仙名彩世の退団・愛月ひかるの専科異動と衝撃的な発表が続き、後回しになっていました、 星組バウ公演『デビュタント』感想。
千秋楽(2018/10/22)も過ぎましたが、書き留めておきます。


★瀬央ゆりあ(95期・研10)

主人公・男爵家の次男坊で便利屋・イヴ役。

バウホール単独初主演おめでとうございます。
堂々たる主役っぷりでした。

瀬央っちは『男役』として理想的な要素を備えた人なんだな…と改めて実感。

舞台映えする容姿。
やや濃い目のハッキリくっきりした顔立ち。
上背があり、すらりとした印象。
骨格がしっかりしていて、骨太で男っぽい印象。
よく通る、爽やかな男役声。

現代は小顔が良しとされる風潮がありますが、舞台人に関してはあまりにも顔が小さいとむしろ不利。
男役は特に、娘役より顔が小さいと、男性的に見えませんしね。

せおっちはその点も、頭身バランスがとれた、ほど良い小顔。
スタイルの良さを感じさせつつ、男性的な骨格でもあり。
誰と並んでも、男らしく均整のとれた男役として成立していました。

もちろん、注目したのはビジュアル面ばかりではありません。
華やぎ・情熱・勢い・若さ・渋み・落ち着き……様々な要素があわさり、ブレンドされた舞台姿。
真ん中がとても似合っていました。

せおっちは整った顔立ちの上、目ヂカラが半端なく強く、ややもすれば無表情に見える事もしばしば。
決して怒っていないのに、不機嫌に見えるクールビューティっていますよね。

シリアスに見えますが、無表情でボソッと呟く一言で笑いをとる人っていますよね。
まさにそれ。

『デビュタント』の正塚晴彦先生の脚本・演出は、せおっちの持ち味を生かした笑いを振りまいてくれました。

音楽学校を卒業するせおっち(だけではなく、95期生全員に向けたのかもしれませんが)に「腐るなよ」と声をかけた正塚先生。
なかなか努力が報われなくても、諦めるな、と。

腐らず、地道な努力を積み重ねてきた瀬央ゆりあに、正塚先生が下さった大きな花束。
それが、『デビュタント』という作品なんですね。

骨太な正統派美形男役に成長した、男役10年目の瀬央ゆりあ。
どっしりした渋みと、軽妙洒脱なコメディアンぶりを発揮した芝居。

フィナーレで娘役たちを引き連れて躍る、娘役ハーレムの王様っぷり。
続けて二人の娘役をはべらせての、デュエットならぬトリプルダンスを舞う包容力と体力。

敢えて言うなら、課題は歌唱かもしれません。
とはいえ、声質は良いし、歌が下手な訳ではありません。
ただ、今後もメインを張っていく上で、より成長した方が良いに越した事はない。
特に、現行の経営陣は、歌劇の原点に立ち返ろうとしているのか、歌唱を重視しているように見受けられるので。

真ん中が似合うせおっち。
今後もぜひ、真ん中力を磨き上げて下さいね。


★紫藤りゅう(96期・研9)

イヴの友人で古美術商・ビュレット役。

しどりゅうって、こんなにカッコ良かったっけ…?!

紫藤さんについて、これが一番の感想。
瀬央さんとは異なる魅力の男役さんですね。
紫藤さんは、いかにも『タカラヅカの男役』って感じがします。

背は高くても、女性ですから、線は細い。
顔立ちも優しく、愛らしさを感じる美貌。
…ですが、ちゃんとカッコイイ。

女性的な要素を備えているのに、佇まい・仕草・歩き方・動き方・表情・反応の仕方・発声など、ありとあらゆる『型』を己のモノにして、宝塚にしか生息しない『男前』へと変化する。
見事なメタモルフォーゼ。

なぜか紫苑ゆうさんを連想しました。
世代を超えて、宝塚の男役のあるべき姿を継承しているからでしょうか。

瀬央ゆりあを支える二番手役として、八面六臂の活躍をみせた紫藤さん。
お芝居でも、良い味を出しまくってました。
ちょいとお調子者ながら、親友(瀬央)も、妹(桜庭舞)も、恋人(水乃ゆり)も大切にする心優しきジェントルマン。

フィナーレでは、男役を従えて堂々たる男役群舞を披露。
娘役とのデュエット・ダンスも華麗に決めました。


★極美慎(100期・研5)

リーズ侯爵夫人を助ける刑事・オットー役。

しどりゅうと並び、せおっちを支えた極美くん。
美しき侯爵夫人(音浪みのり)の依頼を受け、瀬央ゆりあと共に盗まれた宝石を探す事になる刑事さん。
落ち着き払った刑事でした。

極美慎のオットー刑事は、若いのにヌ~ボ~としてて、独自の味を出していました。
キャラ立ってる人だらけの中で、真面目な刑事を淡々と演じていました。

もっと深掘りできそうな気もしつつ、周りが濃いキャラだらけなので、あっさり風味が逆に味になった気がします。

薄味だからこその存在感。
演技解釈がむずかしい役のような気がしてなりませぬ。


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