女性誌 LEE にて連載中の【宝塚スター『ことばの力』】
2022年12月15日からスタート。
毎月一名のタカラジェンヌが、大切にしている言葉を教えてくれます。
(1月は更新なかったけど)
現在まで7名の錚々たる顔ぶれが並んでいます。
あらためて読み直してグッと来たので、振り返ってみました。
1)2022/12/15
桜木みなと(宙95期・当時研14)
苦しい時ほど成長できる。
苦労は買ってでもする!
「自分を褒めるとしたら、逃げなかったこと」と桜木さん。
上記のほかにも、芹香斗亜(93期)
『ずんちゃん、エンジョイして!
そんなに追い詰めなくても大丈夫。
自信をもって楽しもう!』
それにしても…それにしてもだよ。
ずんちゃんが己の笑顔にコンプレックスを持っていたとは。
それはまるで、某明日海りおさんが「可愛い」と思われる事に抵抗を感じていた事にさも似たり。
ファンから「可愛い」と褒められて喜ぶ今の明日海さんに、未だ慣れぬ私です。
ついつい、つ~い疑っちゃうよね。
可愛いなんて言ったら最後、刺されるんじゃねえの的な。
カッコイイしか言ったらダメだろ的な。
(どんだけ…?)
(どんだけ刷り込まれ…?)
ずんちゃんのファンも、コアな方ほど「可愛い」を禁句にしてるのでは。
男役を極めんとするストイックな姿勢に「か…かわ…!」と身悶えしながら。
内外とも、ずんちゃんは可愛いもんなぁ。
私も反射的に、ポスターカレンダー購入したもんなぁ。
なんだ?!
あの凶悪なカッコ可愛さは!
爽やかペリエ君と、無名街のボス。
どちらも凶悪にツボりました…!!
愛され顔ですもの、しかも。
愛敬があって、可愛くて綺麗で。
なれるものなら、なりたいお顔です。
応援してくださる方々からは笑顔を褒めていただくことも多かったのですが、昔の私は自分の笑顔が好きになれなかったんです。
なぜなら「男役ならカッコよくなければ!!」と思っていたから。
笑顔よりもクールな表情が似合う男役に私は近づきたかったんです。
でも今は、その言葉を素直に受け入れることができるようになり、自分の個性だと大事にできるようになりました。
主演を務めさせていただいた『カルト・ワイン』では演出家の栗田優香先生からこんな言葉をかけてもらったんです。
「桜木さんは笑顔に数えきれないほどの感情があるね」と。
悲しみを秘めた笑顔、侮蔑を込めた笑顔、愛おしい人へと向ける笑顔……一言で笑顔と言ってもいろんな種類がある。
「それをちゃんと表現できる人だ」と栗田先生が言ってくださった。
それが、本当に嬉しくて。
理想を追い求めるのも大切なことですが、一番必要なのは、自分と向き合い、自分を知り、自分の魅力を受け入れて出すことなんですよね。
栗田先生の言葉は改めて私にそれを教えてくれました。
栗田先生、わかってらっしゃる。
そうそう、ずんちゃんは笑顔で人殺せそうだよね。
(さっきから、発想が物騒でごめん)
(でも、それくらい威力があると思う)
光り輝く笑顔から、ダークネスな微笑みまで。
桜木みなとの笑顔は、世界を救うか滅ぼすか。
それくらいの域に達する気がします。
2)2023/02/16
朝美 絢(雪95期・当時研14)
成功の反対は失敗ではない。
何も挑戦しないことだ。
…ぐあ。
刺さる…!
風間柚乃編とセットで、己に贈りたい。
朝美さんは言葉をさらに解説して下さいます。
この言葉が教えてくれるのは目標に向かう“過程”の大切さです。
たとえ結果が失敗に終っても、そこにたどり着くまでの経験は自分のもの。
成功は手にできなくても、きっと違う何かを手にしている。
失敗よりも怖いのは“どうせ無理だ”と挑戦すらしないこと。
心が折れそうなときはいつもこの言葉を思い出し自分の背中を押すんです。
“負けるな!! 挑め!! この経験が明日の自分を作るんだ!!”と。
綺羅の花園・タカラヅカの中でも、ひときわ輝く朝美さん。
見た目の華やぎに比して、不器用で時間がかかるタイプだとか。
根が真面目で、何事もキチン、キチンとする方のよう。
たまに拝見する宝塚のトーク番組では、本質をみている印象をもちました。
例えば、縣千(101期)に対する印象を、他の上級生達が「あのまんま」と笑う名かで、「そうかなぁ…」と。
当時、雪組に異動してから日も浅く、その顔ぶれの中では最下級生だったあーさ。
だからか、口数少ないコメントでしたが、「外側から見える顔」の奥へ向ける目を感じました。
朝美さんは己の美貌に甘えない。
己に対するストイックさが、おそらく半端ない。
周囲に向ける注意や観察も、手を抜かない。
視野が広く、洞察力が深い方なのだろうと思います。
3)2023/03/16
瀬央ゆりあ(星95期・当時研14)
稽古場は恥をかいていい場所。
緊張なんか捨てて、思い切りやりなさい。
十碧れいや(93期)の言葉だそうです。
まっすぐな励ましにジンと来ます。
それをずっと大切にしてる瀬央さんにもジン。
そんな瀬央さんの言葉も素敵なんだなぁ。
瀬央さんから下級生に届けたい言葉がこちら。
過去の自分のように、不器用で周りから置いていかれているような気持ちになっている、そんな下級生が目の前にいたとしたら、「焦らないでいいよ」と伝えてあげたいですね。
実際、新人公演を見て下級生にアドバイスすることもあるのですが、中には、やっぱり昔の自分を見ているような気持ちになる子もいて。
そういうときは、「焦っていいことはないし、緊張していいことはない。お客様を信じて、仲間を信じて、自分のやってきたことを信じて、自分のペースで進めば、誰かがいつかあなたを見つけ出してくれる」と伝えています。
足が速い人に追いつこうと必死になったところで転ぶだけ。
どんなに自分を偽って大きく見せても、自分が培ったものでしか勝負できないし、自分の中にあるものしか出せない、自分は自分でしかない。
だからこそ、自分のスピードで、自分の経験を積み重ねて、自分を作り上げていけばいいと伝えたいです。
その人が持つ経験は、その人だけのもの。
誰にも奪えない。
瀬央さんから滲み出る人間性に毎度、心打たれてます。
ピュアすぎるねん、ほんま。
瀬央さんが音楽学校時代、正塚晴彦先生から戴いた「腐るなよ」という言葉。
これ、瀬央さん個人ではなく、生徒全員にかけた言葉だったようです。
おそらく毎年、仰ってるのではなかろうか。
それを大事に守ってきた瀬央さん。
バウ初主演『デビュタント』の時、その言葉に触れた瀬央さん。
私は腐りかけると、瀬央さんを思い出しています。
それでも腐るあたりが、瀬央さんとの違いなんですけどね。
▽ 続くさね♡