来春の月組さん別箱公演の発表がありましたね。
まずは美弥るりかさん、おめでとうございます。
単独主演で、東上つき。
快進撃ですね。
オリジナル作品『瑠璃色の刻(とき)』
るりかさんのお名前(瑠璃)がタイトルに。
すごいですね……!
タイトルからして「美弥るりかの為の作品」ではないですか。
当て書きでしょうし、美弥ちゃんの代表作になりますように。
そして、博多座のトップコンビは…
……ん…?
………はい……?
主演………専科・轟悠……?
あれ?
博多座って月組トップコンビの公演ですよね……?
Wトップ体制ふたたび……?
それとも、轟悠さんがついに脇にまわり、若いトップコンビを支えて下さるのでしょうか?
珠城りょうさんは確かに若く、様々な経験が不足しているかもしれません。
ですが、あの過酷な全国ツアーを、2番手経験もほぼない状態で見事に務め上げました。
『アーサー王伝説』も、観劇した方々から月組生へ心からの拍手が寄せられています。
轟悠さんの素晴らしいキャリアは周知の上です。
理事との共演は、学びも多いでしょう。
ですが、重鎮をやみくもに配置するものではない、と私は考えます。
男役芸の伝統を受け継ぐ轟さんは、宝塚にとって大切な存在のはず。
なぜ、こんな使い方をするのか……理解に苦しみます。
特別出演の重み。
轟悠という伝統と格。
それらを踏まえた参加である事を、祈るばかりです。
トップコンビとの共演は、ここぞという場で登場し、脇を締める形でなら、轟さんの格も上がると思います。
『オズの魔法使い』で人気を誇る登場人物・南の魔女グリンダ。
彼女は物語の序盤から、名前だけは出てきます。
「南の善良な魔女」として。
グリンダが姿をあらわすのは、最後の最後。
終盤も押し迫り、ほんの数分にも満たない登場。
……ですが、その印象は鮮烈でした。
ざっくり、物語を振り返ってみましょうか。
主人公ドロシーは、ハリケーンに巻き込まれ、オズの国に漂着します。
カンサスの伯父・伯母の家へ戻りたくて、オズの魔法使いを訪ねる旅に出るドロシー。
都で謁見したオズから指令を受け、悪い魔女退治に向かいます。
仲間の協力と知恵と勇気で、指令をクリアしたドロシー。
なのに、オズはドロシーの願いを叶えてはくれませんでした。
何故なら、彼の正体はマジシャン。
魔法を使えるウィザードではなかったのです。
最終的に、ドロシーの願いを叶えるキーパーソンこそ、グリンダでした。
美しい容姿と温かい心、魔力と知恵を備えた、本物の魔法使い・グリンダ。
グリンダ的な立ち位置を与えてこそ、誰からも尊敬され、歓迎される『タカラヅカの宝』となり得るのでは…と思います。
ドロシーは、グリンダの魔法に依らず、カンサスへ戻ります。
グリンダによって、気づかされた事。
実は、オズやグリンダに頼らず、ドロシーはカンザスに戻る術を備えていたのです。
ただ、その事を知らなかっただけで。
グリンダによって、その事実を知らされたドロシー。
そう、グリンダは何でも願いを叶えてくれるドラえもんではなくて。
進むべき道を指し示す、導き手なんですね。
その道を、虹の橋を越えていく術を、ドロシーは持っているから。
若いタカラジェンヌ達がもつポテンシャルを信じてあげてほしい。
見守り、育ててあげてほしい。
彼ら彼女らに、場や機会を与えてあげてほしい。
そう願ってやみません。
……偉そうに申し訳ありませんでした。
余談ですが、現在上演中の雪組ショーのトップコンビが踊る『虹の彼方へ(Over the Rainbow)』
この曲は、映画『オズの魔法使い』の主題歌。
ジュディ・ガーランド主演の映画『オズの魔法使い』は、興味深い視覚効果を狙った演出がなされています。
ドロシーがカンサスにいる間は、モノクロ映像。
それが、オズの国へ来た途端、フルカラーになります。
現実世界がモノクロで、空想世界が総天然色で描かれる『オズの魔法使い』
日常から乖離した宝塚の舞台が、より華やいで見える様と通じるような気がします。