2月6日付で始動した、新・花組トップコンビ。
明日海りおと仙名彩世。
みりお君とゆきちゃん。

89期と94期、5期差。
近年のトップコンビでは比較的、学年差が近いかもしれませんね。

しかも、同期の男役(珠城りょう)と同時期のトップ娘役の就任は、異例といえば異例。
りょう君の場合、男役として近年では異例のスピード出世。
それでも、同期娘役と同時期になるとは、かなり珍しい事です。

裏返せば、娘役の出世は早期決戦。
入団してからわずか数年… 新人公演学年内に決定するケースが大半。

その中で、研9でのトップ娘役就任…しかも新人公演ヒロイン経験なし… は、異例の大抜擢。

とはいえ、仙名さんは美貌・実力とも申し分ありません。
なぜヒロイン経験が皆無に近いのか、不思議なほど。
(花組外箱作品で、ヒロイン格の配役はありましたが)

トップ娘役の抜擢は、努力と実力だけで叶うものではありません。
むしろ、運とタイミングの比率が高そうな気がします。

それでも、仙名さんが奇跡的ともいえるチャンスを掴んだのは、彼女が きちんと準備してきたから。
いつ大役に抜擢されても、応えられるチカラを蓄えてきたから。

仙名さんがトップ娘役に抜擢された時、正直驚きました。
同時に、仙名さんなら安心だなと思いました。

「ゆきちゃんは別格路線」
「初々しさがない」
「貫録がありすぎるのでは」

…といった声も耳にしました。
ですが、私は忘れられませんでした。

初演から、複数バージョンを観てきた『ME and MY GIRL』
その中で、今まで涙したのは、2016年の花組版のみ。
明日海ビルと仙名マリアだからこそ、生まれた感動でした。
(花乃サリーも素晴らしかったです)

貫録があってもいいじゃない。
大人のコンビが対等に渡り合う舞台を創ってくれたらいいよ。

(月組の珠城りょうと愛希れいかは、まさにこの路線)

…と思っていたのですが。

あにはからんや、花組の新トップコンビは旧守の王道へ回帰しました 。
少なくとも、ビジュアルを見る限り。

明日海りおは男くさく、逞しいヒーロー像を体現。
そこに寄り添うヒロインは、可憐でたおやか。
初々しい少女の香りすら漂わせて。

男らしいヒーローと愛らしいヒロイン。
THE 宝塚なカップルが誕生しました。
『邪馬台国の風』の画像で見る限りですが。

でもね、前回の『雪華抄』で、すでにゆきちゃんは変化していました。

たとえば、彦星(芹香斗亜)と織姫(仙名彩世)の場。
気品があるのはもちろんの事、ちょっと茶目っ気もある、可愛らしい織姫でした。

それまでのゆきちゃんが「入社10年超のバリキャリ」的な印象だとし たら、織姫やマナのゆきちゃんは「入社3年未満の若手」イメージと申しますか。

『雪華抄』では登場の場こそ多くても、明日海さんとの絡みは一切なし。
それでも、ゆきちゃんは事ある毎に明日海さんを見つめていました。
ふんわりした表情で。

「…べーちゃん?…じゃないよね? ゆきちゃん…だよね?」 
と確かめたくなるほど、柔らかなゆきちゃんがそこに在ました。
(いつもゆきちゃんウォッチをしてた訳じゃありませんが)

ゆきちゃんの中では着実に「明日海さん仕様の仙名彩世」 に染まる準備を進めていたのかな…と思います。

それまでは、自分ひとりの『仙名彩世』
これからは、明日海りおに寄り添う『仙名彩世』

ゆきちゃんは宝塚という世界を、トップコンビという存在を、 よくよく理解しているのだと思います。

あくまでも想像ですが、仙名さんは旦那を立てる賢妻になることでし ょう。
賢さを前面に出さず、可愛らしさで包んだお嫁さんに。
久々に、花娘の真髄を発揮するトップ娘役が誕生する予感がします。

なお、花乃まりあさんと仙名さんは、歩んだ道筋が異なります。
単純に比較できませんし、ここで比べるつもりもありません。

今回は純粋に『仙名彩世』というジェンヌについて語りました。

前任ヒロイン卒業からまもないですし、胸を痛める方もいらっしゃるかもしれません。
そういった事も想像しつつ…書かせて頂きました。
すみません…。

実際に舞台を観るまでは、何とも言い難い面もあります。

ですが、前作舞台とポスタービジュアルから、新ヒロイン・ ゆきちゃんの覚悟と姿勢が透けて見えてきました。

新コンビの始動を、期待と共に見守りたいと思っています。
 
 
 
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