2021年7月20日(火)宝塚大劇場にて、宙組『シャーロック・ホームズ』新人公演が上演されました。
新公担当演出:中村真央
主演:亜音有星(103期・研5)
ヒロイン:山吹ひばり(105期・研3)
★総括
久々に新公らしい新公を観ました。
本公演に迫るような技術・再現性など、どんどん新人公演のレベルが高まってきた昨今。
それが今日観た新公は、未熟で不揃いで、課題が盛りだくさん。
でも、そこがいい。
未熟なりに出来る事をやり尽くす感があって。
宝塚歌劇は「一生懸命がんばる姿勢」を応援することが醍醐味の一つ。
それを改めて思い出させてくれた新人公演でした。
原点回帰。
…ん?
このフレーズ、昨日の記事でも書きましたね。
宙組さん原点回帰シリーズ…?
★中村真央(演出)
新人公演の演出を担当。
本作が新公担当デビューですよね?
おめでとうございます。
中村真央先生は演出助手として、様々な作品に関与して来られました。
以下は一例です。
月組バウ『アンナ・カレーニナ』2019.01
花組大劇場『CASANOVA』2019.02〜04
星組バウ『龍の宮物語』2019.11〜12
本公演の演出(生田大和先生)を忠実になぞっていたように感じます。
ホームズのイライラの仕方など、細かい所は変えていたかな。
群舞のフォーメーションなど細やかに調整されていました。
本公演の半分の人数でも、奥行きや横幅も広く使い、迫力を出していたと思います。
★亜音有星(103期・研5)
シャーロック・ホームズ(本役:真風涼帆)
明晰な頭脳をもち、変装が得意な名探偵。
103期から男役主演一番乗りを果たしました。
初主演おめでとうございます。
(ヒロインは雪組の夢白あや、月組の白河りりが抜擢済)
亜音くんは顔に栄養が行き渡っています。
ホームズが変装を解いた時のギャップが凄い。
美形なら美形なほど、落差が激しくていいですね。
歌で声が裏返る事は、よくあること。
台詞を話してて声が裏返るって、珍しい。
でも、音を外そうが、裏返ろうが、堂々と晴れやかに歌うんですよ。
声がまた、よく伸びるんだなぁ。
高めですが、よく通り、声質も良いですね。
伸びやかに歌い、晴れやかに微笑む。
あまりにも堂々と、生き生きとしてるので、多少音が外れようが、それが正しい音程に聴こえてくる亜音マジック。
銀橋を渡る姿が映える。
THE STAR の存在感。
大物の予感がします。
現時点で、ビジュアルとスターオーラは突き抜けています。
これで技術がついてくれば、内実の伴った真の大物に化けそうです。
★山吹ひばり(105期・研3)
アイリーン・アドラー(本役:潤花)
スパイの顔を持つ、有名なオペラ歌手。
105期から新公ヒロイン一番乗り。
初ヒロインおめでとうございます。
(花組の星空美咲が、新公を飛び越えてバウヒロイン抜擢済)
山吹さんは顔に栄養が行き渡っています。
整った顔立ちは、まさしく正統派美女。
華やいだ雰囲気も持ち合わせています。
それだけに、声質と発声が残念。
アニメーション声優なら、ヒロイン声だと思います。
発声はブレスに課題があるかと。
ブレスといっても息継ぎではなく、息漏れ?
台詞を発する時、息漏れが多く、言葉が聴き取りづらいなと。
前後の文脈で、大体わかりますが。
クリアに聴こえる時もあるので、意識して訓練すれば改善されると思われます。
歌唱は、本作だけでは判断がつきかねます。
潤花さんが歌える音域の曲ですので。
ホームズ(亜音)とのデュエットは、Wソロという感じ。
お互いに懸命に歌っていましたが、ハーモニーとしては弱かったかと。
美男美女という言葉を体現している、亜音くんと山吹さん。
課題は多いと思いますが、それらをクリアしていく姿はますます輝いていく事でしょう。
∇新公感想つづきます