2022年7月10日(日)観劇したOSK日本歌劇団創立100周年記念公演の感想です。

 

2月の大阪・松竹座と3月の東京・新橋演舞場は『春のおどり』

日舞と洋舞のレビュー2本立てでした。

 

7月の京都・南座では『レビュー in Kyoto』

芝居『陰陽師-闇の貴公子☆安倍晴明-』とショー『INFINITY』の2本立て。

 

 

★陰陽師-闇の貴公子☆安倍晴明-

 

闇の貴公子☆安倍晴明の「☆」は五芒星。

陰陽道では魔除けの呪符。

 

お芝居というより、ミュージカル。

最初から最後まで、ほぼ踊ってる気がします

さすがダンスのOSK。

 

鬼(異民族、渡来人)との闘いをダンスで表現しています。

芝居だけどショー要素が強く、OSKだなぁと。

 

主人公・安倍晴明はシンプルにHERO。

そこに鬼がいて、人を害するから倒す。

 

むしろ、葛藤や苦悩は鬼の側にあります。

 

宝塚(の若手女性演出家)なら、鬼の兄妹(酒呑童子、茨木童子)を主人公にするかもしれません。

 

 

★安倍晴明(楊琳)

 

原作の安倍晴明は、シニカルで掴みどころのない青年。

陰陽では陰だし、表情や言葉に含みがあったり。

背景にドロドロ重い宿命を背負っているのかなと思わせたりも。

 

ところが、本作の晴明は真っ直ぐで明朗快活。

九字を切ってはガンガン敵を倒す。

陰陽なら陽性で、ストレートで爽やかな正統派ヒーロー。

 

闇というより、光の貴公子ですね。

新しい晴明像でした。

 

 

★源博雅(翼和希)

 

原作の博雅は、真っ直ぐで素朴な青年。

裏表がなく、無垢な少年のまま大人になったような。

 

そういう役ですが、本作の博雅は茨姫(茨木童子)に恋してオロオロ、キュンキュンな側面がクローズアップされていました。

 

楊琳の晴明が博雅を上回る陽性キャラなので、博雅の素直さや大らかさより、「恋する少年の純情」が前面に出てきた感じ。

 

 

★酒呑童子(椿りょう)

 

都を騒がせる鬼。

鬼メイクで、せっかくの美形が隠れがちですが、スタイルは隠せません。

 

ショーは(鬼に比べたら)素顔に近いメイクなので、落差を楽しめます。

 

鬼を率いる頭領で、都人の脅威。

鬼たちのダンスはパワフル&ワイルド。

傷ついた過去や苦悩をのぞかせ、その落差に萌え。

 

 

★茨姫/茨木童子(舞美りら)

 

酒呑童子の妹・茨木童子(茨姫)

源博雅(翼)に惹かれる美しい娘だが、鬼の宿命に殉じる。

 

舞美りらと千咲えみのWキャスト。

私は舞美りらバージョンを観劇。

 

芝居も歌も達者。

舞美さんを見ると、こだま愛(66期・元月組トップ娘役)や舞咲りん(雪組85期・退団済)を思い出します。

 

 

★蜜虫(唯城ありす)

 

晴明が使役する式神・藤の精。

鬼との戦闘で一旦は消滅するも、のちに虹の精として復活。

(…という解釈で良いんだよね?)

 

唯城ありすと実花もものWキャスト。

私は唯城ありすバージョンを観劇。

(…というか、ありす出演回で観られる日時を選択)

 

ピノコみたいな声と話し方に、ちょいと驚き。

人間ではない存在だと表現する為でしょう。

 

ありすちゃんは華やかで可愛い娘役。

舞空瞳(102期・星組トップ娘役)や綺咲愛里(96期・前トップ娘役)を彷彿とするアイドル系ビジュアルの持ち主。

同時に、正統派ヒロインが似合うタイプ。

 

 

★蘆屋道満(登堂結斗)

 

晴明に敵対する陰陽師。

鬼たちを裏で操り、都を騒がせます。

 

