2023年5月4日(木)宝塚バウホールにて花組『舞姫』を観劇。

 

原作:森鷗外

脚色・演出:植田景子

主演:聖乃あすか(100期・研10)

ヒロイン:美羽愛(104期・研6)

 

キャスト別感想の続きです。

ネタバレ有なので、まだ知りたくない方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

美羽愛(104期・研6)

 

エリス・ワイゲルト

独・ベルリン在住、ヴィクトリア座の踊り子

 

父が亡くなり、経済的に窮地に。(身売り寸前)

教会の前で泣くエリスと出会った太田豊太郎(聖乃あすか)

エリスに同情し、己の時計渡します。

質入れして現金化すれば良い、と。

 

将来の日本を背負う若きエリート・豊太郎。

エリスとの交際を上官に咎められ、帰国命令を受けるも拒否。

罷免された豊太郎は、エリスと共に暮らし、やがてエリスは妊娠。

 

豊太郎の才能を惜しむ次期総理候補・天方伯爵(一樹千尋)

天方の秘書・相沢謙吉(帆純まひろ)の尽力もあり、帰国が叶う豊太郎。

豊太郎の親友でもある相沢は、エリスに手切れ金を。

衝撃を受けたエリスは流産し、パラノイアを発症。

 

…切なく、哀しい。

昔の話?

いいえ、ちがう。

今も『女性の貧困』は大きな社会問題です。

 

エリスは社会的弱者の象徴。

若さや美しさは搾取の対象。

 

エリス達が救われる道はあるのか?

そのヒントは作中に潜んでいます。

 

豊太郎と共に暮らすエリスは、本を音読します。

つっかえながら、たどたどしく。

時々、豊太郎に教わりながら。

日本語も覚える!と意気込むエリス。

 

これは微笑ましい場面です…が。

外国人の豊太郎の方が読み書きに通じている事がわかります。

残酷な現実。

 

学ぶ意欲を見せるエリス。

そこには希望があります。

 

学ぶこと、学びから得られたこと。

 

それらは強い味方になり、己を助けてくれる。

学んだことは、去る事はない。

ずっと共に在ってくれます。

 

 

美羽愛が演じるエリスは無邪気で天真爛漫。

豊太郎にまっすぐ、気持ちを向けます。

 

『元禄バロックロック』(花組2021/11~2022/02)新人公演との比較ですが。

 

当時の歌唱力は上手下手以前に、声が出てなかった。

か細い、掠れた歌声。

音も迷子になりがち(特に第一音)

 

それが、声量・音程ともに飛躍的に向上。

本人比、大きく成長しています。

技術レベルはまだまだ越える山坂が立ちはだかるものの。

努力の跡がみえました。

 

惜しむらくは…というか、これは長所でもあるのですが。

自己流の解釈をする傾向が強いかと。

他者はどうあれ、我が道を行く的な。

 

正誤や善悪ではありません。

独自の視点や感覚を大切にする人なのでしょう。

 

ただ、宝塚のヒロインなのでね。

演出家や主演者(男役)との協調も重要だと思います。

 

美羽愛が演じるエリスは、常に明るさがあり、救いを感じました。

 

『殉情』の春琴もそう。

多幸感あふれる春琴って、新鮮ですわな。

 

美羽愛のオリジナリティがどう進化していくのか。

今後を楽しみにしています。

 

 

∇キャスト別感想つづきます

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