多いですね、さすが花娘。
しかも出来る子が多くて、先が楽しみ過ぎる。
男役もキラリと光るイケメン予備軍が成長中。
育って、育って!
どんどん育って!!
…そして、新公を観て気づいたのですが。
主人公(浅井礼三郎)があまり目立たない話なんですね?
受けの芝居メインの礼三郎ですが、とことん巻き込まれ型なんや。
(今頃気づいて、すみません)
柚香礼三郎の存在感がありすぎて、気づかなかった…。
柚香光のとんでもないスター性を改めて実感しました。
新公の収穫のひとつは、本役の偉大さを知る事。
辞めないで、れいちゃん(←どさくさ紛れリクエスト)
新公学年の生徒もすごいが、柚香光も凄かった。
発見と見応えのある新人公演でした。
★菅谷 元(すがや・はじめ)
新人公演演出担当。
北海道大学公認・演劇サークル「劇団しろちゃん」で実績を積んで来た脚本・演出家。
北海道出身と思いきや、兵庫県出身。
おかえりなさい、関西へ。(←立ち位置)
星組『めぐり会いは再び~next generation~』でも新公演出担当。
(本公演担当は、小柳奈穂子先生)
(鴛鴦歌合戦も、小柳先生ですね)
菅谷先生は一見すると、本公演の演出家の舞台をまんまトレース。
…したように見せかけて、細かい遊びをふんだんに仕掛けて来る。
本公演に忠実なので、お話も雰囲気も一緒です。
ただ、本公演をしっかり観た上で、新公を観ると二度おいしい。
いえ、それはどの新公も同じやけど、細かな味付けの違いが「おっ」なのよ。
「お、そう来ますか」と。
例えば、お春(朝葉ことの)の「ちぇっ」
言い回しがそれぞれ違う。
本役(星風まどか)とも違いますが、さらに場によって全部ちがう。
言い回しやニュアンスが全部ちがう「ちぇっ」なんですね。
これ、菅谷先生と朝葉さんで考えたのかな?
本公演の演出を尊重しつつ、アレンジできる部分では思い切り遊ぶ。
お芝居が好きな生徒さんは、小芝居好きだったりします。
菅谷先生もお芝居が好きなんだなぁ、と感じました。
菅谷先生のバウ公演デビューが待たれます。
★天城れいん(104期・研6)
浅井礼三郎
本役…柚香光(95期・研15)
君がイケメンで、いろいろ巧い事は知っていた。
舞台技術面はまったく心配していませんでした。
実際、落ち着き払った主演っぷりを披露。
ちょっとした含み笑いとか、柚香礼三郎と似せてる…!
本役に寄せつつ、個性も出してました。
歌い出すと容赦なく上手いし。
浪人と仰いますが、実は奉公してますよね?
…と疑わざるを得ない、地に足ついてる感。
天城くんも、ヒロイン(朝葉ことの)も舞台技術が高く、安定。
YES、安定。
主演コンビが危なげなく、安定していました。
だからかな、外部公演を観ているような錯覚に見舞われたり。
新公でも、客席降りが復活。
星組『1789』宝塚新公が中止になったので、花組からスタート。
通路を歌いながら、練り歩き。
落ちついて見えたけど、内心ハクハクだったのかな。
主演挨拶もしっかりしてました。
ところどころ、グッと来たり、言い直していましたが。
言うべき事をしっかり、聴き取りやすい発声で話してくれました。
東京ではお稽古の思い出に触れたりして、ぜひ笑いをとって下さい。
(笑いを求めてしまいがちで、ごめんなさい)
★朝葉ことの(103期・研7)
お春
本役…星風まどか(100期・研10)
安定した舞台技術は折り紙つき。
『殉情』春琴、『二人だけの戦場』エルサなどで、歌唱力や演技力を印象付けました。
本役に添わせつつ、朝葉ことのオリジナルのお春でした。
「ちぇっ」「お父さんキライ」など、台詞回しが全然ちがう。
本役さんは一定の温度・語感に統一していました。
そして、それが笑いを生みました。
朝葉さんは場によって、語感や発声を変えていました。
例えば、最初の「チェッ」は、蛙が「ゲコ」と鳴くような「チェッ」でした。
お春の可愛さを「演じてる」んですよね。
個性やキャラクターを「演じる」
これは当たり前と言えば当たり前ですが、宝塚では実はわりと珍しい。
もうね、職業俳優さんなんですね。
おそらく、意識がすごく高い人なんだと思う。
職業意識が高いんですね。
宝塚って、大いなるアマチュアみたいな側面があります。
不安定で未熟。
それゆえ、成長(たまに後退)していく『変化』が魅力だったりします。
これは正誤ではなく、方向性の話なんですが。
朝葉さんは完成度が高いねんな。
どれほどの努力に裏付けられているのだろう。
きっとストイックに完璧を目指してきたのでしょう。
朝葉さんは限りなくプロフェッショナル(に近い人)だと思います。
長の期の挨拶では、雰囲気一転。
可愛くておきゃんなお春から、新公学年全員のリーダーの顔に。
一瞬、「…えーと、誰?」と思うほど、お春とは別人。
落ちつき払い、聴こえやすい声とテンポでしっかりしたご挨拶。
主演からご挨拶さしあげます、と天城くんにバトンタッチ。
背後から天城くんの背中を見つめる顔、最初は朝葉先輩なんですよ。
それがだんだん、お春ちゃんに戻っていくと申しますか。
プロです、ことねえ様。
▽ つづく♡