高身長なこともあり、存在感があります。

舞台上で立ってるだけで、ラスボス感がありました。

 

初めて見た時から、OSKの真風涼帆(92期・宙組トップ)と思ってました。

7/10(日)15時の部はアフタートークがあったのですが、皆の話を聞いてる時の穏やかな笑顔が可愛い。

 

余談ですが、『柳生忍法帖』に登場する芦名銅伯は、芦屋道満を

モデルにしたのかもしれませんね。

 

 

★維摩(虹架路万)

 

文殊菩薩の使いで、晴明の味方。

キックボードに乗ってます。

 

虹架路万は本作で退団。

ベテラン男役ですが、本作では軽快な少年のよう。

 

紫門ゆりや(専科91期)を彷彿とさせる優しげな貴公子タイプの男役さん。

 

 

★常盤(城月れい)

 

晴明(楊琳)が使役する松の式神。

常緑樹の松をあらわした名前と衣装(鮮やかな緑と黄)

 

OSK前トップで、現在は特別専科の桐生麻耶の相手役を務める事が多い。

池田理代子先生(ベルばら原作者)が描く登場人物が三次元に飛び出して来たような、華やかで大人っぽい娘役。

 

 

★INFINITY

 

かつて宝塚歌劇団の演出家だった荻田浩一氏が手掛けたショー。

 

先鋭的な印象が強い演出家の荻田先生。

ふたを開けてみれば、クラシカルで正統派な少女歌劇レビュー。

 

宝塚を彷彿とさせます。

大階段がない事と、娘役の活躍の場が多い事は、宝塚との違いかな。

 

翼和希が歌手として活躍。

OSKの礼真琴 or 和希そら(という印象。私はね)

 

更なる若手の歌手育成が望まれます。

 

2月の松竹座で観た記憶を振り返ると、各所で手を加えられていたような。

関西での上演は二度目となるためでしょうか。

 

南座は「盆、せり、花道」といった舞台機構があります。

それらを駆使し、実際の人数より多く、華やかな舞台になっていました。

 

大階段という装置がもつ役割は、宝塚以外の少女歌劇を観ると、改めてその大きさを感じます。

 

荻田先生は元・宝塚の座付き演出家だけあって、それをよくよくご存知なのでしょう。

 

高さや段を駆使し、立体的な舞台空間を生み出していました。

 

 

★OSKと宝塚

 

宝塚とOSKは似て非なるもの。

 

宝塚ブランドは確固たる地位を占めていますが、他の少女歌劇を観ることで、宝塚の魅力と課題がクリアになる気がします。

 

年功序列はどちらもそうですが、OSKはより「今、実際に人気があるスター」を抜擢に反映させている気がします。

 

宝塚は観客ニーズと生徒の抜擢に乖離がある面や、若手が活躍できる場は新人公演だけ…という事も。

 

例えば、ここ数年の星組にはその傾向が顕著な気がします。

 

本公演の顔ぶれが定型化し、新人公演をみると「うわ!こんな素敵な生徒が!」という発見があったりします。


ただ、ここ数作で上級生が相次いで退団したので、今後は変化していきそうです。


上級生にはいてほしい。

下級生にも活躍してほしい。


人数も多いだけに難しいんですよね。

 

私は宝塚を基軸にしてしまいます、どうしても。

 

OSKをずっと観て来た方が、宝塚を観るとどう感じるのか。

その視点での感想を伺ってみたい気もします。

 

 

★この連休で見納め

 

『グレート・ギャツビー』初日(7/16)も延期になりましたし、この機会に京都・南座でOSK観劇してみるのも一つの選択肢かと。

 

ちょこちょこアフタートークも挿入されている模様。

 

祇園まつりで人出が多い時期ですが、駅近なので、人混みが苦手な方もわりと大丈夫かと。

 

劇場(南座)自体もクラシカルで素敵です。

劇場というか、建物好きの私には、そこもツボです。

 

∇7/18(月・祝)千秋楽

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