2019年10月5日(土)月組『I AM FROM AUSTRIA』を宝塚大劇場にて観て参りました。

日本初演が宝塚歌劇という、ウィーン発ミュージカル。
人との繋がりがテーマなのかな?

心温まるハッピーミュージカル。
老若男女、誰にでも薦められます。
もちろん、男でも女でもない人も。

現代が舞台だけあって、セクシャリティについても関与しています。

(この描写は見どころです)
(うっとり可愛い♡)

特に宝塚歌劇に慣れ親しんでいる人には、内輪受けに近い楽しみ方もできます。

『エリザベート』に引っ掛けて、息子のジョージ(珠城りょう)を父(鳳月杏)と母(海乃美月)が「フランツ・ヨーゼフ」と茶化したり。

ジョージの母(海乃)を「ゾフィー」となぞらえたり。

エマ(美園さくら)は己の本名を「エリザベートのフルネーム」て答えたり。

月組は2年前、エリザベートを上演したばかりなので、余計通じやすいかも。

マリー・アントワネットのネタも出てきます。

ライ麦パンを懐かしがるエマに、ジョージは「パンがなければお菓子を食べればいい」とふざけます。

それに対してエマは「私はシェーンブルン宮殿に住んでいるお姫様じゃないわ」

「アントワネットはフランス王妃では?」
「シェーンブルン宮殿ではなく、ベルサイユ宮殿では?」

フランスのイメージが強いけれど、出身はオーストリアのハプスブルク家。
その住まいはシェーンブルン宮殿でした。

また、パブロ・ガルシア(暁千星)はサッカー選手ですが、ジョージ珠城は「フットボーラー」と表現。

日本では「サッカー」で定着していますが、「フットボール」と呼ぶ国や地域もあります。
漢字で表現すると「蹴球」ですね。

多少の注釈は必要ですが、仮に知らなくても充分楽しめます。

楽曲は素晴らしいのですが、耳馴染みが良くて覚えやすい曲は…あまり思いつきません。

とっても楽しく軽やかな曲であっても、歌いこなすのは難しいであろう難曲揃い。

美園さくらがおそらく最も多く歌いますが、音域もタイプも異なる楽曲を次々と歌いまくります。

珠城りょうも安定した歌唱で聴かせてくれます。

鳳月杏、月城かなと、海乃美月、光月るう、暁千星ら、ソロを歌うメンバー達は全員、ナンバーを歌いこなしていました。

指揮は上垣聡先生。
奇しくも、同じく難曲揃いの雪組『20世紀号に乗って』の指揮を手掛けられました。

『20世紀号に乗って』では、舞台の背後…大道具に遮られ、全く舞台が見えない状態で、モニターを頼りにオーケストラが生演奏。

雪組『20世紀号に乗って』も素晴らしい舞台でした。
著作権の都合で映像化されず、残念です。

本作の演出は、一つ前の大劇場作品『夢幻無双』と同じく齋藤吉正先生。

同じ演出家が、同じ組で続投は稀なケース。

『夢現無双』は齋藤先生の「好き」が詰まった作品でした。

本作は、齋藤先生らしさや得意分野が溢れ出た作品。

開演5分前から緞帳に映し出される映像から、齋藤ワールドを楽しんで下さい。

幕間も見逃したらもったいので、早めにお席に戻るが吉かと。

フィナーレも充実しています。

まず、月城かなとが下手銀橋脇の奈落より登場。
中堅〜若手男役たちも加わり、銀橋にずらりと居並ぶ男役祭り。

次いで、ロケット。
暁千星がロケットボーイを努めます。
銀橋にも躍り出るありちゃん、動きがことごとく綺麗。

曲調がラテンに切り替わったところで、暁千星を挟んで上手に白河りり、下手にきよら羽龍。
両手に花のありちゃん。
3人がセンターで踊ります。

続いて、娘役も絡む、男役群舞。

男役の衣装は、チロル地方の民族衣装をモチーフにしたデザイン。

フォーメーションも上手袖の花道まで使い、時間もたっぷり、見応えたっぷり。

トップコンビのデュエットダンスは、現時点では月組でしか観られない類のもの。

高い位置での高速回転リフト。
しかも長い。
さくらちゃんを緩やかに降ろす珠城さん、余裕の微笑みでエスコート。
珠城さんが男性にしか見えない…!

予想を上回る見応え・聴き応えのあるミュージカルです。

最後になりましたが、月城さん、舞台復帰おめでとうございます。

鳳月杏さん、月組へおかえりなさい。
(花担としては淋しい限りですが…)

次は個人別の感想へ移ります。


▽王道ハッピーミュージカル♪( ´▽`)
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